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二度の石油危機を乗り越えた日本車メーカーとは真逆…「メイドインEU」を域内企業に強制する欧州の悲惨な末路

要約:

■ 1. EUによるサプライヤー多様化義務付けの動向

  • EUは域内企業に対し、重要製品の調達において3社以上のサプライヤーからの納入を義務付けることを検討中
  • 1社当たりの調達比率を30〜40%に抑制し、中国など単一供給源への依存リスクを低減することが目的
  • 背景には中国によるレアアース輸出管理強化(2025年4月のサマリウム・イットリウム等7種)があり、EU域内の一部生産が停止する事態が発生
  • サプライヤー分散の義務付けは企業活動を大きく制約するものであり、市場経済の原理に反する

■ 2. オイルショックから学ぶ価格効果と効率改善

  • 1970年代の二度のオイルショックは、供給不足・価格高騰が効率改善を促す好例
    • 第一次オイルショック(1973年): 原油価格がバレル2ドル台から10ドル台へ上昇
    • 第二次オイルショック(1979年): さらに30ドル台へ上昇
  • 日本の自動車メーカーはオイルショックを機に燃費効率を飛躍的に改善し、国際競争力を向上させた
  • 1980年代中頃の逆オイルショック(原油価格急落)は、需要側の効率改善による供給過剰が原因
  • 供給ショックへの対応として政府が補助金・減税で支援するならともかく、事前に調達多様化を義務付けるEUの方針は市場原理に反する

■ 3. 産業加速化法(IAA)と「メイドインEU」政策

  • EUは2025年3月に産業加速化法(IAA)案を発表し、域内製品の生産・消費を促進しようとしている
    • 戦略分野: 鉄鋼、アルミニウム、セメント、風力タービン、電解装置、EV(脱炭素関連)
    • 分野ごとに域内製品の調達比率を規定
    • 域外からの直接投資(FDI)に技術移転・雇用創出の義務を課す
  • EUはGDPに占める製造業の割合を現在の16%から2035年までに20%へ引き上げることを目標に掲げる
  • IAAに対してはドイツ経済界を中心に批判が根強く、メルツ首相ら過剰規制に批判的なリーダーも多い
  • フォンデアライエン欧州委員長は規制緩和の姿勢を示しつつも、実際には規制強化を推進している

■ 4. 過剰規制がもたらす負のループ

  • 過剰規制によるコスト増大がEU製品の国際競争力を低下させる
  • 競争力低下への対応として更なる規制強化が行われ、コスト高と競争力低下が繰り返される負のループに陥っている
  • EUは中国・米国の閉鎖的な市場政策を批判しながら、自らも保護主義的な規制を強化するという矛盾した姿勢をとっている
  • サプライヤー多様化義務付けとIAAによる域内製品優遇は、実質的に表裏一体の保護主義政策

■ 5. スタグフレーション時代における政策の誤り

  • コロナショックとロシアショックを経て、グローバル経済はスタグフレーション(景気停滞と物価高騰の併存)局面に入っている
  • スタグフレーション脱却には需要抑制と供給刺激が必要であり、そのためには規制緩和が不可欠
  • EUの新たな規制は域内企業への「支援」ではなく「介入」であり、企業活力を弱める産業統制の性格を持つ
  • 統制的産業政策が経済の底上げにつながらないことは、1970年代の欧州自身が経験した事実

■ 6. 日本への示唆

  • 日本では規制強化より需要刺激に目が向きがちだが、スタグフレーション時代には規制緩和を通じた企業活動の活性化が重要
  • レアアースの自給自足を目指すよりも、外部環境の変化に企業がしなやかに対応できるよう不必要な規制を撤廃することが肝要