■ 1. 法案の可決
- フランス国民議会(下院、定数577)が2026年7月15日、「支援を受けた死」を選ぶ権利を創設する法案を賛成291票、反対241票で可決
- 上院(元老院)には3度否決されてきたが、下院では4度承認され、今回の最終採決で成立の見通しとなった
- セバスチャン・ルコルニュ首相は成立前に一部条項を憲法評議会に付託し、合憲性の審査を求める意向を表明
■ 2. 法案の内容
- 対象者の条件:
- フランスの成人
- 生命を脅かす「重篤かつ不治」の病気の進行期または末期にある
- 耐え難い、あるいは治療が効かない絶え間ない身体的または精神的苦痛を受けている
- 手続きの流れ:
- 希望者は医師に対し自らの意思を自由に表明する
- 医師は意思表明から15日以内に診察を行い、決定を下す
- 2日間の熟考期間の後、希望者は自ら致死薬を服用する
- 自力での服用が不可能な場合は医師または看護師が薬を投与する
- 「支援を受けた死」の決定は当日中に医師が確認する
■ 3. 憲法評議会への付託事項
- ルコルニュ首相が重点的な取り組みを求めた三つの側面:
- 患者に与えられる2日間の検討期間の妥当性(反対派は短すぎると主張)
- 判断力低下を理由に法的保護を受けている患者が自由かつ十分な情報に基づく同意を行使できる能力
- 末期患者への緩和ケアを存在意義とする医療・社会福祉施設が「支援を受けた死」サービスを提供する上での役割
■ 4. フランス国内の賛否
- 反対意見:
- キリスト教カトリック教会が反対
- 一部の医療関係者が反対
- 右派政党が多数を占める上院が3度否決
- 賛成・支持の状況:
- 世論調査では国民の大多数が末期患者に緩和ケアまたは「支援を受けた死」の選択肢を与えることを支持
- エマニュエル・マクロン大統領は長年、終末期に関する制度実現を支持
- 2024年の解散総選挙によりプロセスが大幅に遅延した経緯がある
■ 5. ヨーロッパにおける各国の動向
- オランダ・ベルギー:
- 2002年に不治の病による耐え難い苦痛を抱える人々への「支援を受けた死」を合法化
- 医師が薬を投与する方法を認めている
- スイス:
- 幇助者が利他的に行動する限り、支援を受けた自死を認めている
- イギリス(イングランド・ウェールズ):
- 合法化法案の審議が2026年に入ってから停滞
- 同年9月に再び議会へ提出される予定
- フランス:
- 今回の可決により「支援を受けた死」を合法化した国の一員となる可能性