…なんて書くと「わけがわからない」と思う人も多いだろうが、割とマジである。
三十路にさしかかり、「若い女」特有の苦労もよほど少なくなった今、マトモな男が想像以上に多くて心底驚いているのだ。
女がアラサーあたりでフェミになるというのも納得する。
「若い頃の苦悩は何だったんだ!?」と思い、愕然とするのである。
「若い頃の苦悩」というのは、ヤリチン男に騙された!みたいな話ではない。
加齢に伴い、イケメン強者男性に見向きされなくなった結果、マトモでマジメな男の良さに気づき、今さら昔の話を蒸し返している、とかでもない。
しかし、たいていの男性はマトモなので、全体のおそらく1%〜5%にも満たないであろうヤバい個体の、生殖戦略における生態を知らないのではないか。
そのせいで、男女論で双方の主張が噛み合わないのではないか。
そう思って、この文章を書くことにした。
■ 無差別凸型のヤバ個体
この手のヤバ個体はたいていオッサンである。
ただ、よく聞いてくれ。
オッサンが必ずしもヤバいわけではない。
オッサンだって、本当はマトモな人が大多数だ。
その一方で、無差別凸型のヤバい個体はたいていオッサンである、というのも事実なのである。
「オッサンはキモいから何をしても加害なんだろ」?
いや、キモくて無害なオッサンもいて、そういう人は別にいい。
ヤバ個体というのは、たとえば、SNSで若い女を見かけるとDMでチン凸する・デフォルトアイコンのまま、FF外からデートに誘ってくる・ブロックにもめげずにしつこく複垢で粘着する、
リアルだと、たとえば、接客業(飲食店やレジ打ち等)の若い女に唐突にラブレターを渡す・レジでなぜかAVを見せてくる・下着売り場や生理用品売り場に「ずっと」いて、女性客をつけ回す。
……みたいな奴のことである。
若い人はそうでもない。
いや、正確には、若くてもそういう挙動をする人はいるのだが、若気の至りと区別がつかずまだマイルドである。
しかし、オッサンになってそれをしているというのが何を意味するかというと、年齢とともに学習して行動を改めるでもなく、周りに注意してくれる人がいるでもなく、50歳になっても60歳になっても、永遠にワンチャンを求めて10代〜20代の女性に凸し続けているエリートモンスターということなのである。
若気の至りだった層が、年齢を重ねるごとにそういう奇行から次々と離脱する一方で、もともとモンスターの素質のあった層は厳選され、どんどん先鋭化していく。
オッサンに恋愛をする資格がないというわけではない。ただ、この層は特殊で、やめてくれと言おうにも、コミュニケーション自体がまともに成立しない。思考回路からして分からない。
しかも、ひとつひとつの行動自体は「迷惑行為」とか、せいぜい「軽犯罪」の範疇なので、たいてい野放しである。
野放しになっている彼らは、被害者を量産する。
若い女性の、男性に対する異常な警戒心は、だいたいこのモンスターの行動によるものだ。
■ 逆恨み型のヤバ個体
世の中には、振られた腹いせとかで、女性に暴行やストーカーをはたらく男がいる。
この手の逆恨みによる暴行・ストーカーは、巷では「非モテチー牛の所業」などと言われていたりするが、実はあんまり関係ないと思う。
見た目が良くない人は振られがちで、振られたその瞬間にヤバさが顕在化するので、結果として、ヤバい奴はチー牛ばかりであるかのように見えているだけではないか。
しかしこの層は根本的に、女性が自分の思い通りに動かないことに対してキレるので、陽キャのイケメンならば付き合い始めてから豹変するだけの話である。
まあ、彼女がサンドバッグになっている間、ほかの女性は無事なので、フリーの期間が長いチー牛の所業が相対的に目立ってしまうというのはあるかもしれない。
なのでこれは「チー牛はヤバい」「陽キャはヤバい」みたいな話ではない。
チー牛も陽キャも、その大多数は常識的なのだが、ヤバい奴がごく僅かにいる(そしてそれが深刻)ということだ。
で、逆恨み型の場合は、振られるか交際に発展するかによってその後の挙動が変わるので、女性の「非モテ男からのアプローチが怖い」という心理は、正確には「そもそも男を振るのが怖い」といったところである。
結局非モテ男が悪いのではなく、振られたときに奇行に走る一部の男が悪いのだ。
とはいえ、たいていこういう男はモテないし、奇行に走るようなヤバい奴であればあるほど、懲りずにあちこちでトラブルを起こすので、女性の視点からすると、これまでの経験をもとに「非モテは怖い」に収束するのかもしれない。
■ 性犯罪者型のヤバ個体
まず、性犯罪者は性犯罪者であるという時点でヤバいのは前提としても、それどころの騒ぎではない輩がいる。
ためしに、性犯罪者の思考を頑張ってエミュレートしてみてほしい。
ここで「美人の同僚の酒に睡眠薬を混ぜ、家に連れ込んで意識がない間に…」とか考えた人は甘い。言っちゃ悪いが、それはだいぶ普通の性犯罪である。許されることではないが、所詮は想像できる程度の悪事だ。
でも、たとえば、診察と称してガッツリ手マンする医者とか、指導と称して教室でチンコを触らせる教師とかがいたらどうだろう?
