■ 1. 告発文の概要
- 告発の主体と対象:
- 「元スタッフ有志」名義の告発文が、若年女性支援団体「Colabo」の理事や支援者に送付された
- 9月13日に発送され、数日後に各関係者に到着したとみられる
- 指摘内容の2つの柱:
- 支援対象の少女たちの個人情報やプライバシー情報の扱い
- 仁藤夢乃代表理事、稲葉隆久副代表理事によるスタッフへのパワハラを含むハラスメントや不当な要求
- 告発側の要求:
- Colaboから独立した第三者による検証
- 被害救済と再発防止体制の構築
- 送付先と分量:
- 理事の齋藤百合子氏、田中優子氏、角田由紀子氏、監事の岸本英嗣氏に送付された
- 役員宛はA4で11ページ、1万字超、支援者宛は7ページに及ぶ
- 告発者への配慮:
- 元スタッフはColabo側による「告発者探し」や報復を恐れている
- 告発文はネット上への流出を避けるよう求めており、本紙も全文公開を控える
- 本紙の取材:
- 複数の元スタッフに事例の詳細を聞き、根拠資料が存在する事例はそれも確認した
- 告発文記載以外のハラスメントとされる事例の関連資料も確認した
■ 2. 元スタッフが告発に踏み切った理由
- 活動への志と被害:
- 困っている女性と連帯し、人権を守る活動に関わりたいと考えて働いてきた
- 元スタッフの多くは仁藤氏より年下の女性である
- 自信を失った人、精神的に追い詰められた人、今も強い恐怖を抱える人がいる
- 声を上げられなかった事情:
- 叱責や孤立への不安から、自分が我慢すればよい、活動の邪魔をしてはいけないと耐えていた
- 告発の動機:
- 今後Colaboで働く若い女性にも同じことが起きる恐れがある
- 助けを求めた少女たちの尊厳や自己決定が傷つけられる恐れがある
■ 3. 支援対象の少女の情報の扱い
- Colaboの支援活動:
- 新宿・歌舞伎町や新大久保にバスを設置し、物資配布や休憩所を提供する「バスカフェ」を行う
- 路上で少女に声をかける「巡回(アウトリーチ)」を行う
- 私的情報の無断共有:
- 会話で得た少女の通学先、勤務先、家庭環境などを、仁藤氏が本人に無断で共有していた
- 性売買経験や交際関係といった情報も共有の対象に含まれていた
- 共有先は支援者によるLINEグループ「女の壁」である
- 「女の壁」は運営スタッフとは別の、イベント時に現場ボランティアを担う支援者の集まり
- 顔写真の無断撮影と保存:
- バス入口付近に感染症対策の非接触型サーモグラフィーを設置している
- 体温測定と同時に少女の顔の正面写真を撮影し、本人に無断で保存・収集していた
- 写真はスタッフが業務管理アプリ「kintone」のデータベースに入力し、他の業務ファイルとともに管理していた
- 1回の巡回ごとに20〜30人分の写真が保存されていた
■ 4. スタッフへの人格否定とルッキズム
- スタッフの私的情報への言及:
- 仁藤氏がスタッフの家庭環境や過去の性売買経験に、他のスタッフや外部支援者のいる場で言及していた
- 人格否定と容姿の品評:
- 本人不在の場で「暗いから駄目だ」「全然可愛くない」「常識がない」などと発言していた
- その上で周囲のスタッフに同意を求めていた
- 告発文が示すルッキズム批判:
- 女性を可愛いか否かで評価することは、外見で人の価値を序列化することにつながる
- これは女性支援やフェミニズムが本来向き合うべきルッキズムの問題そのもの
- 女性支援を掲げる組織内で容姿を品評、序列化する言動は看過できない
■ 5. 有給休暇での海外活動への同行要求
- 同行の要求:
- 仁藤氏や稲葉氏が、海外での研修や視察に有給休暇を使い「自己研鑽」として同行するよう求めていた
- 同行時の実態:
- 旅費や参加費用は自己負担だった
- 現地ではColaboの活動に関するビラの準備や、関係者の研修・視察の雑務にあたらされた
- 有給残日数への叱責:
- 残日数が少なくなると、仁藤氏はスタッフの能力や自己管理の問題だと責めていた
- 労働法制との関係:
- 厚労省は有給取得日に呼び出され出勤した場合、有給を取得したことにならないとしている
- 労働基準法第39条は一定の勤務実績がある労働者への有給付与を使用者に義務付けている
- 違反には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が定められている
■ 6. 私生活への介入と過大な業務
- LINE WORKSでの叱責:
- 業務の指示や報告はLINE WORKSで行われ、特定スタッフとのやりとりを他のスタッフも閲覧できた
- 叱責もそこで行われていた
- 家族との同居をやめさせる圧力:
- 家族と同居するスタッフが「労務上のリスク」だとして転居を求められた
- 何月までに引っ越すか宣言するよう決断を迫られた
- 事実であれば、Colaboが業務外の私生活をコントロールしようとしていたことになる
- 過大な業務と公開の叱責:
- 十分な教育体制や業務マニュアルがないまま過大な仕事を課された
- こなせないと他のスタッフの前で長時間叱責された
- 本紙は課された作業の内容や量を示す証拠の一例を別途確認した
■ 7. スタッフの疲弊と相次ぐ退職
- 事務所の人員体制:
- 通常は常駐の正規スタッフ1名と、交代勤務のアルバイトやボランティア2〜3名で運営していた
- 正規スタッフが短期間で退職するため、その業務をアルバイトやボランティアが担っていた
- 相次ぐ退職:
- 正規スタッフは次々と退職し、1年未満で突然退職した正規職員もいる
- アルバイトも短期間での退職が繰り返されている
- 女性人権センター構想との矛盾:
- Colaboは構想する女性人権センターで女性活動家の育成を目標の一つに掲げている
- 若い女性スタッフを追い詰め離脱させる状況は、人材育成とは正反対である
- 活動を担おうとする女性を消耗させ、社会運動から遠ざけることにもなりかねない
- 女性人権センターの計画:
- 新宿・歌舞伎町での2030年開設を目指す施設である
- 土地購入費や建設費などで計10億円が必要とされる
- 2025年からクラウドファンディングを行い、総額1億円近くを集めている
■ 8. 告発の意図と元スタッフの願い
- 告発に伴う不安:
- 告発者探しをされる、人格や過去について何か言われるという不安があった
- 女性支援という活動そのものを傷つけてしまうのではないかという不安もあった
- 組織内で安心して問題を訴える方法がなく、ほかに手段がなかった
- 求めるものは報復ではない:
- 支援を求める少女が、過去や個人情報について安心して話せる団体になってほしい
- 働く若い女性が、尊厳や安全、生活を犠牲にせず活動を続けられる場所になってほしい
- 弱い立場の人が安心して相談でき、声を上げても不利益を受けない仕組みを作ってほしい
- これを機に、より安全で人権を尊重する団体になってほしい
■ 9. 支援者の受け止め
- 退職の様子と告発内容への感想:
- スタッフが短期間で生気を失い退職する様子を見ていたが、当時は激務のためだと思っていた
- 社会変革を掲げる組織内でのパワハラの話はほかにも聞く
- 具体的なパワハラは知らなかったが、告発内容を知っても意外とは感じなかった
- 支援を続ける理由:
- 仁藤氏のハラスメント体質を知りつつ、性搾取と闘う組織がほかにないため支援を続ける人もいる
- アウティングへの衝撃:
- スタッフの過去に関するアウティングが事実であれば本当にひどく、当人に謝罪してほしい
- 謝罪を求めると、攻撃されたらやり返す仁藤氏の性質が出る懸念もある
- 組織の改善への期待:
- 仁藤氏を懲らしめるより、まともな組織になってほしいという思いが強い
- この状態では若手が潰れ、日本のフェミニズムが滅びかねない
- 本人に言っても改まらないと元スタッフが感じたため、告発文という形になったと考えられる
- 理事や有力な支援者からの働きかけで仁藤氏に変わってほしい
■ 10. Colabo側の全面否定
- 代理人弁護士を通じた回答:
- 9月28日に代理人弁護士を通じて回答があった
- 問い合わせ事項はいずれも事実ではないか、適法な業務の実態を歪曲したものだとしている
- 第三者検証や女性人権センター関連の提言についての質問は、前提を欠くとして回答しなかった
- 警察への相談と記事公表への警告:
- 匿名の告発文書の情報源につき、業務妨害の被疑事実で警察への相談を検討している
- 告発文書を紹介するのみの記事でも、不用意に公表すれば名誉毀損の問題が生じると警告した