ハメネイ師とIRGC幹部7名の同時殺害。正直ここまでやるとは思わなかった。石油が暴騰する、ホルムズが封鎖される、第三次世界大戦だ——世間はそう騒いでいる。
核協議の最中に、主権国家の最高指導者が米議会の承認もなく殺された。制裁で40年かけても変えられなかった。だから物理で変えにいった。ルールで他国を従わせるという戦後秩序が機能しなくなり、国家が直接手を出す時代に入った。「力による現状変更を許さない」と言ってきた側がそれをやった。殆どの人権派が黙っているのは偽善だからじゃない。彼らの言葉が依拠していた秩序そのものが壊れたからだ。石油の値段より、そのことの方がはるかに重い。
そしてこの現実に直面する日本。石油の中東依存度は95%——だが石油にはオイルショックから50年かけて築いたIEA協調融通体制と備蓄246日分がある。G7の起源もそこにある。問題は、日本のメディアが「石油危機」で思考停止していることだ。50年の努力が安心材料として語られないのは虚しさしかない。そして、ホルムズ封鎖で先に危機になるのはLNGの方だ。国内在庫は全在庫(電力・ガス)でも3週間分しかなく、カタールのLNGもホルムズを通る。さらに中国のレアアース輸出規制が重なる。石油の値段ではなく、日本が直面するこの構図をこそ議論すべきではないか。