■ 1. 発端: 次期東大総長の専門分野への反発
- 原発事故後のSTSの印象:
- 専門家を名乗って登場し、現場を後ろから撃って足を引っ張った
- ろくに見ずに口を挟み、的外れな発言で非難された
- 一部が暴走して科学を全否定しても、周囲は放置した
- 何もしなかった人の方がまだ良心的であり、一部に例外はある
- 次期東大総長予定者の藤垣裕子教授の専門が科学技術社会論(STS):
- 原発事故で散々足を引っ張った分野であり、その専門という点に強い違和感がある
- STSが役立つべき場面で素人同然の陰謀論的言説を投げ続けた
- その結果、この学問分野は存在しない方が世のためになると確信させられた
■ 2. 原発事故時のSTSの振る舞い
- STSの理念:
- 科学技術の進歩に伴う諸問題を踏まえ、科学技術と社会の関わりを俯瞰的に考える学問
- 科学技術と社会の掛け橋として非常に意義がある立場だが、実が伴えばの話
- 事故時の状況:
- 科学者は一般市民に明確な健康被害は生じないと早期に把握し、説明した
- 「原発事故」の字面に怯えた市民にはなかなか届かなかった
- 反原発活動家がデマを撒いて市民を脅していた
- STS関係者の実際の行動:
- 対策・説明にあたる科学者を「御用学者」と攻撃し、言うことを聞くなと煽った
- 反原発活動家のデマや印象操作を助長した
- 個人攻撃で科学者の口を塞ごうとした者もいた
- 橋渡しどころか亀裂を広げた
- 厄介さの理由:
- 肩書きを持ち、それらしく説得力のある発言が得意だった
- 全員がポンコツだったわけではなくまともな人もいたが、集団としては圧倒的にポンコツだった
- 当時は変な人物が出てきたらまたSTSかという言い回しが定着していた
■ 3. 藤垣論文「STSと原発事故」への批判
- 「ただちに問題はない」の扱い:
- 伝え方の巧拙はさておき、安全側に偏った情報ではない
- 科学的な客観評価であり、後に国際機関も概ね同様の結論を出した
- それを安全側に偏った情報と捉える時点で認知が歪んでいる
- 論文の時期と姿勢:
- 2016年はSTSが散々暴れた後で、残党がまだ燃えていた時期
- それなのにSTS学者は理念通りに振る舞えているかのような書き方をしている
- 佐倉統の反省文も同じ2016年に出ている
■ 4. 佐倉統「優先順位を間違えたSTS」への評価
- STS内の圧倒的にまともな人による反省文であり、実質的に全STS学者への反省要求
- 優先順位の問題だったのかという疑問:
- 彼らはSTSとして間違えたのではなく、自身の目的と目標に忠実で確信的だったように見える
- 公平で頷ける部分もあるが、問題点もある:
- 放射性物質は危険だと狂ったように叫ぶ人々が大勢いた事実にほとんど言及していない
- 反論した人々を、東電側に立ち住民に責任転嫁したかのように書いている
- 2016年は危険煽りの誤りを冷静に判断でき、記憶が改竄されるほど昔でもない時期
- 反省しているだけマシだが、全面的には支持できない
- 佐倉統への提言:
- 現状の構造を改めなければ、STSは他分野に土足で上がり迷惑をかける集団と見なされる
- 放射線医学関連では既にそう見ている
- 他の学術領域との関わりで成立する学問が他分野に不当な害を為すなら、存在意義が問われる
- 原発事故の場面ではいない方が遥かにマシな人たちであり、今も同様の行動を続けている
- 放射線医学方面で叩かれているのは正しく活動しているからではない
- 学会の上層部と真っ当な人々に危機感を持ってほしい
- 総括部分への懸念:
- 佐倉ですら、STSや科学コミュニケーション周辺の活動が事故後に際立って不適切だったとは言えないと総括している
- そのためSTSは重大な問題が再び起きても同じことを繰り返すと懸念される
- 引用箇所の問題:
- 科学コミュニケーターへの批判は一面的に過ぎると論じている
- 政府や電力事業者に望ましい情報をわかりやすく伝えるのが科学コミュニケーションという想定があったと推測している
- 背景に啓蒙主義的科学観があるとして、批判を受け流しているように見える
- 批判する側はそのようなことを考えたこともない
- STSに限らない問題:
- 結果的に安心させる方向の情報を発信すると、過小評価や政府・東電を利する意図を読み取られ批判された
- 権威性批判の必要性は認めるが、それは中立軸を動かすことではない
■ 5. STS学会の現状への批判
- 2023年度年次大会のプログラム:
