/note/social

共産党が「残業代」請求された訴訟で“全面敗訴”…「党職員は労働者」104年の歴史で初認定

要約:

■ 1. 残業代訴訟の決着: 共産党側の請求認諾

  • 訴訟の概要:
    • 原告は作家・漫画評論家で、日本共産党福岡県委員会から除籍された元職員の神谷貴行氏
    • 神谷氏は同委員会に未払い残業代の支払いを求めて提訴
  • 福岡地裁での認諾:
    • 6月22日、被告の県委員会が原告の請求を全面的に受け入れる「認諾」の電子調書が作成された
    • 判決に至ることなく、原告の完全勝利で裁判が終結
  • 請求の認諾とは:
    • 被告が原告の法的請求を全面的に受け入れる訴訟上の行為
    • 電子調書の作成・記録により、原告全面勝訴の確定判決と同一の効力を持つ(民事訴訟法266条・267条)
  • 原告代理人の評価:
    • 平裕介弁護士は、被告を全面敗訴させる認諾は被告側代理人にとって法律家としての“禁じ手”だと評価
  • 党史上初の労働者性の認定:
    • 7月3日に原告側が都内で報告集会を開催
    • 党職員が労働基準法9条の「労働者」と裁判上正式に認められたのは共産党104年の歴史で初だと神谷氏は指摘
    • 神谷氏は赤旗での明確な報道と党大会での周知・議論など、まじめな対応を党に要求

■ 2. 除籍・解雇の経緯と請求内容

  • 神谷氏の経歴:
    • 1988年に日本共産党へ入党
    • 2006年から党職員として勤務し、福岡市議団事務局長などの役職を歴任
  • 除籍と解雇:
    • 2024年8月、県委員会が神谷氏の除籍を決定
    • 党職員としても解雇され、地位を喪失
  • 先行する別訴訟:
    • 神谷氏は一連の処分を不当とし、2024年11月12日に提訴
    • 党員の地位と雇用契約上の権利を有する地位の確認、パワハラによる損害賠償を請求
  • 本件訴訟の提起:
    • 2025年5月21日に未払い残業代の支払いを求めて提起
    • 請求の中心は2021年11月30日から2023年5月30日までの宿直残業代237万8934円
  • 宿直の実態:
    • 県委員会では専従者に週1回程度の宿直が強制的に割り振られていた
    • 勤務は午後6時から翌日午前9時半まで、2名体制
  • 労働時間の立証:
    • 県委員会にはタイムカードや勤怠管理システムがなかった
    • 神谷氏が几帳面に手帳へ記録を残していたため、労働時間の計算が可能となった
  • 労働時間管理の責任:
    • 松尾浩順弁護士は、本来労働時間を記録するのは使用者側だと指摘
    • ブラック企業ほど勤務時間を管理していないケースがあるとも指摘
  • 支払いの結果:
    • 原告側は訴えを変更して請求額を一部引き下げ
    • 遅延損害金(年14.6%)を含む約300万円が6月末までに支払われた

■ 3. 党の主張と実際の運用の矛盾

  • 党内外での説明の食い違い:
    • 党は職員の労働を“自主的な活動”、労基法の遵守を“自主的な善意”であるかのように社会へ説明
    • 一方で裁判では党職員を労働者と認めており、事業主として労基法を守る法的義務がある
    • 神谷氏は、わざと分かりにくく説明せず、党員の労働者性を明確に認めて赤旗で報じるべきだと主張
  • 党の掲げる理念との矛盾:
    • 共産党は「労働者階級の党」を掲げてきた
    • サービス残業をなくすため実労働時間を正しく把握すべきだと主張してきた
    • 神谷氏は党の主張と党内の運用が食い違っていると指摘
  • 消滅時効の援用:
    • 県委員会は請求可能日から3年を過ぎた分について消滅時効を援用
    • 消滅時効の援用とは、一定期間の経過を理由に支払い義務の消滅を主張すること
    • これにより神谷氏は一部の請求を断念
    • 神谷氏は、労働問題での時効3年はおかしいと共産党議員が国会で追及してきたはずだと批判
  • 過去の認諾批判との矛盾:
    • 森友問題をめぐる赤木雅子さんの国家賠償訴訟では国が請求を認諾した
    • 赤旗はこの件を「真相究明が封じられた」と批判的に報じてきた
    • 平弁護士は、党自らが認諾するのはこの主張と矛盾し、ありえないと指摘
  • 赤旗での報道の要求:
    • 平弁護士は本件を歴史的な訴訟とし、無署名論文でもよいので赤旗に載せて論じるべきだと主張
  • 他の党職員への波及:
    • 松尾弁護士は、党職員が実質的に労働者となれば地区の役員も労働者になり得るケースが多いと指摘
    • 今後、神谷氏以外の党職員にも影響が及びうる

■ 4. 除籍・パワハラ訴訟への影響

  • 労働者性の認定という武器:
    • 神谷氏らは今回の認諾が除籍・解雇とパワハラの損害賠償訴訟にも影響すると予測
    • “政党内部は特殊な世界だ”という党側のロジックが使えなくなる
    • 労働者に関するこれまでの判例が使えるようになる
  • 査問とパワハラ:
    • 平弁護士は、神谷氏が受けた「査問」などは組織的・集団的に本人を自殺に追い込む行為だと指摘
    • 2023年の宝塚歌劇団の劇団員死亡事件(歌劇団が上級生らのパワハラを認め謝罪)と何が違うのかと問題提起
    • パワハラ訴訟では党側の認諾はありえないとの見通しを表明
  • 松竹伸幸氏の提起:
    • 除名処分をめぐり党と係争中の松竹伸幸氏も報告集会に出席
    • 今回の勝利を力に党職員の労働条件を改善してほしいと発言
    • 党内に労働組合を結成し、中央委員会に団体交渉を申し入れるべきと提起
  • 神谷氏の結びの要求:
    • 専従職員の在り方を党内で議論し、国民にも説明すべき
    • 時代に合わせて共産党をどういう党にしていくべきか話し合う必要がある
    • 党中央には赤旗での報道と党大会での周知・議論など、まじめな対応を求める