多くの人は「いや、そうはならんやろ」と思うのではないか。
フィクションならともかく、現実でそんな大それたことをしようなんて、思いつくことすら難しい。
でも、稀にそういう「そうはならんやろ」を実行に移す者がいる。
結果どうなるかというと、あまりの意味不明さに、被害者すらも「自分の被害妄想では」と考えて誰にも言えなかったり、たとえ告発があっても、周囲は「勘違いじゃないの」と諌めてしまうのである。
このように「常識的に考えて、被害妄想や勘違い以外にありえないでしょ」みたいな性犯罪は実在するのだが、ありえなさすぎて誰もが信じないので、何年かして表沙汰になった頃には、これまた膨大な人数の被害者が発生しているということだ。
そして、この手の個体は、本当に医者や教師に多い。
ヤバ個体が何かの間違いで医者や教師になってしまうと、仕事柄、社会的に弱い立場の人をターゲットに加害し放題だからだ。
そのため発覚しづらく、被害者はおそらく社会が想定しているよりも大勢である。
病人や障害者や子どもの言うことは、たいてい真に受けてもらえないから、女性(ときに女児や男児)の被害経験と男性不信は蓄積する一方なのである。
それでいうと、例の乳腺外科医は気の毒だった。
判決や報道を見る限り、本当に何もしていなかったのだろうが、不幸なことに、あれは女性からすると「そういう医者がいても、まあ、おかしくないよね」の類型なのである。
マトモな男性には想像もつかないだろうけど。
女性は、実際にそれに近い被害経験があったり、周りの女性から聞いたり、これまで遭遇したほかのヤバ個体の挙動から類推したりと、人によって機序は違えど「ああ、あるよね」と納得してしまう。
あと、痴漢だって「何となくお尻をさわさわ」だと想像している人はかなり甘くて、現実にはスカートの中に手を入れたり、何なら膣内に指を挿入する奴までいる。
なんなら、人目も憚らずに堂々と胸を揉みしだいたりもする。
意外にも、誰も何も言わない。しかし考えてみれば当たり前である。あまりに堂々としていると、周囲は合意のうえでの迷惑行為だと認識するし、どんな人だって迷惑カップルとはあまり関わり合いになりたくないものだ。
そして被害者も何も言わない(というか言えない)。だって、こんな異常者、抵抗しようものなら何をされるか分からないから。
***
つい、長くなってしまった。
しかし、このように、世の中には想像を絶するヤバい男というのがいるのである。
そして、異性愛がマジョリティであるという都合上、この類のヤバさについて、一般男性が知る機会はほとんどないのではないか。
彼らはあまりに思考回路がヤバいので、本能の赴くままに10代〜20代女性を次々と魔の手にかけるし、あまりに行動原理がヤバいので、その被害申告は常識ではあり得ない内容になり、誰もまともに取り合わない。
しかも、この手の無茶苦茶な経験の数々は、早ければ12歳ごろから始まる。
苦痛極まりないが、子供の頃から日常の中に浸透しきっているので「そういうもの」として理解して適応してしまう。感覚が麻痺しており、「声を上げれば社会は変わる」とすら感じない。最初からそれが当たり前だと思い込んで諦めてしまう。
要するに、大人の男性という属性への認識が形成される最初期のうちに、異常なサンプルばかりがインストールされるのだ。
あと、同年代のマトモな男子・男性も、それはそれで年齢相応に未熟なので、まあまあ嫌な思いはする。もっとも、これは被害云々というより、人間関係のトラブルの範疇ではあるが。
これらのヤバい個体からの接触は、三十路にさしかかるとみるみるうちに消えていった。
おそらく、ヤバい個体はもともと個人としての女性などどうでもよくて、単に「若い女」という属性に興味があっただけだから、三十路にはもう用がないということなのだろう。
今では、私に声をかけてくる男性は、恋愛や性欲由来だろうが、単なる友情や親切心由来だろうが、軒並みマトモである。
そりゃあまあ、遠慮なく欲を言うなら、清潔感が〜とか甲斐性が〜みたいなのは無限に出てくるが、あの頃のような意味不明な経験の数々は、本当に消え去った。
「理想ドンピシャの男がいない」なんてもはや瑣末事。
人間扱いって、要するにこういうことだと思う。
それが分かってしまった以上、やはり「若いうちは嫌な思いばかりさせられた!」と言わざるを得ないのだ。
だって、こんなに穏やかで幸せな生活があるなんて、かつては想像もしていなかったのだから。
そして、せめてこれからの若い女の子が、かつての自分のような経験をしないで済むように、アラサーBBAはフェミ化する。そのやり方や言い方の良し悪しはあれど、モテなくなったことによる嫉妬ではなく、本心から加害者に対して怒り狂っているのだ。
そう、マトモな男性は加害しないし、異常者の思考回路も分からないし、かといって若い頃に女性と同じ経験をしてきたわけでもない。
そのせいか、女性の恨みつらみを、自分に向けられたものだと認識し、どんどん対立とすれ違いが深くなる。
さて、どれだけ「あの頃はひどかった」と訴えても信じず、勘違いで騒ぎすぎだと呆れ、嫉妬だろうと嘲笑し、俺は関係ないと切り捨ててしまう「マトモ」な男性の数々――戦いは第2ステージに突入。少子化は止まらない!
