■ 1. 世界情勢と東アジアへの影響
- 大国が小国を力でねじ伏せる行為が公然と許容される世界になりつつある
- 冷戦後のアメリカ一極集中が終焉を迎え、米中の国力差が縮小している
- アメリカが南北アメリカ大陸への「引きこもり」を示唆しており、ロシアが主張してきた「多極世界論」をアメリカ自身が裏書きする状況になっている
- 「多極世界」の意味の変質:
- 当初はアメリカ覇権への対抗として、リベラルな国際秩序形成を目指す意味合いが強かった
- いつの間にか「大国による世界分割」という意味にすり替わっている
- ロシアのウクライナ侵攻が示す問題:
- 力ずくでの現状変更が成功すれば、「力があれば何をしてもよい」という悪い意味での多極世界が確定する
- 中国はこの状況を観察しており、東アジアの平和に直結する問題である
■ 2. 軍事力の必要性と外交との関係
- 日本人が軍事力に強いアレルギーを持つ背景:
- 戦前の「軍部の暴走」でひどい目に遭った歴史がある
- その感覚自体は民主主義国家の市民として健全なもの
- 現代において「軍事力なしで安全保障ができるか」といえば、現実的に不可能
- 軍事力は「車の保険」に例えられる:
- 戦争を起こしたくなくても、理不尽に攻撃してくる相手がいる可能性がある
- 反撃しない国と判断されればかえって戦争のハードルが下がる
- 軍事力を持つことは最悪の事態を避けるための「平和への投資」
- 外交と軍事は「二択」ではなく「両輪」:
- 強い外交のためには、裏付けとしての「力」が必要
- その力は軍事力だけでなく、経済力や知恵も含まれる
- 多極世界の方向性は各国の振る舞いにかかっている:
- 単なる大国による「世界分割」になるか、日本や韓国のような「ミドルパワー」が存在できる世界になるかは各国の対応次第
- 軍事という裏付けがあるからこそ、外交のテーブルで粘り強く対話を継続できる
■ 3. これからの平和教育
- 現状の日本の平和教育の課題:
- 「平和は大切だ」という基本を伝えるのみにとどまっている
- 日本が自滅的な戦争を始めた歴史から「日本が二度と戦争をしないこと」に主眼が置かれている
- 「向こうから戦争がやってくる場合」の話が教育の場で扱われることは少ない
- VRなどの技術による追体験の効果と限界:
- 広島の原爆直後を体験できるVRのような技術は、戦争の悲惨さを知る上で効果がある
- 「怖い」「悲惨だ」という感情的なショックだけで終わらせては、複雑な世界を守る力にはなりにくい
- 求められる平和教育の姿:
- 「どういうときに平和が壊れてしまったのか」を考えることが重要
- ウクライナ侵攻を教育の場で取り上げ、「なぜ国際社会は暴走を止められなかったのか」「今のウクライナの状況と何が違うのか」をセットで考えることが必要
■ 4. 子どもへの伝え方と親の姿勢
- 子どもへの伝え方:
- 「戦争は、残念ながらある」と正直に認める
- 生きていく中でそういうものに遭遇するかもしれないと伝える
- 「それは良いことではないし、なくなったほうがいい」ということも同時に伝える
- 子どもに現実のリスクについて語らないことは、生きていくための力を与えられないことにもなる
- 戦争と自然災害の違い:
- 地震や台風といった自然災害はやってくること自体を人間は止められない
- 戦争は人間が起こすものであり、人間が介在する余地が必ずある
- 人間が始めたのだから、人間が止めることも、防ぐこともできる
- 親の姿勢:
- 「正解がわからないなりに、一緒に悩んで考えている」という姿勢を見せることが誠実
- 「正直にわからないと言う」こと自体でよい
- 家庭の中で戦争について自然に考える機会を作ることも有効(戦争の絵本などを身近に置くなど)