■ 1. Z世代の社会観と生存戦略
- Z世代は社会を変える方向に注力するのではなく、個人がどう生き残るかの生存戦略に専念している。
- 日本社会の一員という意識すら希薄である可能性がある。
- 24歳の映画監督・木村ナイマ氏の見解:
- 実感では日本社会を変えようとしている若者はほとんどいない。
- 特に権力を持つ側への憧れは一切ない。
- 木村氏自身、それに共感する部分がある。
■ 2. Z世代が大切にする対象
- Z世代が大切にしたいのは友人や日頃お世話になっている人など、顔が見える範囲の人たちである。
- 社会に無関心ということではない。
- 力を持った大人が若者に対して優しかったことは一度もなかった。
- そのため、若者も彼らが中心にいる社会に対して関心を持って優しく振る舞ったりする必要はないと思ってしまう。
- さらに尖った考えを持つ人は「社会に優しくされたことがないんだから、社会を裏切ってもいいじゃないか」となっている。
- いま流行っている転売ヤーや闇バイトに加担する人たちの根底には、そうした気持ちがあるのではないか。
■ 3. 2040年の日本が抱える懸念
- 2040年の日本が抱える最大の問題は、いまの若者たちが絶望したまま社会の中心を担う40代になってしまうことかもしれない。
- 『ABEMA Prime』などの情報番組に出演する実業家の岸谷蘭丸氏は、そんな未来に懸念を抱いている。
■ 4. 同世代の現状認識
- 岸谷氏の実感:
- 自分の周りにいる同世代もなんとなくいまの幸せに満足している。
- 社会にインパクトを与えたいという人はほとんどいないと感じている。
- いまの日本は確実に貧しくなっている一方で、快楽自体は得やすい。
- 例として日本の食事の質が挙げられる:
- 日本のメシはうますぎる。
- 物価高とも言われるが、800円も出せばコンビニで味を改善し尽くした弁当が食べられる。
- 美味しいラーメンも食べられる。
- 満腹になってぐっすり眠れば、それだけで小さな幸せを感じられてしまう。
- これから長く続くだろう不幸を、目の前の小さな幸せで誤魔化していると感じる。
- さすがにこれでいいのか、この状況ではマズいんじゃないかとは思っている。
■ 5. 岸谷氏の政治への挑戦
- 岸谷氏は自分自身が社会のロールモデルになれば、同世代も何か動き出すのではないかと考えている。
- 2032年の東京都知事選への出馬を目指していることを明かした。
- 政治家になることについての見解:
- 昔より社会を変えづらくなったことは事実である。
- 一つだけ以前よりも自分たちにアドバンテージがあると感じることがある。それは政治家になることである。
- いま若者たちの間で政治がちょっとしたブームになっていて、各地で若い政治家が増えている。
- 日本のような高齢化社会では若いということ自体が価値を持つ。
- 立候補すればそもそも支持を得やすいということに加え、組織に頼らずともSNSを駆使すれば当選できることが証明されようとしている。
- 都知事になって若い人にも社会を変える道があるという可能性を示したい。
- ドラスティックな提案の例:
- 以前ネットで批判されていたが、「子供がいる親は2票投票できるようにしよう」といった提案は個人的に好きである。
- もちろん反感を買うだろうが、すべてが下降線をたどる世界では、それぐらい大胆な変革を敢えてしていかないと若者たちが社会を変えることなんてできない。
- 自身の背景認識:
- 人よりも裕福な家庭に生まれてきた自覚がある。
- いまの時代、欲とおカネの両方を持っていないと、なかなか大きなことはできない。
- だから自分が変革のロールモデルになって、ちょっとでも欲のある若者を引き上げたい。
- あるいは、せめて「自分たちも欲を持ってもいいんだ」と思わせたい。
■ 6. 上の世代への責任
- Z世代自身は「上の世代を責めるつもりはない」と言う。
- しかし2040年に対するZ世代の本音を聞いて、少なくとも「怒りより諦め」が先に来るような時代にしてしまった責任ぐらいは感じるべきではないか。