■ 1. 冷戦終結後の社会主義とマルクス主義の再燃
- 冷戦が終結しソ連は崩壊した
- 東欧諸国やアジアの社会主義国家も結局存続できず次々と体制を変えていった
- 20世紀に入りマルクス主義という理論を元にした社会主義は終焉した
- 社会主義と同様にマルクス主義も現実的ではなく終わったと思われていた
- しかし今アメリカを中心に労働者格差、富の再分配というキーワードが再燃している
- 終わったはずのマルクス主義が新たな形で台頭してきた
- LGBTQやフェミニズム、環境主義、移民受け入れや在日外国人の権利擁護など日本ではこれらの考えをリベラルと呼んでいる
- もちろんリベラル=マルクス主義ではないし共産主義的な政治運動でもない
- そして資本主義に限界が訪れていることも事実である
- それはマムダニ氏のニューヨーク市長当選が物語っている
■ 2. マムダニ氏のニューヨーク市長当選
- 民主社会主義を掲げるイスラム教徒がニューヨーク市長に当選した
- しかしこれは特別驚く事案ではなくニューヨークならそうだろうなというのがアメリカ国内の見方である
- マムダニ氏が敵視するトランプ大統領が彼を共産主義者と批判する一方、リベラル系のメディアはマムダニ氏就任を賞賛している
- マルクス主義、民主社会主義、共産主義、そしてリベラルといった曖昧なワードが出てくる
- なぜLGBTQやフェミニズムなどの運動が展開されるのか、メディアや教育業界に左派が多いのか、隣国が軍事大国であるはずの日本でなぜ軍事アレルギーを起こす人がいるのかをニューヨーク市長当選と合わせて解説する
■ 3. 右翼と左翼の基本的な違い
- 今の暮らしや政治に対する意見を大まかに2分したのが右翼と左翼という名称になる
- 右派とは何を重視するかによって立場が変わる
- 右派は自由、競争、平等、継続を重視する
- 左派は福祉、平等、改革を重視する
- ただあくまで自分の立場なので例えば経済システムは右派だけど社会システムは左派のようにそれこそ自由に捉えることができる
■ 4. 経済システムと社会システムの分類
- 社会は経済システムと社会システムに分けて考える
- お金と制度である
- 経済システムは右派よりの資本主義と左派よりの社会主義がある
- 社会システムは中立の民主主義と極端に左の共産主義がある
- 資本主義では個人が富を所有し自由なマーケットがある
- 社会主義では社会全体が富を所有しマーケットも社会全体で管理する
- 民主主義は国民の選挙で国家を運営する制度である
- 極端に左派の共産主義は経済システムの社会主義をさらに煮詰めて徹底し、富も階級も何もかも全て完全平等にする制度である
■ 5. 共産主義実現の困難さ
- 歴史上完全なる共産主義体制を実現した国家は未だない
- 1番共産主義に近づいたソ連は選挙は機能しないため民主主義ではなく国家がマーケットを管理する社会主義体制であった
- ソ連や社会主義国家にはマーケットを管理する独裁政党があるため理論上完全平等の共産主義実現は不可能である
- あくまで社会主義は理想の共産主義というゴールを目指す途中というわけである
- そのゴールを決めたのがマルクスが提唱したマルクス主義である
■ 6. マルクス主義の成立と思想
- 左派という言葉はマルクス主義より前の1789年フランス革命時に誕生した
- マルクス主義はこの左派を体系化したものである
- マルクス主義はフランス革命から約60年後の1848年にカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスが提唱した理論である
- 資本主義を徹底的に否定し最終ゴールを共産主義、つまり私有財産の廃止と全平等社会に位置づけた
- マルクス主義では完全な平等になると国家は眠るように消えていくと説いている
- グローバル思考で国という概念を曖昧にしたり自国ファーストを否定する人たちに左派が多いのはここに通ずる部分があるからかもしれない
■ 7. マルクス主義による資本主義批判
- マルクス主義の考えは今の世の中、資本主義は狂っているが中心である
- 企業は本音を隠して利益を追求し、本来みんなの利益を目指すべきなのに自分の利益だけを追求する
- 競争で勝つために他者を蹴落とすなんて社会は本当に正しいのかと問う
- 現実の資本主義ではお金のためとはいえお客さんを満足させないと次はない
- サービスの低下は客離れを引き起こし結局自分の利益どころか自分の首を締める結果になる
