■ 1. 中道改革連合の解体と有権者の失望
- 解体を巡るゴタゴタ:
- ほとんどの所属議員が、創設した新党を半年あまりで見捨てて離党した
- 「残務整理のため」として中道に議員を1人だけ残した
- 有権者には「目指したことを簡単に捨てるのか」「残務整理を1人に押し付けるのか」としか見えない
- 政治理念の色あせ:
- 一連の混乱で、中道は「結局は選挙目当ての合従連衡だった」と受け止められる
- 「包摂社会」を掲げた綱領の内容は高く評価できるものだったが、それさえ色あせてしまうのが残念でならない
- 解党後の統一会派:
- 離党者は立憲出身者と公明出身者による二つの政党に分裂した
- 一方でこの2党は衆院で統一会派「中道」を結成し、国会では同一行動をとる
- 野党第1党の座を国民民主党に奪われたくない、国会での主導権を手放したくないという意図がうかがえる
- それならなぜ分裂するのか訳がわからず、有権者には最もわかりにくい点となっている
■ 2. 中道の「ゆ党」化
- 特別国会での存在感の喪失:
- 中道は国論を二分する法案でたびたび与党寄りの態度を見せ、国会での存在感を失った
- 公明出身者の与党体質:
- 「自民党に働きかけて政策を一部修正させる」という長年の与党体験が抜けきれていない
- 野党として政権と対決する「構え」が十分にできていなかった
- 立憲出身者の萎縮:
- 本来は公明出身者に野党としてのあり方を理解してもらう役割があった
- しかし「野党は批判ばかり」という古臭い批判に萎縮し、公明党の与党的な動きに引きずられた
- 結果として中道は立憲と公明の間を取ったように「ゆ党」化した
- 統一会派「中道」の今後:
- 中道解体は参院の立憲民主党との合流の失敗から始まった
- そのため統一会派「中道」は、政権に働きかけて修正を勝ち取る公明党的な動きをさらに強める可能性がある
- 形の上で野党第1会派であっても、臨時国会でさらに存在感を失い、野党の中核と認知されることも難しくなりうる
■ 3. 国民民主党の限界
- 突如の野党第1党:
- 衆院の会派の議員数は統一会派「中道」より少ないが、所属衆院議員の数は公明と並び野党第1党となった
- 対立軸を打ち立てられない理由:
- 覚醒して高市政権との対立軸を打ち立て「玉木雄一郎政権」を目指すなら良いが、たぶん無理だ
- これまで散々「ゆ党」の立場を謳歌してきたため、「対決より解決」路線を今さら変えられない
- 自民党からの「味方」扱い:
- 自民党の鈴木俊一幹事長は16日、国民民主党について「連立を組むところまでいくと思う」と言い放った
- 対立軸どころか自民党から味方扱いされており、ため息しか出ない
■ 4. 「野党第1党」の消滅
- 野党の3類型:
- ①与党から政権を奪い、自らの政権樹立を目指す「野党第1党」
- ②「政策実現」を大義名分に与党にすり寄る「ゆ党」
- ③政権批判に集中し、自らの政権樹立への意識が極めて薄い「たしかな野党」
- 「ゆ党」と「たしかな野党」の共通点:
- 一見真逆だが、自前の政権を樹立する考えを持たない点で似ている
- どちらも自民党が政権を持ち続けることを前提にしている
- ①の不在:
- 中道の解体で①の存在が消えた
- 統一会派「中道」も国民民主党も、政権とまっとうに対峙せず「ゆ党」化する可能性がある
- 政治の緊張感の喪失への危惧:
- 野党がいずれも政権奪取を目指さず楽に生きていこうとするなら、政治の緊張感はどこにも生まれない
- 自民党が急速にまっとうな政権担当能力を失いつつある中、代わる勢力が生まれなくなることを強く危惧している
■ 5. 「大きな塊」から「大きな構え」への転換
- 「大きな塊」づくりの限界:
- 野党第1党が粉々になった今、無理やりまとめて「大きな塊」を作るのはもはや無理だ
- 選挙という民意を経ず「永田町の論理」で離合集散を繰り返すこと自体が有権者に嫌悪されている
- 「大きな塊」づくりにあがけばあがくほど、有権者の支持は離れる
- 発想の転換:
- 「多弱」の野党をまとめて何色かわからない「大きな塊」を作る構想は一度捨てるべきだ
- 「多弱」のまま、高市早苗政権に対峙する1点で緩くまとまる「大きな構え」を作る方向に切り替えるべきだ
- 臨時国会での野党の現有勢力:
- 10月5日召集とされる臨時国会への対応が重要となる
