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イギリスで異常事態…左右の「ポピュリズム政党」がここへきて大躍進を遂げている理由

要約:

■ 1. ドイツの総選挙結果(2025年2月23日)

  • 第一党:キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)で得票率28.6%(2021年前回は24.2%)
  • 第二党:ドイツのための選択肢(AfD)で20.8%(同10.4%)
    • この政党は移民排斥をうたう極右政党である
  • 第三党:与党の社会民主党(SPD)で16.4%(同25.7%)
  • 第四党:連立与党・緑の党で11.6%(同14.7%)
  • 与党の自由民主党(FDP)は4.3%(同11.4%)しか得票できず、5%条項をクリアしなかったために議席を獲得できなかった
  • 左派党が8.8%(同4.9%)
  • 2024年1月に設立された左派ポピュリスト政党の「ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)」は4.9%にとどまった
    • 5%に届いていれば議席を獲得できたはずである
  • その他が9.5%(同8.7%)

■ 2. ドイツの難民・移民問題

  • ドイツには現在300万人を超える難民がおり、それが大きな財政負担となっている
  • 犯罪も増加し反移民感情が高まっている
  • それがAfDの勢力拡大につながっている

■ 3. BSW(ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟)の特徴

  • 党首ザーラ・ワーゲンクネヒトは東ドイツ出身の女性政治家で共産主義である
  • ドイツ統一で資本主義への道を歩んだことが間違いだとする
  • 極左であるがAfDと同様に移民規制を主張する
  • ウクライナ支援に対しても批判的な点もAfDと似ている
  • 西欧諸国の軍拡にも反対する
  • 総選挙で与党の一角を占めるFDPよりも多くの票を獲得したことは注目に値する

■ 4. AfDとBSWの関係

  • AfDもBSWもポピュリスト政党であり両者はライバル関係にある
  • AfDは地方自治体で権力の座についているところもある

■ 5. ドイツの現状

  • 6月になってCDU/CSUはSPDとの連立で何とかショルツ政権の発足に漕ぎ着けた
  • 現在のドイツは経済が低迷し失業者が300万人にのぼり国民の不満は高まっている
  • ショルツ首相はトランプの関税攻勢への対応、ウクライナを巡る防衛力強化、移民規制の強化など厳しい財政事情の下で難しい政権運営を迫られている

■ 6. イギリスの伝統的政治構造

  • イギリスは保守党と労働党という二大政党が拮抗し定期的に政権交代が行われる議会制民主主義の典型例とされてきた
  • しかし最近は状況が大きく異なっている

■ 7. イギリスの政党支持率(2025年10月・ユーガブ調査)

  • 1位:右派ポピュリスト政党の改革党(リフォームUK)で26%
  • 2位:労働党で19%
  • 3位:保守党で18%
  • 4位:左派ポピュリスト政党の緑の党で15%

■ 8. 改革党(リフォームUK)の概要

  • EUからの離脱(Brexit)を主導したイギリス独立党の党首であったナイジェル・ファラージが2018年に結党した政党である
  • 2020年に党名をリフォームUKに変更した
  • 2024年7月の下院総選挙では14.29%の票を獲得しファラージ党首を含め5人が当選した
  • 2025年5月の地方選挙では1641議席中677議席を獲得した
    • 保守党は317議席(676議席減)
    • 労働党は99議席(186議席減)
    • 国政では第3党の自由民主党が370議席と躍進した
  • 市長選でも改革党は6つの市のうち2つで勝利した
  • イングランド西部の下院補選では改革党の候補が労働党候補に勝っている

■ 9. 改革党の政策

  • 反移民
  • 温室効果ガス排出ゼロ(脱炭素)に反対
  • 福祉予算削減に反対
  • トランプ流に「イギリスを再び偉大に」というスローガンも採用している
  • 保守党や労働党から移籍する議員も増えている
  • 14年間続いた保守党政権は昨年の総選挙で大敗しており党の再建の道を模索中である
  • 多くの保守党支持者が改革党に乗り換えているようである

■ 10. イギリスの緑の党

  • 左派ではザック・ポランスキー党首が率いる緑の党がSNSを駆使して若者の間で支持を拡大している
  • 政策は急進左翼的:
    • 気候変動対策の強化
    • 富裕層への課税強化
    • ベーシックインカムの導入
    • 保育費の無償化
    • 家賃や公共料金の抑制
  • LGBTの権利拡大を訴えており党首もLGBTである

■ 11. イギリスの若者の政党支持率(ITV調査・18-25歳)

  • 1位:緑の党で32%
  • 2位:労働党で25%
  • 3位:改革党で20%
  • 4位:保守党で11%

■ 12. 結論

  • イギリスもまた左右のポピュリズム勢力が国民の支持を拡大している

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