- 神の見えざる手によって一定以上の質は担保されているのが現在の自由なマーケット資本主義である
■ 8. 社会主義の問題点
- 国家がマーケットを管理する社会主義では決められたことだけをすればいいので逆にサービスの質は低下する
- みんなの利益どころか自分の裁量で仕事をする自己利益に変わってしまう
- 社会主義は資本主義の否定を前提にしているため労働者にしわ寄せが来るマーケット展開や競争を断固否定する
- ガンガン稼いでも中央政府がダメダメ企業の救済に回して徹底して競争格差をなくす結果頑張る人はいなくなり生産能力は上がらない
- 社会主義では計画経済を実施するので指示されたものを指示されただけ作ればオッケーとなる
- 製品の改良や開発、コストカット、新しいアイデアなんかは誰も出してこなくなる
- 物の機能や個数が優先され各個人の思考は見向きもされない
- だから旧社会主義国では同じ人民服、同じ靴、同じ鞄である
- 生活の質や彩り、個性なんかを求めること自体資本主義の象徴なのである
■ 9. 社会主義成立の条件
- 社会主義は赤字を垂れ流す赤の他人の尻拭いを率先して行い、給料に関係なく与えられた以上の仕事をこなす労働者が過半数以上いてやっと成り立つシステムである
- 聖人君子ばかりの世の中じゃないとそもそも社会主義は成り立たない
- 左派は基本的にいい人が多いのだと思われる
- 本来世の中は自分のようないい人ばかりのはずだから理想も実現できるはずだと考える
- さらにどんな人でも話せば分かると信じている
- 安保法制反対運動を主導したSEALDSも攻める敵と酒を組み交わして仲良くなってやると言っていた
- 人間は本来自分たちみたいにいい人なはずでそれが歪んでいるのは社会システムが悪いからという考えが現代左派によく見られる
■ 10. 左派の他責思考の傾向
- 左派はその優しさと構造上「あなたは悪くないよ。悪いのは○○だよ」と他責思考を共有しがちである
- 貧困は資本主義が悪い、犯罪は環境が悪い、格差は政策が悪い、様々な差別も社会が平等を提供しないのが悪いと責任を外部に向けがちである
- 自分を変えるより外部を変えようとする
- ただ本当に外部が悪い場合も当然ある
- マルクスが立ち上がった背景は今と比べ物にならない超過酷な労働環境である
- 1日の半分以上休みなく働かされ小さい子供は体力が追いつかずその短い生涯を終えるなんてこともざらであった
- こんな社会が資本主義なんてシステムが許されていいはずがないとなるのは当時の悲惨な労働環境を踏まえると当然の考えである
- 声なき弱者のために立ち上がり改善を訴えた事実は賞賛すべきである
■ 11. 資本主義の矛盾
- マルクスは未だ改善できていない資本主義の矛盾も説いている
- ライバル企業に勝つため労働者には安い賃金で働いて欲しい一方その労働者は買い手でもある
- つまり給料は安く抑えたいけど買い手には多くのお金を持っていて欲しいという矛盾がある
- 結果買い手はお金がなくて買えず資本家は商品が売れず在庫を抱えることになる
- 売れないなら極限まで値下げしたり最悪無料で配ればと思うかもしれないがそれはできない
- 値下げは価格バランスやブランド力を落とし未来で回収できる利益を失う
- 無料化は商品の価値を下げるだけでなく配布時のコストやリスクまでついてくる
- 両方デメリットしかないので抱えた在庫は人知れず処分されるのが現実である
- 結果経済は少しずつ歪んでいき気づけば大量の失業者が生まれ企業がバタバタ倒産するいわゆる恐慌が一定のスパンで起きてしまう
- 恐慌とは資本主義だからこそ生まれる不幸なのである
■ 12. 世界恐慌とソ連
- 第2次世界大戦の引き金とも言える世界恐慌だが社会主義国家のソ連はその影響をあまり受けていない
- じゃあやっぱり資本主義はダメなのかと言うとそうでもない
- マルクス主義という理論自体この悪しき資本主義を倒すことだけに全集中していたためその後出来上がる社会システムについては全く考えられていなかった
- つまり誰も資本主義に変わる正解が分かっていない
- マルクス主義のとりあえず共産主義化しようの先に待っていたのはソ連崩壊という現実社会主義の実質的終焉である
■ 13. 恐慌と人間の自由の関係
- 恐慌が起こる資本主義のままでいいのかと思うかもしれない
- 難しい話だが結局のところ商品が売れないのは需要と供給の問題である
