■ 1. 石丸現象と今回の衆院選の性質
- 2024年都知事選で160万票以上を獲得した石丸伸二が約1年半後にはほぼ忘却された
- 今回の衆院選も「ショート動画を中心としたネット上の動き」という要因に集約される
- リベラル側の反省として「批判的言語を避けるべき」などの見当違いな分析が横行している
- 石原慎太郎・麻生太郎・安倍晋三など強硬な言動が支持率に響かなかった事例と矛盾する
■ 2. ショート動画による世論操作の構造
- 石丸のスポンサーはドトールコーヒー会長・鳥羽博道であり高市のスポンサーも同一人物
- 同一の資金力と宗教右派の動員力でアルゴリズムをハックし特定傾向の動画を拡散させた
- SNSプラットフォームのアルゴリズムは右派系コンテンツを優遇する構造にある
- Elon Musk買収後のTwitter・Meta・TikTok・YouTubeいずれも右派コンテンツが拡散される
- 右派の方が政治系コンテンツへの依存度と滞留時間が長くプラットフォームに「合理的」な動機を与えている
- 短期間の感情誘導の「賞味期限」は数ヶ月程度であり総裁選後のタイミングで解散に踏み切った背景にこれがある
■ 3. 左派・リベラルが同手法で対抗できない理由
- 日本では大勢順応主義・新自由主義の内面化・排外主義の蔓延という下地が強固に存在する
- アルゴリズムが右派コンテンツを優遇する環境下では左派コンテンツの拡散力は限定される
- こうした社会的下地なしに石丸現象や高市ブームは成立し得なかった
■ 4. 投票行動の分析
- 「中道」政党の失敗は右傾化よりも高齢男性二人が前面に出たことが主因
- 立憲民主が右傾化したことが敗因なら共産・社民が伸びるはずだが実際は減少した
- れいわも大きく減少しており浮動的な政権批判票を高市が獲得した
- 「女性だから」「若者だから」という漠然としたイメージで投票する層が一定数存在する
- この層が自称リベラルでありながら高市に投票した層の正体
- 政策的リベラルではなく日本流SDGsなどのイメージで動く層
- 与党候補である高市がインフレへの批判票を吸収できた理由:
- 同党の石破茂とその周辺を悪魔化し現職への不満を石破に向けさせることに成功した
■ 5. 選挙制度の問題
- 小選挙区制と比例代表制の悪いところが組み合わさった歪んだ制度
- 小選挙区制では相対的少数派が分立している限り相対的多数派が圧倒的に有利
- 野党分立が続く限り小選挙区での与党優位は継続する
- 比例によって小政党が生き残ることで野党の分立が温存される
- 国民民主党は野党を分断するために電力会社経営陣と電力総連が結託して作られた性格を持つ
- 原発維持・円安恩恵を受ける大企業御用組合の利益を代表
- 今回の小選挙区大量擁立は自民党へのアシスト以外の説明が困難
- 維新は自民別動隊としての役割を果たし批判票を分散させる機能を持つ
- 選挙制度改革の可能性はほぼゼロであり自民が現行制度変更のインセンティブを持たない
- 決選投票制度・連記制など海外の実例が国内でほぼ紹介されない
- 有権者が問題を認識できないため制度変更を求める世論が盛り上がらない
■ 6. メディアの問題
- 主流メディアは権力に追従するだけでなくネオリベ右翼一択の立場にある
- テック系ジャーナリズムが弱くアルゴリズム問題が選挙前に適切に報じられなかった
- 地上波テレビは民主主義の防波堤ではなくその破壊者の一員となっている
- 今後は安倍晋三時代を超える翼賛放送一色になる可能性が高い
■ 7. 今後の展望
- わかりやすい形での抑圧的全体主義国家ではなく右翼政党の権力独占による緩慢な衰退が予測される
- 巨額防衛費による財政的硬直化
- 排外主義高まりによる移民労働者の排除と労働力不足の深刻化
- アルゼンチンが20世紀初頭の経済大国から「先進国→発展途上国」へ転落した事例との類比
- 権力は排外主義カードを切ることで追い詰められた局面を打開しようとする可能性が高い