■ 1. 事案の概要
- 2024年、カナダ・オンタリオ州にて、コテージに滞在中の11歳少年が就寝中にコウモリに顔(鼻・口付近)に乗られ、その後狂犬病を発症して死亡した
- カナダ医師会誌(CMAJ)の2024年6月29日発行号に報告が掲載された
■ 2. 事案の経緯と症状の進行
- コウモリとの接触直後の対応:
- 少年はコウモリの動きで目を覚まし、顔から払いのけた
- 父親が植木鉢でコウモリを捕まえ、外に放した
- 少年に目立ったけがはなく、コウモリの行動にも異常は見られなかったため、両親はすぐには医療機関を受診させなかった
- 接触から19日後の発症:
- 顔にしびれと腫れが出始め、救急診療所を受診
- 「ベルまひ(顔の片側の筋肉が一時的にまひする症状)」の可能性があるとされ、抗ウイルス薬が処方された
- その後の病院受診でヘルペス性歯肉口内炎の疑いと診断
- 急速な悪化:
- 翌日、顔の右側がまひし再び病院へ
- 入院待機中に39度の発熱、嚥下困難、錯乱、幻視などの症状が出現
- 同日中に容体が急速に悪化し、挿管処置を受け小児集中治療室に入院
■ 3. 診断と死亡
- カナダ・マニトバ大学の小児医療・小児保健学部の医師らが狂犬病を強く疑い、数日後の検査で確定
- カナダ食品検査庁がコウモリ由来の狂犬病ウイルスの変異株を特定
- 入院から17日後に死亡
- 少年にはアレルギー、感染者との接触、ダニによる傷、最近の外国渡航のいずれの経歴もなかった
■ 4. カナダにおける狂犬病の状況と予防
- 狂犬病の発生状況:
- カナダでは狂犬病感染は珍しく、1924年からの約100年間で狂犬病による死亡者は28人
- 発生率が低い理由はワクチン接種の広範な継続によるものとされる
- カナダ獣医師会は「接種を継続しなければ狂犬病は再発する可能性がある」と警告している
- 感染後の対処:
- 人がコウモリと直接接触した場合、狂犬病にかかっている可能性がある動物との接触直後に実施される医療処置(暴露後予防)を受ける必要がある
- 狂犬病は発症するとほぼ確実に死に至る