- 原発事故を原因とする小児甲状腺がん多発、崩壊寸前の過剰診断論と題するセッションが組まれた
- 林衛によるデマ・シンポジウム:
- 甲状腺検査に関する内容はすべてデマ
- STS関係者はもっと危機感を持つべき
- 佐倉は信用できるが、STSは放射能デマに加担しているとしか受け取れない
■ 6. 宮原篤によるまとめ(Grok使用)
- 主な問題点は危機時の優先順位の誤り:
- 一部のSTS研究者が御用学者批判を最優先し、科学的リスク情報の伝達を後回しにした
- 平時の専門家批判・市民参加促進の姿勢を、事故直後の混乱期にそのまま適用した
- 正確な知識への不信を強め、放射線デマや過剰な不安を広げた
- 具体的影響:
- 風評被害による福島産品の買い控え
- 無用な不安による健康悪化
- 過剰対策による経済的・社会的負担
- UNSCEARはがん増加を確認していないが、避難やストレス関連の被害は大きい
- 運用の失敗と分野の性質は切り離しにくい:
- STSは専門家の独占を解き、権力構造・社会的文脈・市民参加を重視する学問として制度化された
- 東電・規制当局の癒着や絶対安全神話は実際に問題であり、専門家批判は分野の本領と重なる
- その志向が低線量被曝に関する国際評価への不信を助長しやすかった
- 批判機能と情報伝達・不安抑制機能の両立が未解決である点が主要な論点
- 学会内部の反省:
- 元会長の中島秀人は、原発事故の時にSTSは役に立たなかったと述べた
- 処理水問題での事例:
- 内田麻理香は復興庁の広報を欠如モデルと批判した
- 代替案は第三者測定の強化と、煽り系発信には耐えて何もしないことだった
- 第三者測定は既にIAEA等が実施済みで、被害者救済の具体策になっていない
- 遺伝的影響を高いとする誤解は環境省調査で46.8%残っている
- 田中幹人は、具体策を求められるとSTSは魔法の杖ではない、ケースバイケースと応じた
- 対照事例:
- 2011年の「セシウムさん」騒動では、知事や地元の迅速な抗議でデマ拡大が抑えられた
- 2022年末の政府処理水集中広報は短期間で理解促進効果を示した
- 欠如モデル批判による知識発信の抑制は逆効果だった可能性がある
- 分野全体が一律に失敗したわけではなく、一部の研究者の対応とその方法論が問題
■ 7. 御用学者リストWikiとSTS
- Wikiの概要:
- atwiki上で2ちゃんねるのスレを元に編集され、2012年12月に閉鎖が発表された
- 放射線リスクを過小評価する、または原発推進側に近いと見なした研究者に「御用」とラベル付けした
- 医学関係だけで50人以上を掲載した
- STS関係者の関与:
- 東工大の牧野淳一郎が支持し、引き継ぎを求められるとあなたが引き継げばよいと応じた
- 主要貢献者「あらら」はプロフィールでSTSや科学コミュニケーションを考える人文系研究者と名乗っていた
- 平川秀幸らも拡散や支持に関与したとの記録がある
- 政治的意図:
- 表向きの目的は利益相反の透明化
- 実態は安全寄りの発言を内容の検証より先に御用と分類し、議論から排除する手段
- 「エア御用」という概念で、金銭関係がなくても安全寄りの発言者を御用扱いした
- 現地で診療しながら発信した越智小枝も対象になった
- 世論を反原発側に有利に傾けることが意図だった
- 閉鎖の経緯:
- 理由の説明なく突然閉鎖し、直前に特定の個人名を削除し、運営は匿名のままだった
- 「批判はするが結果に責任を持たない」STSの典型例として後年参照されている
■ 8. 黒木玄による反論
- 一部のSTS研究者が御用学者批判を最優先したという記述は悪質な印象操作
- 実際には「御用学者」と呼んではならない善良な人々が不当に非難されていた
- 御用学者リストWikiはその典型例
■ 9. 現場でのリスクコミュニケーション不在
- 科学コミュニケーションの専門家の態度:
- 出番だと言われると、今必要なのはリスクコミュニケーションやクライシスコミュニケーションだと逃げた
- 現場の科学コミュニケーターは頑張っていた
- 問われているのはSTSが具体的に何をしたか:
- そういう学問ではないという言い分は、物理学を含む理工学にも当てはまる
- サイエンスカフェ等の双方向コミュニケーションを紹介しながら、放射能問題で実践しなかった
- 実践こそが、あの場での大学研究者の責任
- 現地に赴くべきだった:
