■ 1. 訴訟の経緯
- 松竹伸幸氏の除名訴訟:
- 2023年に党首公選制の導入や自身の立候補について記した著書を出版した後、日本共産党から除名処分を受けたことに端を発する
- ジャーナリストである松竹氏が元党員として処分の是非を争っている
- 党側の位置づけ:
- 書籍で松竹氏が党首公選制を訴えたことなどが党規約に違反する
- 松竹氏側の反論:
- 著書の中でこれらが規約に反しないことを丁寧に説明しており、処分は違法である
- 8月27日の証人尋問:
- 東京地裁で午前10時30分から午後5時ごろまで、丸1日をかけて4人に対して行われた
- 都内での会見は同日に開かれた
■ 2. 結論ありきの処分決定
- 本を読む前に固まっていた方針:
- 処分を決定した党側の証人は、著書を1月20日から2月5日の判断までの間に読んだと述べた
- 一方で除名の方向性自体は1月20日には固まっていたことがうかがえる
- 出版前からの動き:
- 原告側の伊藤建弁護士は、書籍の出版前から除名に向けて動いていたことが明らかになったと指摘する
- 出版前のインタビュー記事などから、党はすでに処分の方針を決めていたというのが原告側の見立て
- 松竹氏の実感:
- 党中央の決定は常に正しく、それを貫くためにどうするかという立場で物事を組み立てている
■ 3. 再審査手続きの実態
- 再審査の建前と実際:
- 再審査は党大会で行うとされている
- 党大会に出席する648人の代議員は、松竹氏の除名を再審査することを事前に知らされていなかった
- 実際の審査は「大会幹部団」と呼ばれる21人に委ねられていた
- 株主総会になぞらえた説明:
- 原告代理人の平裕介弁護士は、大会幹部団を取締役や株主総会を運営する立場、代議員を株主になぞらえる
- 株主総会であれば株主に資料を配布し、株主がその資料を見て議題について判断するのが普通である
- 拍手による却下:
- 松竹氏の再審査では、急に幹部団の決定が一方的に代議員に報告された
- 代議員による決議をとることもなく、拍手で再審査の却下が決定された
- 一般社会と比べて非常に特殊な方法であり、重大な手続き上の瑕疵がある
- 松竹氏の受け止め:
- 再審査とは処分した側と処分された側の双方の意見を聞いて審査するものだと思っていた
- 実際にはそのようなことはなく、これが党のやり方かと知った
■ 4. 山下芳生筆頭副委員長の事前面会
- 代議員との面会:
- 党の“ナンバー2”である山下芳生筆頭副委員長の証言も焦点となった
- 松竹氏の処分に反対していた代議員1人と、党大会の10日ほど前に面会していた
- 山下氏の回答:
- 審査する側がそのような不公正なことをしてはいけないのではないかと問われ、会わなければならないと思っていたと答えた
- 平弁護士の評価:
- 裁判にたとえれば裁判官が事前に証人に会うようなものであり、ありえない
- これで松竹氏が不公正な手続きを経て除名処分されたことが明らかになった
■ 5. 弁明機会をめぐる争点
- 党規約上の二段階の機会:
- 調査の段階と、処分を決める前に弁明する段階で、それぞれ本人が異議を唱える機会が与えられるはずである
- 松竹氏への適用:
- 同じ時期に除名された党員には両方の機会が付与された
- 松竹氏には一度の機会しか与えられなかった
- 党側証言の食い違い:
- 一度だけしか機会が与えられなかった点は証人尋問で認められた
- 松竹氏が権利を放棄したという証言と、一度の手続きで2回分の機会を与えたという証言があり、言い分が食い違っている
■ 6. 党の変質
- かつての共産党:
- 2000年代に党規約が新しくなってからは、犯罪を犯したから除名といったケースはあった
- 政治的な見解の違いを理由に除名になる例は記憶になく、自由に意見が言える普通の政党になりつつあった
- 意見が違うからという理由で党員を排除する党ではなかった
- 空気の逆転:
- 普通の常識的な党になりつつあると思っていた空気が逆転しつつあるのを、今回の裁判で見せつけられた
- 党員の権利をどう尊重するかは考えられていない
- 中央の決定したことは正しいから従え、という政治になりつつある
■ 7. 今後の見通し
- 次回期日は12月10日で、双方が最終準備書面を提出したうえで結審する見込み
- 早ければ年度内にも判決が出る可能性がある