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「育休もらい逃げ」は制度の悪用? 職場復帰しないで退職する女性に罵詈雑言「これから育休取り...

要約:

■ 1. 育休後の退職を巡る投稿と反応

  • 子どもが生まれた後も同じ職場で働き続けられるよう整備されてきた産休・育休制度があるが最近は育休中に転職活動をして元の職場に復帰せず退社する女性もいる
  • 読売新聞のユーザー投稿サイト「発言小町」に退職することを決めたという女性から投稿が寄せられた
  • 「復帰しないなんて制度の悪用だ」といった厳しい声が上がっている
  • 現在育休中のトピ主「名子」さんは「現在の会社の福利厚生に不満はないけどキャリアチェンジしたい」と転職を思い立ち育休中に転職に役立つスキルを勉強している
  • 育休が終わるまであと半年あるのでその間に転職先を探すつもりである
  • 退職することは「自分の中で確定しています」という
  • ただし「法律上の問題はなくとも復帰前提の制度代わりの人を採用せず私を待っていてくれた会社への罪悪感自分のような人が増えると後輩とかが育休を取りにくくなるのかな次の会社で面接時の心象も悪いかな」などいろいろ考えてしまうそうである

■ 2. 厳しい批判的意見の内容

  • この投稿には80件余りのコメントが寄せられとりわけ厳しい意見が目立った
  • 「びっくりマーク」も1800回以上押されている
  • 「ライオン」さんの意見:
    • 率直な印象を問われたらモラルがない人・ズルい人・将来の女性の道を閉ざす人という印象である
    • なぜなら職場復帰を前提としたシステムを使っていることとそのようなシステムがなかった時にはキャリアを諦めた女性もたくさんいる中で確立されてきたものだからである
  • その他の批判的意見:
    • 「コンプラ重視のご時世に育休もらい逃げ退職ねぇ」
    • 「育児休業手当を満額もらい終えてから退職してもあくまで権利を行使しているだけですから皆さん問題ないですよね?がトピ主さんの本心ですか」
    • 「育休使うだけ使って復職しないようなマナー違反ばかり増えると今後ルール守って育休取りたい人たちにも大迷惑」

■ 3. 転職と保育園に関する懸念

  • 転職先の企業の受け止め方と子どもの保育園探しを心配する声もあった
  • 「まる」さんの体験:
    • 生後すぐの赤ちゃんを抱えている母親を雇用してくれますかね?
    • 転職先で即戦力になる資格があり面接してくれた部長ともかなり具体的な仕事の話をしたがやはり生後2か月の赤ちゃんがネックになりお断りされた
  • 「園卒業ママ」さんの指摘:
    • 新しい転職先では有給休暇もすぐには使えない
    • 試用期間に子どものことで休めば退職を迫られるでしょう
  • 「ぴょんぴょん」さんの懸念:
    • 復帰しないとなると保育園の入園は難しいのではないですか?
    • 自治体にもよるが私の住む市は入園後に復職証明書の提出が必須だった

■ 4. 育休を機に転職した体験談

  • 一方で「育休を機に転職した」と自身の体験談を寄せた人もいた
  • 「転職万歳」さんの体験:
    • 復帰せず辞めた
    • 以前は子どもがいると働きづらい会社に勤めていた
    • 子どもがいる女性社員をあえて土日・祝日に必ず出勤しなければならない部署や時短勤務ができない部署に異動させ実質的に自主退職を促すのが慣例だった
    • 自身と同じように辞めていく人が少なくなかった
  • アドバイスとエール:
    • 育休中に転職活動をした方が時間に余裕があるので動きやすくていい
    • 今は面接がオンラインのところが多い
    • 保育園は現在の会社で応募すると求職中より正社員の方が点数がいい
    • もし3月半ばくらいまでに次が決まらなかった場合職業訓練校に通う申請もするといい
    • 乳児のいる転職活動結構落とされますなかなか決まりませんが頑張ってください

■ 5. 育休取得率の上昇傾向

  • 厚生労働省の「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会」が2023年5月に取りまとめた「第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況」によると以下の変化がある:
    • 1995〜99年に11.2%だった「就業継続(育休利用)」の割合は2015〜19年には42.6%と大幅に上昇している
    • 正社員は74.7%派遣・パート社員は23.6%と雇用形態によって差はあるものの育休を取得する女性は着実に増えている
  • 増加の背景:
    • 制度改正によって育休中の社会保険料が企業も労働者も免除され免除期間中も被保険者資格が失効しなくなった
    • 育休期間中に雇用保険から「育児休業給付金」が支給されるようになった

■ 6. 専門家の見解:会社には損失でも社会全体では

  • 女性の労働問題に詳しい21世紀職業財団の上席主任・主任研究員山谷真名さんにこの投稿を読んでもらった
  • 山谷さんは働く女性が出産・育児を機にキャリアの主流から外され昇進などの機会を逃してしまう「マミートラック」の問題をさまざまな角度から調査している
  • 山谷さんの指摘:
    • 投稿された方が罪悪感をお持ちのように会社や職場には迷惑をかけますし後輩にも悪影響を与えるのは免れないでしょう
    • 一方で別の面からみれば投稿の中で「会社の福利厚生に不満はないけど」と書かれているように福利厚生以外は魅力を感じておらず仕事そのものには不満をためている状態だったのでしょう
    • そもそも復帰したいと思えるような職場でなかったのが問題である

■ 7. 専門家の見解:社会全体での還元と職場改善の必要性

  • コメントの中には育休から復帰せずに退職することについて「制度の悪用だ」と非難する声もあった
  • これについて山谷さんの見解:
    • 人材育成にコストをかけてきた会社にとっては損失でしょうがこの方は別の会社で働き続けようとしているわけで社会全体で見れば今後の働き方次第では十分還元できる
    • 子育てしながらキャリア形成できない職場環境であるのならそれを改善することが職場にいる人や後輩にとっても必要なことである
  • キャリアコンサルタントの国家資格を持つ山谷さんのアドバイス:
    • この投稿者に言いたいのはご自身のキャリアについて一度立ち止まって考えるのは素晴らしいこと
    • ただもっと中長期な視点で深掘りすることも必要だということである

■ 8. 専門家からの具体的提案

  • これまで職場で体験してきたことをノートに書き出すなどしてみれば別の視点から発見できることがあるかもしれない
  • 仕事に不満があって転職を考えているのなら上司と職場復帰後の生活について話し合い担当変更や異動願を出すことも可能である
  • 山谷さんの提案:
    • 働く目的や意味を捉え直したりすることでこれまでしてきた仕事について違う見方ができるかもしれない
    • スキルは方法にすぎないのでスキルの勉強をする一方で復帰と転職の両方を考えてみてはどうか

MEMO: