要約:
■ 1. 日本の性売買規制の動向
- 改正風営法の施行(昨年6月)や買春処罰化の検討(今年3月開始)など性風俗規制のあり方が注目を集める
- 売春防止法見直しに向け法務省有識者検討会がヒアリングを実施(4月7日)
- 性的搾取問題に取り組むNPOやセックスワーカー支援団体が意見を表明
- 買う側への処罰を求める声と規制強化反対論が対立
- 法務省は今秋の臨時国会か来年の通常国会での法改正を目指す
■ 2. 世界の性売買規制モデルの概観
- 主な法体系として「北欧モデル」「合法化モデル」「非犯罪化モデル」の3つが大きな潮流
- その他「禁止主義モデル」「規制主義モデル」なども存在
- いずれのモデルにも一長一短があり現在も最適解は出ていない
- 性風俗の取り締まりは古代から続く永遠の課題とされる
■ 3. 北欧モデルの概要と特徴
- 買春を犯罪とする法制度で「新廃止主義」「新処罰主義」「平等モデル」とも呼ばれる
- 性売買を「女性に対する暴力」と捉え根絶・産業縮小を目指す
- 売る側(主に女性)を全面非犯罪化し被害者として保護・支援する
- 買う側(主に男性)と業者を性的搾取の加害者として処罰する
- 買い手側の責任を法で問うことで性売買の構造そのものを変革する画期的アプローチ
- ジェンダー平等を重視し「性的行為の商取引化は人権侵害」との認識が基礎にある
■ 4. 北欧モデルの導入国
- 1999年にスウェーデンで世界初施行
- その後ノルウェー(2009年)・アイスランド(2010年)・カナダ(2014年)・フランス(2016年)・アイルランド(2017年)・イスラエル(2020年)の計7か国が実施
- イギリスの北アイルランドやアメリカのメイン州なども導入
■ 5. 北欧モデル誕生の背景(スウェーデン)
- かつては公娼制度を持ち1919年に廃娼運動により廃止
- 廃止後も斡旋禁止と店舗経営禁止の分離など中途半端な規制が続き性売買は社会問題として残存
- 1981年合法化への動き・1995年禁止主義への傾きを経て1998年に現行法を制定
- フェミニストたちが性売買当事者双方から大規模調査を実施しモデルを構築
- 「女性を罰することに意味がない」「売春が存在するのは男性が買うから」という事実を発見
- 男性の意識・態度・行動を変えることを主目的として設計された
■ 6. 北欧モデルへの支持と成果
- 欧州議会が2014年決議で人身売買抑制効果を評価し加盟国に制定を促す
- スウェーデン・フランスでは国民の圧倒的多数が支持
- イスラエルでは党派を超えた議員説得に成功し2020年に一部施行
- イスラエルの法施行3年後の調査で男性買春者割合が大幅減少
- 「性売買は有害」と見なす国民が多数派となり社会意識の変化が確認された
■ 7. 北欧モデルへの批判
- 規制強化が性風俗の現場で働く人たちの安全と健康を守らないとの反論が存在