■ 1. 事件の背景と構図
- フジテレビ系ドラマ「夫婦別姓刑事」をめぐり、主演の佐藤二朗と橋本愛の間でトラブルが発生
- 佐藤・橋本両名にはそれぞれ支持の声があるが、フジテレビへの同情論は乏しく、トラブルの主な責任はフジテレビ側にあるとみられている
- 週刊新潮のロングインタビューで佐藤は橋本を直接非難せず、自身の言動への反省を示す一方、フジテレビ側への不満を明言
■ 2. コンプライアンス担当弁護士の問題行為
- 現場に来なかったコンプライアンス担当弁護士が突然介入し、事態を「火に油を注ぐ」結果にしたと佐藤は指摘
- 弁護士の具体的な言動:
- 「佐藤さんのタレント生命にも傷がつきますよ」と脅迫めいた発言
- 経緯の説明に耳を傾けず、「佐藤が加害者」という結論ありきの聴取を実施
- フジテレビと弁護士本人も姿勢の問題を認め謝罪を申し出たが、佐藤はこれを拒否
- 捜査権を持たない人物が一方的に恐怖を与える行為のコンプライアンス上の問題が指摘されている
■ 3. 「正義の暴走」という構造的問題
- コンプライアンス担当弁護士はフジテレビの過去の不祥事を背景に、厳格な姿勢で職務に臨んだとみられる
- 法的・政治的正しさに基づく客観的判断は第三者的「正義」ではあるが、当事者の実態とかい離する危険性がある
- 実際には:
- ドラマは最終回まで無事放送された
- 橋本は佐藤への処罰を求めていない
- 文春も「パワハラ」という語を使わず「爆弾ハラスメント」という造語でお茶を濁し、違法性には言及していない
- 日本テレビとTOKIO国分太一のケースとも類似し、「正義」追求が加害者・被害者双方とクライアント企業にハレーションをもたらすパターンが繰り返されている
■ 4. 危機管理の観点からの分析
- 危機管理コンサルタント・田中優介氏(株式会社リスク・ヘッジ代表取締役)の見解:
- フジテレビはそもそも「ゴール」を明確にできていなかった可能性がある
- 厳格なコンプライアンス重視の現場実現を目指すのか
- 当事者全員のウェルビーイングを考慮して乗り越えることを目指すのか
- 弁護士の行為が佐藤に心身のダメージを与えた結果、新たなコンプライアンス問題を生んだ面は否定できない
- 弁護士に任せきりにせず、ブレーキを踏む役割を企業側が主体的に設計する必要がある
- 田中氏は弁護士起用以前の段階の問題も指摘:
- 危機管理の基本ステップ「感知・解析・解毒・再生」において、「感知」と「解析」の時点で誤りがあった
- 弁護士選定の原則(田中氏の著書より):
- 自社が被害者の場合: 争いに強いタイプの弁護士
- 自社が加害者の場合: 物腰が柔らかなタイプの弁護士
- フジテレビは客観的には「加害者側」にもかかわらず、強硬姿勢の弁護士を使ったことがミスマッチだった
■ 5. 結論
- 正義を掲げた者が暴走すると、当事者の意思と無関係に正義の追及が続く
- その暴走にブレーキをかけることが困難な時代であることをフジテレビの事例は示している