■ 1. 東大五月祭・参政党講演中止騒動の概要
- 東京大学の学園祭「五月祭」で参政党・神谷宗幣代表の講演に反対する複数人が会場入り口を封鎖した
- 大学に爆破予告の脅迫メールが届き、当日の全企画が中止となった
- 実力行使による講演阻止と参政党の市民的退却という構図が形成された
- アイデンティティ政治の先鋭化がもたらす暴走であり、リベラル再生はこれとの絶縁によってしか果たせない
■ 2. 在特会と参政党の相違
- 在特会:
- 民族的少数派の尊厳を傷つけることを目的とした差別的言論を展開した
- 行政規制と市民社会の対抗が必要不可欠であった
- 参政党:
- 消費減税、社会保険料削減、積極財政、外国人受入厳格化、食料自給率上昇などの通常の政治的主張を含む
- 外国人への不当な論難も見られるが、一義的にヘイトスピーチと定義しうるかは議論がある
- 反ワクチン・陰謀論的主張はヘイトスピーチではなく民主社会における「意見」の範疇にある
- 誤謬には真理の真理性を再確認させる役割があり、言論の機会そのものを実力で奪うべきではない
■ 3. 「日本人ファースト」スローガンのヘイト断定の困難性
- 政治家が自国民の信託を受けて行動することは主権国家の前提であり、スローガン自体の封殺は正当化されない
- 参政党の一部主張は不正確な表現で外国人の「特権」を強調するものであり、厳しく反駁されるべきである
- ただし、在特会と同等の「明白かつ現在の危険」をもたらすものとは言えない
- 参政党には2025年参院選比例で740万人超の支持者が存在し、立憲・公明・維新の各比例得票数を超える
- 本来、対話すべき相手は神谷宗幣氏ではなく、参政党に投票した740万人の普通の市民である
■ 4. ヘイト認定による言論封殺のダブルスタンダード
- 誓約書への署名拒否をヘイトスピーチ実行の証拠とする論理はマッカーシズムの忠誠審査に類似する
- 「ヘイトスピーチは発せられた瞬間に加害となるため事前阻止が必要」という論理は治安維持法の予防拘禁の発想に通じる
- 「ヘイトスピーチに表現の自由はない」という命題が、相手の表現の自由を否定するための手段と化している可能性がある
- 講演阻止の理由づけが、その熱情のあまり、批判対象である差別主義者の発想に近づいていないか問う必要がある
■ 5. リベラル再生のための過激運動との訣別
- アイデンティティ政治の独善性とダブルスタンダードが被害者・加害者の区別を困難にしている
- M・リラの分析によれば、アメリカにおけるアイデンティティ政治の歴史はリベラル衰退の歴史と重なる
- 自分と異なる考えを持つ多数派との接触を避け、社会運動に軸足を移した
- 無知な人々を説教し、相手に精神的変革を迫るようになった
- 他人の言葉のあらを探し、些細な失言で騒ぎ立てた
- 野党・リベラル勢力は一部の過激な運動と明確に距離を置き、新陳代謝を果たすべきである
- 反差別の目標を共有しつつ、節度と分別をもった市民的常識の態度が求められる