【2026-09-14 追記】
ありがたいことに多くの反応をいただいています。
いくつか気になった意見について追記します。
- 異常な女も同様にいるだろ
もちろん異常な女もいる。加害性があるだけでなく、その加害性の形式が意味不明な奴。
ただ、異常な女はたいてい、ひとりの男に年単位で永遠に粘着し続ける。被害者の男性はとても気の毒なのだが、被害が広まりにくいので、多くの男性は恐怖を体験していないんじゃないだろうか。不安に思うことはあるだろうけど。
こればかりは男女の性欲の非対称性の問題だと思う。
頂き女子や示談カツアゲなんかもいるが、奴らは性欲で行動しているわけではなく、ツールとして性欲を悪用しているだけの詐欺師である。ヤバい加害者であることに変わりはないが、目的はカネなので分かりやすい。
しかし性欲由来のヤバ人間は、何を考えているのかとか、何を求めているのかとか、どこまでエスカレートするのかとか、そういうのが一切不明なので、別種の恐怖がある。運が良ければ一時的な迷惑、運が悪ければストーカー殺人。まあ、ほとんどは前者なのだが、毎回ロシアンルーレットを引かされているようなものなので、実際の被害以上に疲弊する。
- 同じ男だからってヤバ個体を止めれるわけないだろ
それはそう。だから私は「ヤバ個体を排除しない男が悪い」まではいわない。そう主張するフェミニストも多いけど、あんなん止めれるわけないから。
ただ「気のせいじゃない?」「無視すればいいじゃん」「通報したら?」みたいなことを言うのはやめてほしいのだ。たいていは「気のせいかも」「無視しよう」「さすがに通報しよう」とかいろいろ試みた末に、限界になって声を上げている。
そして、できれば周りの女性に共感してほしい。露骨なヨシヨシでなくて「ヤバ、怖すぎ」とかで全然いい。
一応、SNSならブロックしたり、通勤時間を変えたり、客なら上司に相談したりするが、一件一件は解決しても次々と新しいモンスターが現れるのである。若い女はその状況自体に限界になっているので、もはやマトモな人からの共感以外に手立てはない。
女同士ではちょくちょく共感し合っているが、身近にいる男性からの理解は、別種の安心材料になる。というのも、恐怖でパニックになったときに「やっぱりあんな奴は、男性から見てもおかしいんだな」と再確認できるので。そうすると世界への不信感がだいぶマシになると思う。
- 一部の異常個体の話なら主語を「男」にするな
まさに正論。本当に、ほとんどの男性はこんなおかしな行動をしないのだ。そんな世の中であってたまるか。
理屈では分かっているので、とりあえず私はSNSで「男は〜」と言わないように気をつけている。「男が悪い」ばかり言っている人のことを批判したりもする。
でも、過激なフェミニストがなんであんな物言いをするのかという背景について、どうか知っておいてほしい。それこそ、アニメイラストを性的消費だと言って怒るのすらも、かつて少女だった自分が受けた被害を思い出して嫌になる、みたいな心理があったりするのではないか。というか、少なくとも私はたまにそうなるのだ。わざわざ騒ごうとは思わないけど。
PTSDの軽いやつみたいな感じかもしれない。
別に、過激な言動を肯定する必要はないが、かといって「BBAが美少女に嫉妬してるw」みたいな単純な話でもないと理解しておいてくれるだけでいい。
何か反論するなら、せめて「気持ちはよく分かるがその主張には賛同できない」と言ってほしい。中には看過できない発言もあるだろうが、「これだからフェミは自意識過剰で頭おかしいんだよ」とか引用するくらいなら、お願いなのでどうか、発言者をそっとブロックしてもらえないだろうか。
もしかしたら、それで少し対立が和らぐかもしれないので。