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過半数が「気持ちを出さない」時代に 喜びさえも抑える理由とは? 職場と家庭で広がる“感情ミュート...

要約:

■ 1. 調査概要と感情ミュート社会

  • 博報堂生活総合研究所が2024年10月、20〜69歳の男女3914人を対象に「感情に関する意識調査」を実施
  • 56.3%が「あえて自分の感情や気持ちを出さないようにしている」と回答
  • 61.9%が感情を出す機会が「減った」と感じている
  • 63.8%が素直な気持ちを出せる相手や場が「減った」と感じている
  • オンライン会議の「ミュート」になぞらえ、この現象を「感情ミュート社会」と名づけた

■ 2. 感情を抑える場面

  • 仕事のとき(83.2%)が最多
  • 子どもと一緒のとき(63.2%)
  • 配偶者・パートナーと一緒のとき(55.3%)

■ 3. 感情ミュート化の背景

  • 就業構造と産業構造の変化:
    • 雇用者(組織で働く人)の比率が自営業主・家族従業者より増加
    • 第3次産業(商業・サービス業)が中心となり、対人労働の比重が高まった
    • 対人関係における感情の強い表出は衝突を招くため、感情ミュートが働きやすさにつながると認識されている
  • 職場文化の家庭への波及:
    • アンガーマネジメントなどの感情管理手法が職場で普及し、家庭生活にも影響が及んでいる
  • 多様性への配慮:
    • 不妊治療の可視化などを背景に「自分の喜びは必ずしも相手の喜びとは限らない」という認識が広まっている
    • 差別・ハラスメント回避への意識の高まりにより、感情表現のリスク意識が増している
  • 効率思考の高まり:
    • 56.0%が「感情や気持ちが揺れ動くことをわずらわしい」と感じている
    • タイパ・コスパの観点から感情表現を回避する傾向がある

■ 4. ポジティブ感情の抑制

  • 64.1%が「良いことがあったとき、浮かれ過ぎないよう感情を落ち着かせることがある」と回答
  • 高揚状態を客観視し、過剰反応を避ける意識が存在する
  • 好事の後に生じる失敗との感情的落差を事前に小さくしようとする心理がある

■ 5. 自分は出さず相手には求める矛盾

  • 62.5%が「人と接するとき、その人の感情や気持ちを出してほしい」と回答
  • 自分は感情を出さないが、相手の感情は読み取ろうとする
  • 相手の感情が見えない状況での関係構築の難しさから、相手への開示を望む心理が生じている

■ 6. 今後の展望

  • 感情ミュートの背景(多様性配慮・効率思考)は不可逆的であり、次世代へ再生産されるため、傾向はさらに進む
  • 一方で、自分も他者も傷つかない形での感情の処理・整理・表現方法を模索する動きもある
  • 感情ミュート社会を経ることで、感情表現がより豊かな社会へ発展する可能性もある

MEMO: