■ 1. 体罰禁止後も続く親の体罰
- 法制度と実態の乖離:
- 2019年に親による体罰を禁止する法律が成立
- 2022年の調査では、親の2人に1人が子どもを叩いた経験があると回答
- 最近の逮捕事案:
- 10代の娘に平手打ちをした母親が暴行の疑いで逮捕
- 親子喧嘩の末に娘が交番へ相談したことで発覚
- 体罰禁止の枠組みが整う一方、子育ての現場ではしつけと暴力をめぐる葛藤が継続
■ 2. 叩いてしまう親たちの葛藤
- 中学生の息子を持つ父親Kさんの事例:
- 注意しても収まらない問題行動に我慢の限界を超え、息子の頭を一回かするように叩いて制止
- 息子がその場で110番通報し、児童相談所を経て計10日間施設に預けられた
- 子どもの悪事をどう注意すべきか警察官に尋ねると、110番通報するよう言われた
- それでは親の役割とは何かという自問自答が残る
- 5歳と3歳の息子を持つ母親らいさんの事例:
- 長男が次男の腕を噛んだ際、思わず長男の腕をつねり、してはいけないことをしたと自己嫌悪に陥った
- 兄弟喧嘩をくすぐりで引き離そうとしたが、くすぐりも身体的苦痛を与える虐待に近いとネットで知り再び自己嫌悪
- 言葉だけでは止められない場面が多く、費用30万円の有料支援サービスを検討中
■ 3. 暴力によるしつけへの否定的見解
- 社会活動家・山本昌子氏の指摘:
- 叩くと行動が即座に変わり理解したように見えるが、叩かれるほどのことなのか疑問
- 暴力のある環境で育った子が学校で問題行動を起こし、それを止めるためにまた暴力を受ける循環がある
- 自身も暴力的な環境で育ち、その感覚では子どもに繰り返すと言われて深く考えた経験がある
- 経済学者・柿埜真吾氏の指摘:
- 子どもも一つの別の人格
- 暴力でうまくいったと考える人は多いが、それを裏付けるエビデンスは存在しない
- たまたまうまくいった、あるいはエスカレートしなかっただけの可能性がある
- リディラバ代表・安部敏樹氏の指摘:
- しつけは基本的に教育の文脈にある行為
- 私的なルールが社会のルールを超えると子どもに教え込むことは非常に有害
- その考え方は基本的に反社会的勢力のもの
- 安部氏の代替策:
- 言うことを聞かない子が多いのも事実
- 家庭内だけで対処せず、チームや地域という社会の中でルールを教えることが重要
■ 4. 体罰を受けた当事者の視点と代替案の欠如
- 兼近大樹氏の幼少期の経験:
- 迷惑をかけた相手には暴力が許されるという個人的ルールが子どもの中に形成される
- 先生に注意されても、先に迷惑をかけたのは相手だという理屈になる
- 過激な暴力を受けてきたため、先生からの暴力は怖くない
- 暴力による教育の帰結:
- 暴力で教えた先には暴力しか残らない
- 代替案の欠如:
- 子どもを止める代替案が広まっていない状況で、暴力は良くないと言われても困る親の気持ちも理解できる
- りんたろー。氏の指摘:
- 言葉だけでは伝わらない難しさがある
- 手をあげると、なぜ人に嫌な思いをさせるのかまで伝えきれない
- 育児疲弊と支援体制の課題:
- 親は表面張力ギリギリの状態が続いており、それに対するケアが必要
- 必要な時に必要なサービスとつながれていないことが体罰につながる構造