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「非常に軽率だった」AIで“性暴力被害や出産を語る架空女性”を作成した男性党員が反省

要約:

■ 1. 事案の概要

  • 架空女性による政治活動:
    • 生成AIで作られた女性が実在する政党名を掲げ、性暴力被害や妊娠、出産の経験を語りながら政治活動を続けていた
  • アカウントの内容:
    • X上のアカウント名は「中村りほ@立憲民主党」
    • プロフィールには性暴力から妊娠、出産を経験し女性が安心して暮らせる社会を目指すと記されていた
    • 女性支援、子育て支援、農業振興、地域活性化、福祉の充実などを掲げていた
  • 実在しない人物:
    • 「中村りほ」という女性は実在せず、アカウントを作成し投稿を続けていたのは立憲民主党の党員である実在の男性だった
  • 取材への回答:
    • 8月19日に書面で回答が寄せられ、架空の人物を実在する政治活動家であるかのように見せたことを「非常に軽率だった」と反省した

■ 2. 発信された架空の体験

  • 物語としての発信:
    • AIで作った女性の画像を掲載するだけでなく、存在しない女性の人生や家族、政治活動に関する物語が具体的な体験として発信されていた
  • 出産報告の投稿:
    • 8月14日に「お産後初の政治活動」として鹿沼市内の住宅を訪ねたと投稿
    • 15日には5月2日午前2時30分に3620gの女の子を出産したとする報告を掲載し、陣痛から出産までの経過も具体的に記していた
  • 男性名義の別アカウント:
    • 「中村りほ氏(25)」が性暴力による望まない妊娠と出産を経験し、その経験を政治の場に届けるため選挙への挑戦を決意したと紹介していた
    • 自身の後援会から「中村りほ後援会」へ移行すると発信していた
  • 実在すると受け取られる状態:
    • 複数アカウントの投稿が重なることで、実在の女性が将来の立候補を視野に政治活動を行っているかのように受け取られやすくなっていた
  • 明示の欠如:
    • 人物が架空であることや画像がAI生成であることが、受け手に明確に伝わる形では表示されていなかった

■ 3. 立憲民主党側の対応

  • 問い合わせの発生:
    • 筆者のSNSに実在する人物なのか、本当に立憲民主党に所属しているのかといった問い合わせが寄せられた
  • 県連への取材:
    • 8月18日に立憲民主党栃木県連へ電話取材し、小川事務局長がアカウント作成者は同党の党員である男性だと説明した
  • 公認の不在:
    • 男性は党から公認を得て政治活動を行っているわけではなく、党本部も状況を把握しアカウント名などに「立憲民主党」と記載しないよう連絡している
  • AI利用への通達:
    • AIで人物画像を作り政治活動の発信に使用する行為も不適切だと伝えて対応を求めており、対応に苦慮している様子が窺えた

■ 4. 架空の人物を作った理由

  • 発信への問題意識:
    • 女性や子育て、性暴力被害などの問題について発信したい思いがあり、架空の人物を設定して発信を始めたと男性は説明した
  • 誤解を与えた自覚:
    • 実在する人物であるかのような見せ方となり、見る方に誤解を与える発信になってしまい、非常に軽率だったと反省している
  • 発信方法の重大な問題:
    • 実在しない人物が自らの体験として性暴力被害や妊娠、出産、子育てを語り、現実の場所で政治活動を行っているかのように見せる方法は、受け手に重大な誤解を与えるものだった

■ 5. 政党名を掲げた問題

  • 男性の説明:
    • 自身が立憲民主党の党員であり、党の政策や考え方に共感していたため党名を表記したと説明した
  • 誤解を招いた認識:
    • 架空の人物のアカウントに党名を付けることで実在する党関係者であるかのような誤解を招き、党や関係者に迷惑をかける行為だったと認識している
  • 党員であることとの区別:
    • 党員であることと、架空の人物を党関係者や候補予定者であるかのように発信することは別の問題である
  • 受け手の受け取り方:
    • 政党名が付いたアカウントを目にした人は、その人物が党から公認、推薦、支援を受けている、あるいは少なくとも党が存在を把握していると受け取る可能性がある
  • 現実への影響:
    • 党の政策を応援する意図だったとしても、結果として党の信用や実際に活動する党員、地方議員、候補予定者にも影響を与えかねない発信となった

