■ 1. NHK調査が示す若年層のリアルタイム視聴実態
- NHK放送文化研究所が公表した「2025年国民生活時間調査」がSNSで話題となった
- 平日に15分以上リアルタイムでテレビを視聴した人の割合:
- 16〜19歳: 27%
- 20代: 33%
- 若年層の約7割が平日にリアルタイムのテレビ放送をほぼ視聴していない
■ 2. 「テレビ視聴」と「テレビ番組視聴」の区別
- 同調査の「テレビ視聴」は「リアルタイムで放送波を視聴すること」を指す
- TVerや各局の動画配信サービスが日常化した現在、「テレビを見ない」と「テレビ番組を見ない」は同義ではない
- 若者の視聴行動の実態:
- 放送後にTVerでドラマやバラエティを視聴する
- SNSの切り抜きや考察を経て本編にアクセスする
- テレビ画面でTVerや動画配信サービスを視聴する
- スマートフォンで通学・通勤中に視聴する
- 若者が離れているのは「テレビ番組」そのものではなく、「決まった時間に放送波でリアルタイムに見る」という従来型の視聴スタイル
- 今回の調査結果は「テレビ離れ」ではなく「リアルタイム放送離れ」として読み解くべき
■ 3. 配信視聴の拡大を示す各種データ
- TVerの動向:
- 常時800番組以上の見逃し配信と地上波のリアルタイム配信を提供
- 2026年1月の月間ユーザー数は4,470万MUB、月間動画再生数は6.3億
- 運用型広告「TVer広告」の2025年度売上は前期比66%増、広告主数は2,780社
- 民放各局のデジタル広告収入(前期比):
- 日本テレビ: 13.0%増
- テレビ朝日: 37.2%増
- TBSテレビ: 18.8%増
- テレビ東京: 18.3%増
- ※フジテレビは一連の問題の影響により減収
- 視聴者がリアルタイム放送から離れる一方、放送局は配信へ受け皿を広げ広告収益化を進めている
■ 4. 「テレビ」という言葉の定義の曖昧さ
- 「テレビ」が指しうる意味:
- テレビ受像機
- 地上波・BSなどの放送波
- テレビ局が制作した番組
- かつてのリビングで家族が共有するメディア体験
- 定義の曖昧さが生む問い:
- 地上波ドラマをTVerで視聴した場合、「テレビを見た」と言えるか
- テレビ受像機でYouTubeやNetflixを視聴した場合、「テレビを見た」と言えるか
- スマートフォンでバラエティを見逃し視聴した場合、「テレビ番組に接触した」と言えるか
- 長年同じ分類で計測してきたからこそリアルタイム視聴の減少は明確に示されるが、「放送波のリアルタイム視聴者が減った」という事実と「テレビ番組が見られなくなった」という解釈は区別する必要がある
■ 5. リアルタイム放送離れが放送業界に与える課題と問い直し
- リアルタイム視聴離れは放送業界にとって大きな課題である
- 同時性が特に価値を持つコンテンツ:
- ニュース
- スポーツ
- 生放送
- 災害報道
- 問うべきは「テレビは終わったのか」ではなく:
- 「テレビ」という言葉で何を測り、何を語るのか
- 放送・配信・SNS・視聴デバイスをまたいだ時代に、テレビ番組の価値をどう捉え直すか