■ 1. 1984という作品の概要と現代的関心
- ジョージオーウェルの小説1984はビッグブラザーと呼ばれる支配者が国民を支配するディストピア小説である
- テーマは全体主義や監視社会・国民に対する抑圧的な統制である
- 新型コロナ以降の政府による抑圧的な政策が世界的に広がったこともあって1984的な世界が来るのではないかという語られ方が増えてきた
- Google検索では新型コロナがあった2020年から21年にかけて1984というキーワードが検索された
- 1984は1984年に映画化されている
- 生成AIが普及した後も検索数が伸びてきており1984的な世界について調べる人は増えている
- YouTubeでも1984で調べると新型コロナ以降の作品で数十万から数百万再生のものが結構ある
- 現在の社会が1984的になっているのではないかという話題を追いかけている人は結構いる
■ 2. ジョージオーウェルの経歴と作品背景
- 著者のジョージオーウェルはインド生まれのイギリス人だが幼少期にイギリスに母親と戻っているのでほぼイギリス生まれのイギリス人のような人である
- 学校を卒業してからはインド帝国警察に入隊しビルマで5年勤務した
- パリやロンドンでフラフラした後に1936年からのスペイン内戦に義勇兵として参加した
- その時に参加したソ連指導下の民兵組織の内部で粛清されそうになって全体主義に懲りたという経験を持っている
- 1984はそういう全体主義がいかにやばいのかということについて書かれた小説である
- 世界設定はオセアニアとユーラシア・イースタシアという3つの勢力圏に分かれた世界になっている
- 主人公のウィンストンという男性はオセアニアのエアストリップ1に住んでいるがこれは現在のイギリスにあたる
- オセアニアを支配してるのがビッグブラザーという人物とその政府でソ連みたいな全体主義的な国である
■ 3. 共通点1:テレスクリーンと監視社会
- 1984ではテレスクリーンと呼ばれる大きなスクリーンが至るところにあって人々を監視している
- テレスクリーンは家の中にもあるためプライベートで何かおかしなことをすればすぐに逮捕されてしまう
- 現在のイギリスは都市別の人口あたりの監視カメラのランキングを見ると3位にロンドンがある
- それ以外が全て中国の都市なのでビッグブラザー的な世界観で言えば中国の方がやばいがロンドンはそれに引けを取らないやばさである
■ 4. 共通点2:貧困と不平等
- 1984の世界では廃墟となった都市が至るところに見られ飢えや病気・不潔さが当たり前の世界になっている
- 現在のイギリスは長い緊縮財政によって景気の悪い状況が続いている
- 食生活の悪化・病気の蔓延などが原因となって子供たちの身長が他国に比べて伸びていない
- 平均身長がブルガリアより10cm近く低くなっている
- バーミンガムという人口が100万人でイギリス第2の都市では財政破綻によってゴミ収集ができずゴミだらけになっている
- イギリスはウクライナ戦争に数兆円という無駄金を突っ込んでいるがそれによって国民の生活を思いっきり犠牲にしている
- これで儲かるのは軍事産業だけなのでまさに不平等と貧困が進んでいる状況である
■ 5. 共通点3:中上流階級に対する思想統制
- 1984ではテレスクリーンが家の中にもあるため政府の文句を言おうものならすぐにバレて捕まってしまう
- いい暮らしをするためには政府に対して忠誠を誓う必要がある
- 2分間憎悪という時間があるのですがその時にゴールドスタインという政敵の姿がテレスクリーンに映し出されるのでそこに思いっきり悪口を言わないといけない
- このような頭の行かれた思想統制は欧米でも普通に見られる
- 北朝鮮からの脱北者のパクヨミさんはアメリカのコロンビア大学でポリコレの洗礼を受けた
- コロンビア大学は北朝鮮にいた時のようだったと語っている
- イギリスやアメリカの高学歴はポリコレで脳みそをやられているので堂々と気違いじみた行動を行う
- イーロンマスクが政府効率化でアメリカ政府の無駄をどんどん暴露したことに怒ったリベラル派がテスラをボイコット運動を行った
- イギリスでも石油反対の活動家がテスラのショールームに行って石油製品のペンキをぶっかけて逮捕された
■ 6. 共通点4:凶悪犯罪よりも思想犯への取り締まり優先
- 1984では主人公のウィンストンはテレスクリーンが映らないところで自我を保つために日記を書くということをやっているがバレてしまったら捕まってしまうだろうと覚悟してやっている
- 1984では社会の敵である凶悪犯よりも体制の敵である思想犯の取り締まりを優先している
- 現在のイギリスも全く同じである
- 移民を大量に受け入れているためその移民の一部の人たちがあちこちで性犯罪やら何やらで悪さをするのですがそれは放置してきた
- 1990年から2010年代にかけて起こっていたパキスタン系のギャングによる未成年の少女の誘拐・性犯罪を隠蔽していたというスキャンダルが発覚した
- スターマー首相は2008年から13年までの児童保護局の長官だったのでまさにこの隠蔽に関わっていたのではないかと非難されている
- こういう移民による犯罪は放置してきた一方でSNS上での取り締まりは活発である
