■ 1. 3党早期合流の断念
- 早期合流の断念:
- 立憲民主党が中道改革連合と公明党への早期合流を断念する方針を、8月27日の3党幹事長会談で伝達
- 地方組織などから反対意見が相次いだことを踏まえた判断
- 中間整理で優先された2案:
- 立憲と公明が解党ないし分党して中道と合併する「存続合併」
- 両党の議員が離党して中道に入党する「離党・入党」
- 7月末の中間整理で組織手続き上効率的な方法として優先し、8月末をめどに結論を得ることも確認
- 立憲執行部はその2案がいずれも困難だと判断
- 統一会派案の提示:
- 各党を存続させたうえで国会での統一会派を含む連携を模索する案を、水岡俊一代表が28日の3党党首会談で示す見通し
- 統一会派と合流の違い:
- 国会内の数の論理でいえば3党合流とほとんど同義
- 国民に与える印象はかなり異なり、過去15年と同じく「決められない野党」という印象を強くする
- 「大きな塊」形成の困難:
- 早期合流の断念は、野党側で急場に「大きな塊」をつくることの難しさを改めて示した
■ 2. 地方組織が合流を拒んだ理由
- 東京都連の反対表明:
- 8月上旬、所属議員143人を対象としたアンケートの結果を踏まえ、3党合流に反対する意向を党本部に伝達
- 回答したのは半数近くで、そのうち約8割が明確に立憲の存続を求める内容
- 公認作業との矛盾:
- 川名雄児会長は来年の統一地方選に向けた公認作業に触れ、公認したのに党がなくなったのでは説明がつかないという趣旨を語る
- 理念ではなく実務の問題:
- 地方議員にとって党名は看板であり、後援会や支援団体に対して説明してきた言葉そのもの
- 統一地方選まで残り7か月あまりで看板が架け替われば、説明を一からやり直すのは党本部の幹部ではなく候補者本人
■ 3. 財政難という逆方向の圧力
- 政党交付金の激減:
- 今年1月に衆院議員が離党して中道に移った結果、立憲の国会議員は参院の39人のみとなった
- 今年の政党交付金は31億1800万円まで減少
- 収入構造の崩壊:
- 2024年の収入は90億9400万円で、うち政党交付金が70億5600万円と8割弱を占めていた
- 繰越金が40億円超あるとはいえ、統一地方選以降の資金繰りは難しい
- 二律背反の構図:
- 合流しなければ資金が細り、合流すれば地方が離れる
- 今回の合流断念は地方の側を選んだ結果
■ 4. 有権者の突き放した反応
- 世論調査が示す「元に戻せ」:
- 共同通信が8月22日と23日に実施した調査で「合流は全て取りやめ、元の立民と公明に戻すべきだ」が51.0%と過半数
- 「全員が中道に合流し、1つの政党になるべきだ」は19.0%
- 「参院議員らは合流せず、今のまま3つの政党を残すべきだ」は17.9%
- 極めて低い政党支持率:
- 産経新聞社とFNNが8月8日、9日に実施した合同世論調査で中道1.7%、立憲2.0%、公明1.4%、合計5.1%
- 同じ調査で野党トップの国民民主党5.2%に3党を足しても届かない
- 「支持政党なし」は40.2%
- 3党側の説明:
- 行政を厳しくチェックし、実効性のある政策を提案して実現する力を備えた「中道勢力の大きな塊」をつくると説明
- 理屈としてはわかる
- 求められているのは塊ではない:
- データを踏まえれば、有権者が塊を求めているとはとても思われない
- 選択肢にはないが「興味がない」が多数派とも思われる
- 組織論理への不信:
- 再編が政策の中身より組織論理で動いている印象を有権者に与えている
- 目的の不明確さ:
- 政権交代を目指すのか、2月の衆院選で「溶けた」と形容された支持層の固め直しが主眼なのかが不明
