■ 1. 選挙運動の開始と初期の状況
- 1年と3日前の10月23日に選挙運動を開始した時点ではテレビカメラは一台もなかった
- 開始時点ではどの世論調査でも候補者の名前は圏外であった
- 4カ月後の2月に支持率は1%に達し「その他」氏に並んだ
- 選挙運動開始時、政界は大して注意を払わなかった
- つくろうとしていた運動はこの都市の現実を反映するものであり、政治コンサルタントがスプレッドシート上で見ている都市とは異なっていた
- 権力の中枢では笑いの種とされていた
- 政府が誰のために仕えるのかを根本的に変えようという発想は想像もできないことであった
- 勢いづいてからも何千万ドルもの資金攻撃をどう乗り切るのかと問われた
■ 2. 選挙運動の成長過程
- 「ニューヨークは売り物ではない」というメッセージを掲げた
- 若者たちが記録的な数で集まった
- 移民たちが都市の政治に自分を見出した
- 世をすねた高齢者たちが再び夢を抱くようになった
- あまりに多くの人がカンパをくれるため寄付をやめるよう依頼しなければならなかった
- 支持率を急上昇させ、人々は候補者の名前の読み方を覚えはじめた
- 億万長者たちは震えあがり、ハンプトンズでは市長選挙についてのグループセラピーが行われていた
■ 3. トランプ再選後の政治状況分析
- 立候補表明の13日後にドナルド・トランプが再び大統領選挙に勝利した
- ブロンクスとクイーンズで生じた右派へのシフトは全米の郡で最も大きなものの一つであった
- 都市は右に向かっていると報じられた
- 民主党がアジア系、若い有権者、男性の有権者に訴えかける能力について死亡記事が書かれた
- 共和党に勝ちたいなら共和党になることだと何度も言われた
- アンドリュー・クオモは負けた理由を米国の労働者階級の要求に訴えかけられなかったからではなく、トイレとスポーツチームの話に時間を費やしすぎたからだと述べた
■ 4. 有権者の声と生活費危機
- フォーダム通りとヒルサイド通りという大きな右旋回が見られた二つの地域を訪問した
- これらのニューヨーカーたちは戯画的なトランプ支持者像とは似ても似つかない人々であった
- トランプを支持する理由:
- 民主党は並であることに満足し、資金をたくさんくれる人にだけ時間を割いている
- 自分とは無縁に思える
- 企業のお世話になり、何に反対かを言うばかりで何をめざすのかというビジョンを示さない
- 見捨てられたと感じている
- 生活費危機への不満:
- 家賃が高すぎる
- 食料品も高すぎる
- 保育料も高すぎる
- バス代も高すぎる
- 二つも三つも仕事を掛け持ちしても足りない
- トランプは財布にもっとお金を入れ生活費を安くする計画を約束したがそれは嘘であった
■ 5. 予備選挙の経過と勝利
- 8カ月以上にわたる予備選挙で生活費危機への取り組みをニューヨーカーたちに語った
- 何万人ものニューヨーカーが12時間のシフト仕事の合間をぬって戸別訪問をし、指がしびれるまで電話かけをした
- 一度も投票したことのなかった人たちが無敵の運動員になった
- 選挙運動は誰も想像しなかった速度で成長しはじめた
- アンドリュー・クオモは確実と思われていたが6月24日にその確実性を打ち砕いた
- 13%差で勝利しニューヨーク市の歴史において市レベルの予備選挙として最多の票を得た
- その票を入れたニューヨーカーの一部はトランプに投票しており、他の多くはいままで投票をしたことがない人たちであった
- クオモが敗北を認める電話で「とてつもない力を生み出していた」と述べた
■ 6. 選挙終盤におけるイスラモフォビア
- 選挙戦が終盤にさしかかるにつれて良心に衝撃を与えるイスラモフォビアの現れを目にした
- アンドリュー・クオモ、エリック・アダムス、カーティス・スリワは未来のための計画をもっていない
