■ 1. 事案の概要
- 精神科病院(綾瀬病院)に統合失調症で入院中の40代女性が弁護士に退院の希望を相談
- 弁護士が女性の代理人として都に退院請求を申立て
- 病院側は退院請求を受け「退院請求した責任を取ったらどうか」と述べ患者をタクシーで弁護士事務所に送り届けた
- 弁護士が院長らを業務妨害として提訴し660万円の損害賠償を求めた
- 東京地裁は「報復の意図があったとは認められない」として賠償請求を棄却(2026年4月15日判決)
■ 2. 当事者の主張と経緯
- 病院側の主張:
- 退院請求が来た時点でグループホームへの入居を含む退院調整を進めていた
- 患者には帰宅できる自宅がなく退院先の確保が必要な状態だった
- 患者本人が「弁護士事務所に行く」と意思表示したためタクシーで荷物ごと送り届けた
- 弁護士側の主張(擁護派の論点):
- 退院請求は患者本人の権利であり弁護士はその権利行使を支援したに過ぎない
- 退院後の生活保障は病院側の責任であって弁護士の責任ではない
- 退院請求において役所等との連携を弁護士に義務付ければ退院請求を引き受ける弁護士がいなくなる
■ 3. SNS上の反応と論点
- 医療・看護従事者の見解:
- 精神科の退院調整には相当な時間を要しグループホームへの入居調整だけで1か月以上かかることが通常
- 退院請求の申立て時点で患者の退院先が確保されていなかった点が根本的な問題
- 退院先も生活支援も確保しないまま病院のみに責任を負わせることは現場への丸投げにあたる
- 法律専門家・一般コメントの見解:
- 任意入院中の患者が退院を請求し病院がその希望に応じて弁護士事務所まで送り届けた事実のみが存在する
- 判決は妥当との意見が多数を占めた
- 本件が示す構造的問題:
- 患者の退院する権利と退院後の受け皿確保の責任の所在が曖昧なまま制度が運用されている
- 退院請求制度の利用と退院後の生活支援の調整が連動していない実態がある