- 目的が党内外で周知されないままでは、今後新党をつくっても信頼や党勢の回復にはつながりにくい
■ 5. 繰り返される野党再編の既視感
- 同じ経路をたどる10年:
- 2016年3月の民進党結成、2017年秋の希望の党をめぐる分裂、2020年9月の新しい立憲民主党と国民民主党の結成
- 野党第一党をめぐる再編はおおむね同じ経路をたどってきた
- 無党派層の離反:
- 有権者、特に無党派層の関心はそれぞれの政党からさらに離れていく
- 政党と政治家の双方が「社会と国民のために何ができるのか」を早く示す必要がある
■ 6. 公明と中道の立場
- 公明の完全合流要求:
- 公明党は完全合流を求め、衆参両院にまたがる国政政党を結党することで合意しているという立場
- 立憲が示す統一会派案は、公明からすれば約束の反故に近い
- 「議員引き揚げ」論:
- 公明内では、協議が調わなければ中道から公明出身の衆院議員を引き揚げるべきだという声も出ている
- 中道代表の難色:
- 小川淳也代表は8月24日、合流が困難な場合に立憲と公明が参院で統一会派を組む案に難色を示す
- 合流を頂点としてどのような連携がありうるかを議論している段階であり、慎重で丁寧な対応が必要という趣旨
- 三者すべてが望まぬ結論:
- 立憲の着地点は公明にとって約束の不履行であり、中道にとっては求心力の喪失
- 政治は妥協の産物とはいえ、なかなか難しい帰結
■ 7. 候補者調整と選挙協力への影響
- 選挙協力の方向転換:
- 次期国政選挙に向けた候補者調整や選挙協力の方向性も大きく変わる
- 公明との関係では、他党と候補者の棲み分けや推薦のあり方が改めて問われる
- 国政と地方の乖離:
- 9月の沖縄県知事選ではすでに3党の対応が割れており、国政での枠組みと地方での実際が乖離している
- 個別調整の負担:
- 合流がなくなれば個別調整は一件ずつ積み上げるほかなく、大変なコストとなる
- 地方議員や総支部は独自擁立か選挙協力かの判断を急ぐ必要が生じ、後援会や支援団体への説明責任も生じる
- 中央と地域の時間差:
- 候補者調整は党本部の大きな方針が決まらなければ動かない
- 一方で有権者との関係は地域で積み上がるものでもある
■ 8. つぶされる中道の若手候補
- 中道の総支部体制:
- 今年1月の結党時に衆院選の小選挙区と比例代表ブロックごとに総支部を置き、候補者がそれぞれ総支部長に就任
- 落選と総支部解散:
- 2月の衆院選では立憲民主党出身者を中心に180人以上が落選
- 8月上旬までに総支部の解散は30を超えた
- 活動拠点の消滅:
- 総支部は落選者にとって次の選挙までの活動拠点であり、その解散は政治活動の足場そのものが消えることを意味する
- 選挙区に地盤も知名度もないまま新しい看板で立候補した若手には、より大きなインパクトを持つ
- 若者を消費してきた野党:
- 野党は意欲ある若者に必ずしも優しくも手厚くもなく、むしろ消費してきた経緯がある
- 看板を掲げるときには「新しい顔」として前面に出し、選挙が終われば処遇の議論から抜け落ちる
- 若手処遇を考える必要:
- 野党はそもそも小さな存在だけに、若者たちの行き先と今後の処遇を各党で丁寧に考えるべき
- 人が入ってこなくなった組織が、あとから塊になれるはずもない
- 若者は将来の可能性そのもの
■ 9. 問われるべき論点
- 「誰と組むか」から始まる議論の限界:
- 日本の野党再編の議論はいつも誰と組むかから始まる
- 有権者が知りたいのは、組んだ先に何ができるのか
- 党首会談への警鐘:
- 8月28日の党首会談で語られるのがまたしても手続きと組織の話にとどまれば、無党派層の関心は離れていくばかり