■ 1. 習近平主席の愚公移山の精神
- 習近平主席が重要講話で好んで使う成語は愚公移山
- 出典は戦国時代の『列子』であり毛沢東元主席が好んだものを模倣
- 愚公移山は眼前の山を動かすと豪語する老人が子々孫々で少しずつ掘り起こしついには山を移させたという寓話
- 習近平は愚公移山の精神で14億人の頂点に上り詰めた
■ 2. 愚公移山式外交の実例
- 2009年12月の国家副主席時代の訪日での天皇面会のゴリ押し:
- 1ヵ月前までの申請ルールを無視
- この一点張りで日本を動かした
- 羽毛田信吾宮内庁長官が今後二度とあってほしくないと異例の発表
- 習主席は国家主席就任後12年あまりで延べ100ヵ国以上訪問しているが日本への公式訪問は避けている
■ 3. 高市首相発言への対応
- 先月7日の衆議院予算委員会での高市早苗首相の台湾有事に関する存立危機事態発言の撤回を要求
- この1ヵ月平時の日中外交をほぼすべてストップさせてこの一点張りで戦狼外交を激化
■ 4. 習近平政治の原点と中国の夢
- 原点は2012年11月の第18回中国共産党大会での総書記就任
- 新体制のスローガンは中華民族の偉大なる復興という中国の夢の実現
- 復興の意味:
- 1840年のアヘン戦争以来欧米列強に蹂躙された状態
- 1894年の日清戦争以来日本に蹂躙された屈辱の100年以前の状態に戻すこと
■ 5. 克日の精神
- 習主席が好んで使う言葉は不忘初心
- 建国の初心は悪の日本帝国を打ち破った中国共産党が1949年に中華人民共和国を建国した抗日の精神
- 2025年9月3日に盟友のプーチン大統領と金正恩国務委員長らを天安門の楼台に侍らせて中国人民抗日戦争勝利80周年軍事パレードを挙行
- 克日の精神が習近平政治に脈々と流れている
■ 6. 台湾統一と日本の責任論
- 台湾を統一できていないのは日本の責任という論理:
- 第一の理由は1895年の日清戦争終結時の下関条約によって台湾を半世紀にわたって植民地支配された
- 第二の理由は1931年の満州事変から1945年まで続いた14年戦争によって全土を蹂躙され第二次大戦後の台湾統一の機会が失われた
■ 7. 存立危機事態への中国の解釈
- 高市首相の存立危機事態発言を中国では存亡危機事態と訳している
- 中国側の類推:
- 中国が自国の一部である台湾を統一しようとすると日本が国家の存亡を懸けて中国と戦争する
- だったら日本と一戦交えてやろうではないかという気運になっている
■ 8. 日清戦争前との類似性
- 現在の日中の状況は日清戦争前の状況と酷似
- ただし当時と現在とで日中を入れ替えた状態
■ 9. 日清戦争前の日本と現在の中国の共通点
- 日清戦争前の日本:
- 富国強兵殖産興業をスローガンに軍事力と経済力を増強
- 新興大国として破竹の勢いで台頭
- イギリス他との不平等条約を改正し欧米列強による既存の秩序を変更しようと躍起
- 物価の下落と深刻な不況が訪れ軍の暴走を止められなかった
- 現在の中国:
- 強国強軍をスローガンに軍事力と経済力を増強
- 新興大国として破竹の勢いで台頭
- 米欧中心の既存の秩序を変更しようと躍起
- 物価の下落と深刻な不況に陥り人民解放軍や海警局は暴走を始めている
■ 10. 日清戦争前の中国と現在の日本の共通点
- 日清戦争前の中国:
- 日本の軍拡と挑発が恐ろしくて軍事費を増やして大量の軍艦を発注
- 欧米列強に調停を依頼
- 北京の朝廷も国民も平和ボケし現場の軍幹部が危機を訴えても朝廷は専守防衛を命じるのみで対処が遅れた
- 現在の日本:
- 中国の軍拡と挑発が恐ろしくて防衛費を増やして反撃能力をつけている
- アメリカや同志国に支援を求めている
- 政府も国民も平和ボケし自衛隊や海上保安庁が危機を訴えても政府は平和憲法に基づいた自重路線を求め対処が遅れている