■ 1. フィンランドにおける人種差別問題の背景
- ミス・フィンランドが中華料理を食べながら釣り目をして座を剥奪された
- 国会議員が同様の写真を投稿し大炎上した
- リベラルな福祉国家でも人種差別が発生する理由には移民比率と教育制度が関係している
■ 2. フィンランドの移民状況
- 北欧諸国の中でフィンランドは移民比率が低い:
- スウェーデンは人口の1/4が外国生まれまたは外国にルーツを持つ
- フィンランドは1/10にも達していない
- ロシアと国境を接しウクライナ難民を多く受け入れている
- 非白人の移民受け入れは限定的である
- 非白人と接する機会が他の北欧諸国の半分以下である
■ 3. 教育制度と排他性の関係
- 欧州の高等教育機関の種類:
- 研究大学は研究が主で大学院併設が多く抽象的で職業に直結しない内容を教える
- 実践大学は教育が主で大学院が無いか修士までで具体的で職業に直結する内容を教える
- 教員養成制度の違い:
- デンマークとスウェーデンは実践大学で教員養成を行う
- フィンランドは研究大学で教員養成を行い修士号取得を求める
- ノルウェーは実践大学で教員養成をしつつ修士号取得モデルを実験中
- フィンランドは北欧諸国の中で最も教育に力を入れている
- 教育に力を入れている国ほど移民に対して排他的になりやすい可能性:
- 公立学校で教育と民主主義を重視した教育を受けた人達は異なる教育背景の人達との共存に疑問を持つ可能性がある
- 日米の高学歴リベラルが移民に寛容な理由:
- 義務教育段階から一般市民と隔離された環境で教育を受けている
- 教育を階層維持・移動の手段としてのみ見做している
- 民主主義を促進する手段としての教育が見えていない
- フィンランドの人達は民主主義を支えるための教育を受けていない非白人を異質と見做す可能性がある
■ 4. 北欧の国際感覚の狭さ
- EUのエラスムス+事業の影響:
- 学生への奨学金とスタッフエクスチェンジから成る
- 欧州域内の奨学金は潤沢だが域外への奨学金は少ない
- 欧州の学生の交換留学が欧州内に留まりがちである
- 域外への留学生数の実態:
- 奨学金を貰って欧州域外に交換留学に出た学生数はスペインへの留学生の1/5程度
- フランスやドイツへの留学生の1/3程度
- 交換留学の不均衡:
- 日本から欧州への送り出し過多となっている
- デンマークとの提携が切られる事例が発生している
- 欧州学生の行動変化:
- 新型コロナ禍以降に遠方への留学を忌避し始めた
- 学生が欧州圏内で滞留しがちになっている
- 欧州の教育水準の高い人達の国際感覚は相対的に昔より狭くなっている
- 国際教育・比較教育分野の教員や留学業務担当職員も同様の傾向がある
- バルト海を飛び越えただけでインターナショナルと主張される狭い国際感覚が存在する
■ 5. 日本とフィンランドの交換留学の提案
- フィンランドの教育から日本の学生が学べることは多い:
- 民主主義と教育の在り方を学べる
- フィンランドの学力低下を反面教師にできる
- 交換留学の不均衡が存在する:
- 日本からフィンランドへの留学生数に対しフィンランドから日本への留学生数が圧倒的に少ない
- フィンランドの若者を日本に呼ぶことで:
- 日本人が向こうで学ぶ枠を確保できる
- フィンランドの若者に日本やアジアに対する理解を深めてもらえる