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「香港の次は台湾、そして日本」中国での禁書を販売し拘束された林栄基さんが死去、言論弾圧と戦った...

要約:

■ 1. 林栄基氏の死去と追悼

  • 2026年7月2日、台北市内の病院で肺がんなどにより逝去、享年70歳
  • 台湾の頼清徳総統はSNSで哀悼の意を表し、「平凡でありながら最も確固たる方法で自由の尊さを教えてくれた」と功績をたたえた
  • 台湾の大陸委員会も「民主と自由を支持する心は、国民から広く評価されるべきものである」との声明を発表
  • 香港では書店の看板がすでに撤去されており、香港国家安全維持法などの言論統制により、活動を公にたたえることは極めて困難な状況にある

■ 2. 銅鑼湾書店の設立と禁書販売

  • 生い立ちと書店開設:
    • 1955年12月、香港で生まれる
    • 1994年、香港・銅鑼湾のビル2階に約28平方メートルの「銅鑼湾書店」を開設
    • 2014年に書店を「マイティ・カレント・メディア(巨流傳媒)」へ譲渡したが、自身は店長として運営を継続
  • 開設の目的と理念:
    • 「一国二制度」下で保障された自由な言論環境を活かし、人々が権力を批判的に見つめる場を設けることを目指した
    • 中国国内から香港を訪れる人々や香港市民に、情報統制の壁を越えた「真実の記述」を届けるニッチなインフラとしての役割を担った
  • 取扱書籍(禁書)の内容:
    • 習近平をはじめとする中国共産党指導部の内幕・私生活・愛人問題・権力闘争を扱ったゴシップ性の強い政治本
    • 天安門事件など中国国内で発禁となった歴史的出来事に関する記録・批判的論評
    • 政治改革・民主化を訴える研究書・雑誌
  • ビジネスモデル:
    • 中国国内の読者へ郵送で直接書籍を届けるモデルが重要な収入源であった
    • これらの禁書は中国国内からの旅行客に人気の土産品として幅広く求められた

■ 3. 中国当局による拘束と告発

  • 2015年10月、中国広東省・深圳との境界を越えた直後に中国公安当局に拘束
  • 目隠しをされたまま連行され、隔離状態で数カ月にわたり取り調べを受けた
  • 拘束後は浙江省寧波や広東省韶関の図書館などの施設で監視下に置かれた
  • 2016年6月、顧客名簿が保存されたハードディスクの引き渡しを条件に、香港への一時帰境を認められた
  • 当局の指示を拒否し記者会見を開き、拘束の一部始終を公表した

■ 4. 台湾への亡命と書店再開

  • 2019年、香港政府による「逃亡犯条例」改正案の審議を機に身の危険を感じ、同年4月に台湾へ移住(事実上の亡命)
  • 2020年4月25日、台北市内で「銅鑼湾書店」を再開
  • 2024年に台湾の身分証を取得し、台湾社会の正式な一員となった
  • 台湾での選書方針:
    • 香港時代のゴシップ性の強い政治本から転換し、「民主主義」「自由」「人権」、台湾と香港の歴史や未来に焦点を当てた選書を実施
    • 2019年の香港逃亡犯条例抗議運動の記録や中国の全体主義化を分析した学術書・政治書
    • 台湾民主化の歴史・国家アイデンティティーを扱った書籍、独裁体制への抵抗・人権擁護・社会運動に関する翻訳書・哲学書
  • 台湾での書店再開にあたるクラウドファンディングでは、わずか数カ月で約600万台湾ドル(約2150万円)が集まった

■ 5. 台湾社会での評価と批判

  • 支持する勢力:
    • 民主進歩党(民進党)政権(蔡英文前総統・頼清徳総統)や立法委員が強く支持
    • 蔡英文氏は開店日に祝意を寄せ、頼清徳氏は直接書店を訪問
  • 批判・敵視する勢力:
    • 親中派・統一派団体やその支持者は「反中感情をあおる危険人物」として強い敵意を向けた
    • 開業直前の2020年4月21日、路上で男らから赤いペンキを浴びせられる襲撃事件が発生(犯行グループは逮捕)
    • 別の親中派グループが「銅鑼湾書店」の名称を先に商標登録し、出店妨害を試みた
    • 中国との融和を主張する一部勢力から「香港の政治問題を台湾へ持ち込み中台関係の緊張を高めている」「民進党の反中プロパガンダに利用されている」との批判も向けられた

■ 6. 林氏の思想と理念

  • 中国の「人民」そのものを憎んでいたわけではなく、香港時代も中国国内から訪れる客に禁書を販売し対話を重ねていた
  • 目指していたのは、中国の人々が政府の抑圧から解放され、香港人も中国人も互いの個人の尊厳と自由を持って共に生きる社会であった
  • 自由の失われた社会との決別という強い意思を示し、台湾こそ人生を託す場所であるとの考えを語っていた
  • 守り続けようとしたのは、「思想の自由」「表現・出版の自由」、そして「民主主義の価値」であった

■ 7. 日本への警告メッセージ

  • 林氏の日本観:
    • 日本に対して「自由と民主主義が成熟し、知的水準の高い国」という好意と敬意を抱いていた
    • 「日本の読者は非常に熱心で、香港や台湾、中国の政治状況について深い知識と問題意識を持って訪ねてくる」と評価していた
  • 日本人来店者の傾向:
    • 20代から30代の若い世代(2019年の香港抗議運動をきっかけにアジアの民主主義・人権問題に関心を持った層)
    • 40代から60代以上の研究者・報道関係者・ビジネスパーソン(一次情報の収集や活動支援を目的とした層)
  • 日本への最重要メッセージ:
    • 「独裁権力の脅威は決して他人事ではない」という地政学的な警鐘
    • 「香港が倒れれば次は台湾、そしてその次は日本、あるいはアジア全体が中国共産党政権の圧力にさらされる」との危機感を繰り返し語った
    • 自由は自然に存在し続けるものではなく、守り続けなければ失われかねないということを、香港の経験から学んでほしいと訴えた
    • 若い世代には「政治や周辺地域の情勢に目を向け、自分の頭で考える力を読書によって養ってほしい」と伝え続けた