- 野党議員が辞職したわけではなく、衆院の与野党の勢力は変わっていない
- 参院は現在も与党が過半数割れしている「ねじれ国会」である
- 参院と上手く連携できれば、野党は現有勢力のままでもかなり戦える
■ 6. 参政から共産までの共闘
- 国会における「野党」という役割:
- 連立を組む自民党と日本維新の会以外は全政党が「野党」である
- 政権を右から批判する政党も左から批判する政党も、「提案型」の政党も政権批判に徹する政党も、すべて野党の役割を与えられている
- 共同で対峙すべき争点の共有:
- まず臨時国会で共同して高市政権と対峙すべき大きな争点を共有することから始めるべきだ
- 一つの政党ではないため、個々の基本政策の違いには目をつぶる
- メディアが「○○の与党vs××の野党」と簡単に見出しを書けるくらい、与野党の対立構造を徹底して確立する
- 右端と左端の共闘の実例:
- 特別国会では、与党が衆院予算委員会で中央公聴会の日程を数で押し切ろうとしたことに、参政党から共産党まで反対した
- 日本国旗損壊罪法案の審議では、全野党が衆院本会議の採決を欠席した
- 「高市政権の強引な国会運営に反対する」1点で政策の異なる野党がまとまった
- 国会とはそういう場である
■ 7. 争点1: 高市改造内閣の評価
- 問題のある閣僚人事:
- 派閥の裏金事件で政治資金収支報告書に不記載があった旧安倍派の「裏金議員」が2名入閣した
- 維新からは、談合事件で逮捕・起訴され有罪判決を受けた議員も入閣した
- 野党は彼らを入閣させた高市首相の政治姿勢を徹底的に問うべきだ
- 世論の後押し:
- 「スキャンダル追及は嫌われる」「政策論争をすべきだ」という使い古された反論もある
- しかし内閣改造後の各種世論調査では、閣僚人事を「不適切だ」と考える人が軒並み半数を超えている
- 野党がこの声に応え、国会で首相の真意をたださないほうがおかしい
- スキャンダル追及が嫌われる理由:
- スキャンダル追及には野党をまとめる効果がある
- 政策批判では個々の野党の考え方の差が強調されがちだが、スキャンダル追及ではその違いを気にせず結束できる
- 「スキャンダル追及はダメ、政策論争を」という主張は、形を変えた野党離間策である
- 「悪役」を演じ切る野党:
- 国会は劇場と似ており、政権が嫌がることを問いただすのは野党に与えられた「役割」である
- 「国民に嫌われる」のが気になるなら、悪役のオファーを受けたつもりで演じ切ればいい
- 悪役を見事に演じた俳優が評価されるように、野党の評価も役割を演じきれるかどうかで決まる
■ 8. 争点2: 選挙制度改革
- 比例定数削減法案:
- 比例代表の定数を45削減する衆院議員定数削減法案は、野党の批判を受け特別国会で継続審議となった
- 比例の議席が多い少数政党、すなわち野党が打撃を受ける「多数派の横暴」を地で行く改革案である
- 臨時国会で再び大きな政治課題となるのは間違いない
- 野党結集のテーマとしての適性:
- あらゆる野党が不利益を被るため結束しやすい
- 権力者が強権で政治を一色に染める「決めすぎる政治」への対抗軸となる
- 多様な議員を国会に送り「熟議」を大切にする政治を訴えることは、高市政権との「国家像の違い」を示すことにつながる
■ 9. 野党埋没の危機と今後への期待
- 「高市vs林」構図の危険:
- 高市首相は内閣改造で、党内でリベラル色が強いとされる林芳正氏を閣僚から外した
- 立ち位置が野党に近い林氏をメディアが持ち上げ、来秋の総裁選に向け「高市vs林」の構図が確立する恐れがある
- その段階で衆院解散・総選挙が仕掛けられれば、野党全体が自民党内の「疑似政権選択」に埋没する
- その結果、野党がそろって壊滅状態に陥ることも想定される
- 今の野党にその危機感があるのか、実に心許ない
- 「次の野党第1党」が育つ道筋:
- バラバラで「多弱」の野党が国会では心を合わせ、高市政権と対峙して一定の成果を出す
- その戦いで鍛えられ「自民党と違う社会像」という対立軸を最も明確に打ち出した政党や政治家が現れる
- さらに政権奪取の力強さと、政権運営を任せられる安心感を得た者が徐々に有権者の信頼を集める
- やがてそれが「次の野党第1党」の芽として認知される
- 臨時国会への期待:
- そうした流れの一端だけでも臨時国会の論戦から感じたい
- 全野党の奮起に期待する