- 流行り廃りで経済が歪んだり波ができて巨大な恐慌になるということは人間の脳天気な購買意欲が自由に動いているある意味証拠なのである
- 人間が自由気ままだからこそ最終的に恐慌として跳ね返ってくる
- そこの折り合いをどう見るかなのである
- そもそも労働者には安い給料で働いてもらうということ自体限界が来ている
- 結局企業を成長させるためには高い給料を支払って優秀な人材を雇わなければならない
- 業界も仕事の内容もマルクスの時代とは比べ物にならないほど現代では増え続けている
■ 14. 資本主義の進化と格差の変化
- ソ連崩壊と共に消えた社会主義と違い資本主義は1415年の大航海時代以来徐々に形作られてきた500年以上の歴史がある
- 現在の資本主義はマルクスが直面した資本主義よりさらに進化を遂げている
- 自動化、ロボット、インターネット、そしてAIがある
- 資本主義は進化すれど正解になったわけではない
- まさに高い給料をもらえる人ともらえない人、生まれながらの環境や教育の違いがある
- マルクスの時代には過酷な労働に苦しむ大多数の労働者とそれを搾取する少数の資本家という明確な対立的格差があった
- 一方現代の資本主義では一握りの超富裕層が富を独占し得た富を運用するノウハウや有利な制度を活用し世代を超えて富を継承していく巨大で永続的な格差が表面化している
- その結果がマムダニ氏の当選である
■ 15. マムダニ氏のプロフィール
- 今年の11月4日ニューヨーク市長を決める本選挙にて史上初のイスラム教徒候補者マムダニ氏が当選した
- 過去100年で最年少のニューヨーク市長である
- マムダニ氏は1991年ウガンダ生まれの34歳インド系移民で自らを民主社会主義者と公言している
■ 16. 民主社会主義の位置づけ
- マムダニ氏が掲げる民主社会主義は資本主義を調整してより社会全体の平等を目指す思想である
- 平等のために必要であればマーケットの制限介入を含んでいるため左派の中でも左寄りである
- ここからさらに左へ行くと出てくるのがマルクス主義である
- こちらは資本主義は絶対ダメで労働者中心の社会と共産主義を目指す思想であった
- 逆に左派の中でも1番中立に近いのが社会民主主義である
- 資本主義は変えず格差を減らそうとする思想である
- 税負担が大きい分福祉が充実しているスウェーデンやフィンランドなどの北欧諸国がいい例である
- 左へ行くほど資本主義を変えようとしていることがわかる
- マムダニ氏は北欧諸国以上に左の立場を取っているのでトランプ大統領は彼を共産主義者と批判する
■ 17. ニューヨークの特殊性
- ニューヨークという町も極端な側面がある
- 世界最大の国際都市で経済、文化、メディアの中心であり思想の最前線でもある
- ただ経済と思想は分けて考えなければならない
- ニューヨークは経済システム上資本主義ではあるが社会システム含む思想はかなり左に寄っている
- 歴史的にもブルーステートで常に民主党が優勢になる州である
■ 18. ニューヨークで左派が多い5つの理由
- なぜニューヨークは左派が多くマムダニ氏に票が集まるのか主に理由は5つある
- 理由1:移民が多い点
- 移民は当然ながら左派が掲げる権利の保障に敏感である
- 文化にも寛容で受け入れに積極的で社会保障も平等な左派の考えは移民にとってメリットが大きい
- 理由2:経済格差が大きい点
- ニューヨークは物価も家賃も世界一である
- 市民の生活コストは公共交通機関が年間1800ドル、家賃の中央値は月3400ドル、年間保育料最大1人あたり2万5000ドルかかってくる
- この高額な生活費が1番負担になっているのは社会に必要不可欠な職につくエッセンシャルワーカーである
- 彼ら彼女らは高額な家賃に耐えられず郊外から通勤する
- それも公共交通機関を使って子供を保育園に預けてである
- 若い人も多いエッセンシャルワーカーが貧困に苦しむためマムダニ氏の政策は若者にも刺さった
- 特に家賃上昇凍結、バスの無料化、保育無償化は不満を大いに解消してくれる
- 理由3:高学歴が多い点
- 理由4:文化の中心地である点
- 理由5:アメリカならではの事情が絡んでくる
■ 19. マムダニ氏の政策と実現の課題
- マムダニ氏はその財源を富裕層や大企業への増税で賄うとしている
- まさに労働者の格差を富の再分配で是正しようというのである
- ただ実現のハードルは結構高い