- 2023年のイギリス国内におけるSNS投稿を理由とした逮捕は1万2000件を超えており1日30人以上が逮捕されていた計算になる
- 6000人の公務員がこのSNSの監視にあたっているようである
■ 7. 共通点5:二重思考
- 1984ではビッグブラザーのメッセージとして度々3つのフレーズが取り上げられる
- それが戦争は平和なり・自由は隷従なり・無知は力なりの3つのフレーズである
- これは作中で二重思考と言われており要するに矛盾したことを信じるような思考形式のことである
- この訳けのわからないことを信じ込ませることで人々の思考能力や判断能力を奪い何でも言いなりになる人間へと教育しようとしている
- 今のイギリスは白人は黒人なり・国民は移民なり・思考は暴力なりという感じである
- 子供向けの歴史書としてイギリスでベストブックとして表彰されている本がイギリス人の先祖は黒人だったという内容になっている
- これを事実だとゴリ押ししようとしている点がイギリスの行かれている点である
- 国民よりも不法移民を優遇してホテル代や生活費をやってる点などは国民は移民なりと言ってるようなものである
- 移民が増えてあちこち犯罪や暴動が起こってるのにそれは適当に流してSNSの投稿を見つけては1日30人以上を逮捕するなんて政策も思考は暴力なり思考は犯罪なりと言ってるようなものである
■ 8. ポリコレと二重思考の共通点
- 二重思考というわけの分からない頭の使い方はポリコレで頭が行かれた学生の特徴に似ている
- 「傷つきやすいアメリカの大学生たち」という本ではポリコレ学生の思考パターンが3つ取り上げられている:
- 困難な経験は人を弱くする
- 常に自分の感情を信じよう
- 人生は善人と悪人との戦いである
- これらに共通するのは落ち着いて自分の頭で物事をじっくり考えるということを放棄しているということである
- 1984の中上流階級への思想統制もポリコレによる思想統制も自分で頭を使うな・判断するな・思考するなと言ってるという意味で共通している
■ 9. イギリスが1984化する理由:階級制度
- イギリスは労働者階級と中流階級の間の差別意識が根強いため労働者階級を足蹴にすることに何の良心の呵責もないサイコパスな国なことが理由だと考えられる
- ノルウェーは北海油田の権利を国家が持ちその利益を年金基金に貯めたことで世界最大の年金基金へと成長させることができて国民への還元がなされた
- しかしイギリスは北海油田の権益を一部の金融に売り払ってしまいしかもその権益を渡して得られたお金を高所得の減税の原資に使ってしまった
- そのため年金基金などの国民への還元がうまくなされず一般庶民の生活がどんどん苦しくなっている
- つまりイギリスは上流階級の利益しか考えていない国である
- イギリスの労働者階級とそうでない人たちとでは発音が違ったりするのでそれで育ちが分かる
- そういう言葉による違いが残ってるため差別意識も根強く残っている
■ 10. ブレグジット後の大量移民流入という矛盾
- イギリスは長らく移民を大量に受け入れてきて治安の悪化も進んでいたためついに国民がぶち切れて2016年にEU離脱ブレグジットを国民投票で成立させた
- 2021年から正式に施行されたのですがなんとこの頃から急激に移民が増えている
- つまり政府や政治家は国民が移民はもういらないと言って意思表示をした国民投票に対して分かりました移民がいらないのであれば移民を大量に受け入れますと意味が分からない正反対の反応をした
- ここにも1984の二重思考がはっきりと出ている
- イギリスの政治家とか官僚というのは国民の嫌がること・国が弱体化することを喜んでやるサイコパスな人たちの集まりである
■ 11. 権力への執着と目的の欠如
- 1984の作中で再教育を担当するオブライエンがウィンストンに「党が権力を求めるのはひたすら権力のために他ならない他人など知ったことではない我々はただ権力にのみ関心がある」と言う
- なぜ純粋な権力だけを欲しがるのかというと目的がないからである
- お金も権力も何かを成し遂げるための手段でしかないと思うのですがお金そのもの・権力そのものに執着してしまう人というのはその使い道・目的を見つけるために必要な知性がないということである
- 今のイギリスもまさにそのような状況にあるのは大英帝国時代の過去の栄光が忘れられないからである
- 帝国時代のイギリスの歴史を調べると本当に他国を駒のように扱って自分たちの都合の良いようにしてきたことがわかる
- その頃に権力を振り回した快感が忘れられないのでしょう
- そういうことを考えられる脳みそがイギリスの官僚や政治家にはないのだと思う
- その結果権力を振りかざすことだけにしか政治家や官僚の興味がなくなってしまった
■ 12. 全体主義の崩壊必然性
- 1984という作品は最終的にバッドエンドで終わる作品だが付録部分の記述からこのビッグブラザー体制がその後に崩壊したのではないかと思わせられるようなものになっている
- この作品のモデルとなったソ連も崩壊したし日本の軍国体制も敗戦で崩壊した
- 結局国というのは食料でも何でも誰かが作ってみんなを支える仕組みである
- なのでその生産者を蔑ろにする全体主義というのは結局は長く続かないものである
- そう考えると労働者を蔑ろにして1984的な国家に突入しているイギリスや欧州はいずれ崩壊するしかない