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なぜ欧米では若者が左派を支持し、日本では若者が右派を支持しているのか:日本のマムダニはどこにいる

要約:

■ 1. 問いの出発点

  • 日米の若者の支持傾向の差:
    • 衆院選や沖縄県知事選に絡み、アメリカではマムダニなど左派が若者に支持される一方、日本では若者ほど右寄りだという議論がある
  • 堀新氏による既出の回答:
    • リベラル派インフルエンサーの堀新氏がすでにこの問いへの答えを書いている

■ 2. マムダニの目玉政策は小池都政が実現済み

  • 東京都との比較:
    • 東京の都営住宅はすでに26万戸あり、URもあるため単純比較はできない
    • マムダニが打ち出す保育無償化や建物の温暖化対策支援も、東京都はすでに実現させている
  • 日米で同じものが支持されている:
    • 有権者は公営住宅整備や保育無償化を望んでいる
    • それを掲げたマムダニは支持されて当選し、それを実施した小池都政も支持されて続いている
  • 日本の左派と若年層政策の断絶:
    • 高齢者が主体の日本の左派は保育無料などの政策にあまり興味がない
    • 高齢者福祉と財源が競合するため、潜在的に敵対する関係にある
  • 「新しいリベラル」の数字:
    • 橋本努らの議論では、潜在的にマムダニを支持するであろう「新しいリベラル」はシルバーデモクラシー意識が高い
    • 高齢者のせいで政策がゆがめられていると考えている層であり、シノドス報告書の数字にも表れている

■ 3. 日本の左翼が最重要視する9条護憲

  • 日本固有の最重要トピック:
    • 日本の左翼にとって最重要のトピックは9条護憲である
    • 野党共闘を訴えた市民連合は安保・護憲を主たるトピックとし、これこそが与党と野党を分ける境界線だと主張している
  • アメリカに存在しない論点:
    • 9条護憲という論点は日本固有であり、アメリカには存在しない
    • 米国では日本なら争いにならない公共サービスや社会福祉が左右の争点になる
    • 日米の左派や右派を単純に比較し、どちらの左派が人気かを論じるのは無理である
  • 逆にアメリカ固有の論争:
    • 銃規制、中絶、国民皆保険はアメリカでは政治の左右を分ける最重要トピックだが、日本には存在しない

■ 4. 両国で異なるウイングの限界

  • 日本の左派の壁:
    • 日米同盟を支持し、護憲派の反西側的態度が受け入れられないという人が8割5分程度を占める
    • 反西側的態度とは、人権主義諸国である西側を嫌い、反人権的な中露イランなどを好む態度を指す
  • 日本の右派の柔軟性:
    • 右派と呼ばれる人でも保育園無償化などには抵抗が少ない
    • この点は「世界一成功した社会主義」と揶揄されてきたところでもある
  • アメリカの右派の壁:
    • 歴史的な共産主義アレルギーがあり、右派は保育園無償化などの政策を「共産主義的」と言って嫌う人が多い
  • 帰結としての両国の政治構造:
    • 日本では左派側が護憲を壁として伸び切らず、左にウイングを伸ばす自民党が安定している
    • アメリカでは右派側が共産主義アレルギーを壁として左にウイングを伸ばしきれず、マムダニが勝った

■ 5. 「左」「右」の1文字しか読めない人々

  • ラベルの貼り替えという言葉のマジック:
    • 米国のマムダニと日本の9条護憲的な人をどちらも「左派」と呼んだところで、何も得るところはない
    • 文脈も前提も論点も全く違う現象に、たまたま同じ単語を割り付けているにすぎない
  • 日本の左派が抱えるアレルゲン:
    • 9条護憲、反西側、親中露イラン北朝鮮という、海外の左派が持たない要素を有している
    • 保育園無償化などの政策を占有しておらず、自民や小池にお株を奪われている
  • アメリカの右派が抱える制約:
    • 中絶反対、銃規制反対、共産主義を連想する政策への反対という、日本の右派が持たない制約を有している
  • 同一視の不可能性:
    • これらをひとまとめにして同じ「左」「右」として扱うのは不可能であり、堀新氏の議論は妥当である
  • 「日本の若者がアホ」という批判への反論:
    • トランプ支持率も欧州極右政党の支持率も若いほど低く年代が上がるほど高い、という批判がある
    • 政策まで見れば、アメリカの若者と日本の若者が必ずしも正反対のものを支持しているわけではない
    • 保育、住宅、社会保障、公共サービスなど、若年層にとって重要な政策には共通する部分がある
  • 違いは提示のされ方:
    • それらの政策がアメリカでは「左派」の政策として提示され、日本では必ずしもそうではない形で提示されている
    • 政策を見て投票する若者より、ラベルだけを見て政治を判断する人のほうがよほどアホに見える

■ 6. 追記: 欧州の状況

  • ドイツの世代別政党分布:
    • アダム・トゥーズのChartbook 356によれば、SPDとCDUが高齢者の党である
    • LinkeとAfDがそれぞれ若年層の党であり、左右それぞれに高齢者の党と若者の党がある
  • 若者の支持のブレ:
    • 日本でも国民民主党、旧れいわ新選組、参政党などが入れ代わり立ち代わり若者票を取っている
    • どこまで安定するかはまた見てみないと分からない