- 彼らがもっているのは過去を再演する台本だけである
- 彼らは選挙を生活費危機についてのものではなく、候補者の信仰と常態化させようとする憎悪についての住民投票にしようとした
- 一人のムスリムが先頭に立ってもいいのだという考えを擁護することを強いられている
- 大金提供者や政治家たちは野心をも奪おうとしてきた
- 彼らの考えでは有権者は尊厳ある生の美しさに値しないとされている
■ 7. 自由と超富裕階級の問題
- この国が建国の当初から取り組んできた問いは「誰が自由を許されるのか」である
- 自由を許されているのは超富裕階級(オリガルヒ)である
- 彼らが蓄えた莫大な富は朝から晩まで働きづめの人たちとはかけ離れている
- 米国の泥棒男爵である彼らはその富のゆえに他のすべての人々より大きな発言権をもつのが当然だと思っている
- 莫大なお金をスーパーPACにつぎ込み、候補者の顔に「グローバル・ジハード」の文字を貼りつけたコマーシャルが電波を覆い尽くした
- 彼らの自由は尊厳と真実だけでなく他の人々の自由をも犠牲にしている
- 彼らは権威主義者であり、人々を言いなりに抑え込んでおこうとする
- ニューヨークの超富裕階級は世界の歴史上、最も富裕な国の、最も富裕な都市の、最も富裕な人々である
■ 8. 主要政策公約
- 200万人を超える家賃安定化物件入居者のために家賃を凍結する
- 使える資源はすべて使って住まいを必要とするすべての人のために住宅を建設する
- すべてのバス路線の運賃を廃止し、米国で最も遅いこの都市のバスを難なく都市中を動けるものにする
- 親の費用負担がいらない普遍的保育を創設し、ニューヨーカーたちが愛するこの都市で家族を育めるようにする
- この都市をホームと呼ぶ人みんなが尊厳をもって生きられる都市にする
- 生きるために必要なものを買えないニューヨーカーが一人もいないようにする
- 政府の役目はその尊厳を届けることである
■ 9. 政府の役割と歴史的参照
- 尊厳とは自由の言い換えである
- アメリカにおける自由のために激しく闘った人たちから大きな力を得ている
- 人々の力が権力をもつ者たちの影響を圧倒するとき、政府に対処できない危機などない
- ニューディールを打ち立てて一世代を貧困から救い、美しい公共財をつくりだし、団結権と団体交渉権を定めたのは政府であった
- 問題を小さく危機を大きく見積もる政府の時代は終わらせなければならない
- 敵対する者に負けないぐらい野心的な政府が必要である
- 受け入れられない現実をはねつけ、ふさわしい未来をつくりあげることのできる強力な政府が必要である
■ 10. 現状の問題点と変革の必要性
- ニューヨーカーの4分の1が貧困のなかで生きている
- 15万人を超える公立学校の生徒に住まいがない
- 日々の働きで築きあげている都市で暮らしが成り立たない状況がある
- 何度も国は絶望の崖っぷちでよろめいてきたが、働く人々は闇の中に手を伸ばし民主主義をつくりなおしてきた
- 共和党が野心の党であることを許さない
- 民主党が大きな構想をもって先頭に立つ姿を歴史書をひもとかなくても見られるようにする
- 世界は変化しており、問題は変化が起こるかどうかではなく誰が変化を起こすのかである
■ 11. 最後の訴えと決意
- 選挙前の9日間、一人ひとりに「もっと!」とお願いする
- 戸別訪問、電話かけなどもっと多くの行動を求める
- 権力をもつ者たちはあらゆるものを武器庫に投入し、さらに何百万ドルもつぎ込むであろう
- 音を上げず、ひるまず、超富裕階級(オリガルヒ)に打ち勝ち尊厳ある生を取り返す
- FDRの言葉を引用し、選挙運動では私欲と権力欲の勢力が敵に出会い、市庁舎でそれらの勢力が主人に出会うと述べる
- 11月4日に自由を手にする