■ 1. 研究概要
- 研究主体:
- 東京大学国際高等研究所新世代感染症センターの古瀬祐気教授と東北大学大学院医学系研究科の田淵貴大准教授の研究チームによる調査
- 国際科学誌Frontiers in Public Healthに論文「Vaccine-related misinformation and attitude toward COVID-19 vaccination in Japan」として発表
- 研究目的:
- ワクチンに関する誤情報をどの程度信じているかと、新型コロナワクチンの接種意向との関連を解析
■ 2. 調査方法
- データ:
- 2021年9〜10月に実施されたオンライン調査JACSISのデータを使用
- 対象は15歳から80歳の日本の一般市民3万1000人、有効回答は2万8175人
- 誤情報の測定:
- 「ワクチンの安全性に関するデータはねつ造されている」「製薬会社は安全性の問題を隠している」など、事実ではない7つの文章を提示
- それぞれについて同意するかどうかを尋ねた
- 統計処理:
- 回答が国民全体の構成に近づくよう統計的な補正を実施
- 誤情報を信じる程度と接種意向との関係を分析
■ 3. 誤情報信奉と接種行動の関係
- 誤情報を信じない人の割合:
- 7項目のうち一つも信じていない人は有効回答の88.9%を占める
- 接種状況別の誤情報信奉率:
- すでに接種を受けた人のうち何らかの誤情報を信じている人は8.1%
- 接種を拒否した人のうち何らかの誤情報を信じている人は36.6%
- 誤情報を信じる人ほど接種を拒む傾向がみられる
- 誤情報だけでは説明できない側面:
- 接種拒否者でも63.4%は誤情報を信じておらず、誤情報だけで接種拒否は説明できない
- 少なくとも一つの誤情報を信じている人でも63.6%は接種済みか接種の意向を示していた
- 誤情報の数と接種意向:
- 信じている誤情報の数が増えるほど接種意向のある人の割合は低下
- 7項目すべてを信じている人ではワクチンを避けるリスクが最も高まる
■ 4. ワクチン忌避と誤情報信奉に共通する要因
- 共通要因:
- 若年であること
- 低収入であること
- インターネットやSNSから情報を得ていること
- 以上がワクチン忌避と誤情報信奉の両方に共通する要因として同定された
■ 5. 誤情報の信奉有無による接種意向要因の違い
- 分析方法:
- 研究チームは誤情報を信じている人と信じていない人を分け、それぞれの接種意向と結びつく要因を比較
- 両グループに共通する要因:
- 医師から情報を得ていることはどちらのグループでも接種意向と結びついていた
- 低収入であることは両グループでワクチン忌避と関連していた
- 年齢の影響の違い:
- 誤情報を信じていない人では高齢者ほど接種意向が高い
- 誤情報を信じている人では20歳代など若い層で接種意向が高い
- 情報源の影響の違い:
- 政府からの情報は誤情報を信じていない人でのみ接種意向と関連し、信じている人では有意な関連は検出されなかった
- テレビや新聞からの情報が接種意向と結びつく傾向は、誤情報を信じている人でより強く表れた
- インターネットやSNSが接種回避と結びつく傾向も、誤情報を信じている人でより強く表れた