■ 6. 性暴力被害を語らせた問題

  • 男性の意図:
    • 被害者や、妊娠、出産、子育てで困難を抱える人を支援する政策を発信したかったと回答した
  • 正当化されないとの認識:
    • その目的があっても架空の人物を実在する政治活動家のように見せる方法が正当化されるわけではなく、発信方法について深く反省している
  • 当事者の経験の重み:
    • 性暴力被害や望まない妊娠、出産は、実在する当事者が深い葛藤や危険を抱えながら、時に覚悟を持って公にする経験である
  • 境界の曖昧化:
    • 存在しない人物の実体験として政治的発信に利用すれば、実際の当事者の声と架空の物語との境界が曖昧になる
    • 当事者の経験を借りた架空の一人称で共感や支持を得ようとする手法は慎重に検証されなければならない
  • 取るべきだった方法:
    • 重要な問題だからこそ、架空の体験を作るのではなく、当事者への取材や公開されている統計、支援団体の活動、具体的な政策の検証を通じて伝える必要があった

■ 7. AI生成の明示

  • 男性の痛感:
    • AIで作られた人物や情報が受け手にとってどれほど真偽を判断しにくいものになるのかを、自分自身の問題として痛感した
  • 明示の不可欠性:
    • AIを利用する場合には、AI生成であることを明確に表示するなど誤認させないことが不可欠だった
  • 分けて考えるべき論点:
    • 生成AIで架空のキャラクターを作ること自体と、そのキャラクターを実在する人物のように見せて政治的主張や架空の被害経験を発信することは分けて考えなくてはならない
  • 政治的発信で示すべき情報:
    • 人物が架空であること、画像がAI生成であること、運営者が誰なのか、実在する政党から公認や推薦を受けていないことを一目で判断できる形で示す必要がある
  • 表示と倫理の分離:
    • 「AI生成」と表示すれば架空の性暴力被害や出産体験を政治的な説得材料として利用してよいことにはならず、表示の問題と発信内容の倫理性は別々に問われる

■ 8. アカウントの現状と今後の対応

  • ログイン不能:
    • 男性は現在、問題となったアカウントにログインできない状態であり、原因は自身でも正確に把握できずXのサポートに問い合わせている
    • 原因について推測で答えることは控えるとしている
  • 再発防止の表明:
    • 今後は同様の方法による発信を行わず、AIを使用する場合にもAI生成であることが明確に分かる形にすると回答した
  • 取材対応の評価:
    • 取材に回答し自らの行為を認め、正当化されないと明言したことは問題を検証するうえで重要である
    • 取材中、男性は憔悴した様子で反省の弁を繰り返していた
  • 求められる事後対応:
    • アカウントへのアクセスが回復した場合には、人物が架空だったことや過去の投稿内容が事実ではなかったことを閲覧者に明確に伝える対応も必要になる

■ 9. 政治的発信の透明性

  • 発信の自由と重要性:
    • 政治的な意見を発信する自由は誰にでもあり、女性支援や子育て支援、性暴力被害者の支援を訴えることも重要である
  • 偽ってはならない前提:
    • だからこそ発信の土台にある人物や体験が実在するのか架空なのかを偽ってはならない
  • 突きつけられた課題:
    • 生成AIによって存在しない人物の顔だけでなく、経歴、家族、被害経験、政治活動まで容易に作り上げられる時代になった
    • 今回の出来事は発信者だけでなく、政党、プラットフォーム、報道機関、情報を受け取る私たちに政治的発信の透明性をどう守るのかという課題を突きつけている