- 富裕層や大企業のニューヨーク離れは想像しやすいが見落としてはならないポイントがある
- それは増税にはニューヨーク州議会の承認が必要という点である
- 今回は法人税を7.25%から11.25%まで上げる過去にない大増税を計画している
- そうすんなり通るとは思わない
- また会計専門家は税金が高くなると企業は利益を減らす節税に動くと予測している
- 増税で利益を吸い取られるのであればそもそも生産しない
- 赤の他人の尻拭いをするなら頑張らないという社会主義の負の面が顔を出しニューヨークの生産能力、競争力は落ちてしまう
■ 20. 高学歴と文化人に左派が多い理由
- なぜ高学歴と文化人に左派が多いのか
- これが現在左寄りのメディアが多い理由でありLGBTQやフェミニズム、ブラックライブズマター運動の展開につながる
■ 21. アントニオ・グラムシの思想
- メディアと左派のつながりは戦前のイタリア共産党創設者アントニオ・グラムシ氏まで遡る
- ちなみにグラムシ氏は現イタリア首相メローニ氏の縁戚だが政治的立場は真逆である
- イタリアはキリスト教カトリックが伝統的に強い影響力を持っていた
- 親から子へ丁寧なお祈りや教会へ通うという信仰が脈々と受け継がれる地域である
- 無神論を唱える共産主義につける隙はない
- そこでグラムシ氏は革命のためにはまず日常生活に染みついた価値観や当たり前を変えていく必要があると考えた
- キリスト的価値観の破壊でありその担い手がマスメディアだった
- グラムシ氏はマスメディアを現実社会を理解しながら変革を起こさせる集団頭脳と考え現実と理想をつなぐ知のネットワークになると考えた
- それは政治色の強い新聞だけでなく雑誌や情報誌も含まれていた
- 当たり前という支配層が植えつけた価値観を毎日目にするマスメディアで少しずつ壊していく
- 市民が知らず知らず新しい価値観に染まった時一気に社会を切り崩す
- これに影響を受けたマルクス主義者や左派勢力は多くマスメディアや教育業界から文化の土台を変えようとする動きが始まった
■ 22. フランクフルト学派の批判理論
- グラムシと思想がかなり近く現在までその影響力を発揮しているのが1923年に設立されたフランクフルト学派による批判理論である
- 人を支配するのは経済よりも文化や価値観である
- 差別やジェンダー問題は個人の問題ではなく作り出す社会の仕組みが悪い
- 批判理論の通りこれまでの世の中や価値観が間違っていると提唱している
- 賛成より批判し続けることを求める思想のため「これはいいよね。そのまま受け入れていいんじゃない」という賛成意見は存在しづらい
- 「いやいや、資本主義社会に毒されてるからつい賛成しちゃうんだよ。本当はダメなことなんだよ」とメディアや教育に乗せて現状を否定し続ける
- それがもはやスタンダードなことかのように誘導する
- 環境活動家のグレタ・トゥンベリさんも批判ばかりで対案はなく矛盾した行動を起こしている
■ 23. 批判理論の特徴と影響
- 批判理論は社会の仕組みを批判するため社会のポジティブな面や自己責任を見る視点が弱くなる傾向にある
- そのため批判し続ければ世の中が良くなると考えがちで矛盾した行動には目が向きにくくなる
- いい面を評価できないのは批判理論というフィルターを通して世界を見ているからであり思考が凝り固まりやすいのもその影響と言える
- ジェンダーフリーやLGBTQ、他文化強制、移民受け入れ、フェミニズム運動、ポリコレなど現代の社会運動には1つの共通点がある
- それは社会に隠れた不平等な構造を批判するという発想である
■ 24. 日本の教育における批判理論
- 日本の大学入試の現代文ではモダニズム批判が頻出テーマである
- 高校生は合格のため近代の価値観を批判する文章を何度も何度も深読みする
- ジェンダー論や多文化主義、近代社会構造問題などは東大や早稲田、国際キリスト教大学など日本の頭脳となる高学歴大学でよく出題されている
- 大学に入学した後は左派思想の強い教授にその価値観を共有される
- 特にアメリカはそうだが日本も例外なく左派的な大学は多い
■ 25. BLM運動とマルクス主義
- 2020年に世界的な大規模運動へ拡大したBLM(ブラックライブズマター)は黒人差別改善を訴えた運動である
- 創始者3人のうちパトリス・カラーズとアリシア・ガーザは自身を訓練を受けたマルクス主義者と公然と発言している
