■ 1. 新規事業における市場調査の経緯
- コンサルタント時代に複数回の新規事業立ち上げを試み、ほとんどが失敗に終わった
- 教科書通りに事業計画を策定し、アンケートとヒアリングによる市場調査を実施した
- 調査段階では「買いたい」「ニーズにマッチしている」などポジティブな回答が多数得られた
■ 2. 「買いたい」という言葉と実際の行動の乖離
- 調査結果と実際の購買行動の差:
- 実際に商品を持参すると「予算がない」「時期じゃない」などの理由で購入されなかった
- 「買いたい」と言った人々が実際には買わなかった
- 予期せぬ受注:
- 調査時にほとんど反応がなかったクライアントから「こういうことはできるか」という連絡が来た
- そのクライアントは「実際に商品を見ないとわからない」と理由を述べた
- 注文の動機は「お世話になったし、熱心だったから」という関係性と姿勢によるものだった
- 市場調査やヒアリングは多くの人にとって「真剣に考えるに値しない」行為として扱われていた
- 「いいね」や「応援する」は挨拶程度のものであり、人の本音ではない
■ 3. 起業家から得た教訓
- 「がんばってね」「応援しているよ」という言葉の多くは言葉のみに留まる
- 人はみな自分にしか興味がなく、「助けてくれる」という期待は甘い考えである
- 重要なのはお金を払ってくれるかどうかという一点のみである
- お金を払う際の言葉こそが人の本心である
■ 4. ザッポスの事例: 実際の支払いによる仮説検証
- 背景:
- ザッポスは靴の大規模ECサイトとして大成功し、2009年にAmazonが推定12億ドルで買収した
- 創業者ニック・スインマーンのアプローチ:
- 大規模投資を行わず「実験」からスタートした
- ヒアリングによる仮説検証ではなく、実際に顧客がお金を払うかどうかを検証した
- 近所の靴店に依頼して在庫写真を撮影しWebに掲載した
- 購入があった場合は店頭価格で仕入れると靴店と交渉した
- 検証した内容:
- 顧客は誰か
- 顧客が感じる価値は何か
- 顧客はいくらなら買うか
- 代金回収・返品処理・顧客サポートの実務
■ 5. 結論
- 人の本当の姿は「言っていること」ではなく「身銭を切って何をしているか」に現れる
- 身銭を切らせることで本音が引き出される
- 商売において「買いたい」という言葉を過信することは慢心であり、クライアントはそれを見透かす