■ 1. ツアーの概要と主催団体
- 昨年8月、「アジアの平和と未来をひらく若者訪中団」と題した5泊6日の中国ツアーが実施された
- 表向きの主催は市民団体「広範な国民連合」であるが、実態は中国軍部と関係する思想工作ツアーと見られる
- 引率したのは、日本共産党を除名された親中派メンバーが結成した政治団体「日本労働党」の党員
- 学生30人を含む計42人が参加し、費用は学生側に無料で提供された
- 参加費用の総額は中国側が負担し、最低でも1000万円以上と推定される
■ 2. 事前学習と訪問先の政治的偏向
- 事前学習会では「広範な国民連合」と関係が深いX氏(沖縄出身の日中友好団体理事長)が講義を担当
- 配布資料には以下のような中国当局の主張に沿った内容のみが無批判に記載されていた:
- 沖縄の日本帰属の未確定論
- 中国主導の台湾統一への肯定的見解
- 現地の訪問先は中国共産党の地方幹部研修(紅色旅遊)に相当する施設が中心:
- 「侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館」(731部隊の被害を訴える博物館)
- 「中国人民抗日戦争記念館」(中国最大級の抗日博物館)
- 「北大紅楼」(北京における中国共産党結成の聖地)
- 中国政府が推進するハイテク産業の施設
■ 3. 監視体制と行動制限
- 監視・警備体制:
- ハルビンでは乗車バスが黒塗り車両2台に護衛され、SP約8人が同行
- 中国側の人員が常時カメラで撮影し、「旅行の記録」と説明
- 行動の完全管理:
- 街での自由行動・散策は一切禁止
- 日本語が流暢な中国人ガイド2人が常に同行
- 夜間のホテル外出は全面禁止
- 夜間は引率の日本労働党員によるミーティングが実施された
- 参加学生は「一銭も使わず日程を終えた」と述べており、中国の実際の社会や庶民との接触が意図的に遮断されていたと見られる
■ 4. 待遇と中国メディアの報道
- 宿泊先は1泊3万〜5万円クラスの豪華ホテルで、食事も充実していた
- 現地では多数のメディアが取材に訪れ、「日本の若者が軍国主義による侵略の歴史を反省した」として大きく報道
- 一部の参加学生は好印象を持ち、「みんな中国が好きになっていた」と述べた
■ 5. 帰国後の動向と中国大使との面会
- 帰国後、学生代表が「広範な国民連合」事務局長およびX氏に連れられ中国大使館を訪問
- 訪問日は満洲事変記念日(9月18日)
- 応対したのは呉江浩・中国大使であり、一般の学生訪中団を大使が引見するのは異例の対応
- この経緯はツアー全体に中国側の濃厚な政治的意図が存在したことを示すものと筆者は分析している