- このように隠れマルクス主義やリベラルが広がる背景にあるのは間違いなく資本主義という構造の限界である
- それが形を変えた格差である
- 批判理論を批判ばかりできない理由である
- マムダニ市長誕生の背景はこうした批判理論を持つ高学歴な左派や文化人の支持と世界都市で移民の町という土地柄が合わさったことが挙げられる
■ 26. アメリカの大学における同調圧力
- アメリカの大学で左派が誕生し拡散しやすい背景には同調圧力がある
- ブルーステートの地域では想像以上に人の目を気にするところがある
- 夫婦は常に一緒じゃなきゃ変という雰囲気がある
- ワールドシリーズで優勝した大谷選手もよく奥さんとメディアに出ているがあれはアメリカ国内の夫婦は常に一緒そういうものという見えない圧力である
- 大学はさらに顕著である
- アメリカの大学にはフラタニティとソロリティという社交クラブがある
- 専攻科目やスポーツなどテーマ性で分けられ会員だけの寮で共同生活をしたりパーティーを通して人脈作りを行ったりする
- OB、OGの繋がりも強固なため就職にも強い組織である
- このコミュニティに所属していないと「え、なんでどっか入りなよ」という圧力がある
- この違和感ある伝統が本音では嫌だから左派的な思想になる学生もいるようである
- またブルーステートの地域では公然と「僕はトランプ支持です」と表明もできない
- そういう空気感が間違いなくある
■ 27. ホームスクールと保守派の形成
- 大学に行かない人は面白いことに左派になりづらい
- アメリカにはホームスクールというシステムがある
- アメリカは自由の国なので子供を学校に行かせるかどうかも自由である
- アメリカ国内の敬虔なキリスト教徒は思想の強い公立学校を嫌い家庭教育ホームスクールを選ぶ家庭も少なくない
- 一般的な家庭でもコロナ禍でオンライン授業が普及した結果あまりにも左派思想に偏った教員を目の当たりにして公立学校からホームスクールへする家庭も多く出てきた
- これも教育格差を生み出す原因になってはいるがこうした人たちは独自のやり方で社会とは教会を通じてコミュニティを広げていく
- こうしたグループがアメリカには結構いっぱいあって彼らはリベラルと反対の保守右派の基盤になる
- そのため広大なアメリカの一都市であるニューヨークがリベラルだからと言ってアメリカ全体の民意というわけではない
- 共和党トランプ大統領が選ばれたのもその証拠である
■ 28. 日本における軍事アレルギーの理由
- 隣国が軍事大国であるはずの日本でなぜ軍事アレルギーを起こす人がいるのかを解説する
- ロシアはウクライナへ軍事侵攻している
- 北朝鮮は核実験を繰り返し日本海へミサイルも発射している
- 中国は圧倒的な軍拡と周辺国ほぼ全てと領土問題を抱える拡張主義国家でありながら核保有国である
- 最近では台湾との関係について日米に経済的軍事的圧力をかけている
- 世界には核保有国が9カ国ありうち3カ国は日本の近隣国である
- なぜ日本の左派はこの状況でも軍事アレルギーを持つのか
- 暴力や戦争への反対心もあるが根本には自国の国家体制こそ監視警戒すべき相手という意識があるようである
■ 29. 左派にとっての国家権力の認識
- 国家権力という言葉が分かりやすい
- 一部にとって国家は支配層の道具として国民を管理統制し抑圧するものと捉えがちである
- 軍事力も体制維持の手段として認識されてしまう
- 変えなければならないのは国内の体制や社会システム、そして自衛隊という認識である
- 一方で中国やロシア、北朝鮮は日本とは別の政治体制を持つため脅威としての意識は薄れてしまう
- 通常敵とされるのは外部の国家だがこうした左派にとっての敵・脅威は内部の制度や権力なのである
- つまり左派にとって軍隊は自分たちの理想国家であれば信用するけど信用できない体制の軍隊は同じく信用できないということである
- 内部を脅威とする認識と現体制を批判する思想から特に日本の左派は軍事アレルギーを発症しやすくなる
■ 30. 結論
- 留意していただきたいのは思想や立場というものは強制するものでも排斥するものでもない
- 相手の考えを理解することでより良い方向に進む可能性があるためである
- 翼は1つでは進めないとはよく言ったものである
- 右翼だけでも左翼だけでもまっすぐ飛ぶことはできない
- 多少傾くことがあったとしても僕たちの子孫が笑っていられる未来に向かって日本も世界も羽ばたいてくれることを願っている