- 直接の実践者でなくても、住民と同じ空気と時間を共有すべきだった
- 住民が何を知りたく、何を不安に思うかを自分の目と耳で確かめるべきだった
- 遠くから上から目線で分析するだけでは何も分からない
■ 10. STS学会の体質と若い世代への期待
- 誠実にSTSに取り組む若い人が心を痛めることには気が咎める
- STSの理念は社会に確かに必要
- ただし過去の事実は消せない:
- 原発事故後の学会の一部の人々の振る舞いは多くの問題を生んだ
- 怨嗟の声が続くことには根拠がある
- 学会の現状:
- 過去の言動の当事者が反省も咎めもなく上の立場に留まり、空気は変わっていない
- 表立った批判がないのは報復人事を恐れているためかもしれず、実例も聞く
- 改善の道:
- 正しいものは正しい、間違いは正すべきと声を挙げられる風通しの良い環境にすれば評価は変わる
- 科学技術と社会をつなぐ役割は必要であり、STS学会の独占事項ではない
- 誰々先生が言うからではなく、自ら正しいと信じる方向に進んでほしい
■ 11. 当時の状況の振り返り(草の根支援経験者の視点)
- 事故から15年が経ち、当時を知らない世代がSTSを学ぶ学生になっている
- STSへの当初の期待:
- 分断を結ぶと期待される分野であり、科学コミュニケーションの専門家を自称して登場した
- 藤垣裕子も、対立する意見のプラットフォームとしてのSTSの役割は必至と書いている
- 当時の状況:
- 放射性物質は首都圏にまで届き、ほとんどの人が自身や子供の健康を心配していた
- 放射線医学の専門家は時に誤りを訂正しつつ、概ね妥当な説明をしていた
- 本業の専門家は現状把握と記録に奔走し、一人一人の不安に答える余裕はなかった
- 周辺分野の専門家の貢献:
- SNSを活用し、人前や現地に赴いて人々の不安に対応した
- 不安に応えるため、科学的には不要な機器ベビースキャンまで開発した
- 小林傳司の言う「福島県民と一緒に対策を考えようという姿勢を持った科学者」は早野氏や安斎氏らを含む
- 小林傳司(STS学会創設者)の言葉:
- STSも期待に応えられず信頼を失った
- 良い専門家とは一緒に考えてくれる専門家
- 批判されるSTS研究者と感謝される科学者の違い:
- 専門的知見をどう社会に役立てるか、誰の方を向いていたかの違い
- 批判する理由:
- 困っている人が目の前にいる時に何をすべきかを誤った反省がなければ、次も同じことを繰り返す
- 論文誌等を読む限り、STSはまだ根本的に変わっていない
■ 12. 杉山滋郎の反省と平時・緊急時論
- 杉山滋郎「10年で、どこまで(どこへ)来たのだろうか」(2013年)はSTS学会誌の稀な反省の弁
- 杉山はCoSTEPの「もっとわかる放射能・放射線」に名を連ねた、STSの中でも実践の人
- 平時と緊急時の区別:
- 以前から区別を論じていたのではなく、批判されてから緊急時だと言い訳を始めた印象が残る
- 緊急時に何を言っているのかという話
- 専門外の研究者が自発的にリスコミに取り組んだのに、ぬるいことを言っている
- 現地活動中の心境:
- 嘘やデマに煮えくり返る思いをしても、反論する場合ではないので全部飲み込んだ
■ 13. STS関係者による歴史の透明化
- 対象論文:
- 「原子力をめぐる科学技術イノベーションガバナンスへの道」(科学技術社会論研究、2020年)
- Wikipediaの「科学技術社会論」項目で原発事故に関する記述の脚注になっている
- 問題点:
- 市民測定所関係者以外の人々の営みが存在しないものとして扱われている
- 被災地の多くの人々が自ら測り、考え、対策し、決断したことが歴史から消されている
- 有志のリスコミ活動に触れないのは構わないが、被災地の人々を消し去るのは許されない
- 行政の対応も消されるか不適切扱いされている:
- 専門家を招いた説明会
- 線量計の貸出、食品用測定器の配置、ホールボディカウンター
■ 14. 科学コミュニケーターに伝えたいこと
- 佐野和美の文章:
- 草の根や初期の行政リスコミには、一般的な調整を目的としたリスコミ論が合わないと感じていた
- この文章はその違和感に合致しており、リスコミ・科学コミュニケーション関係者は読むべき
- 伝えるべきは混乱期には発信を控えよではなく、この文章の内容
- 初期フェーズのニーズ:
- 放射線という未知のものに直面した人々は、まず正しい知識を必要としていた
- 知識を持つ側も必要性に気づき自発的に提供したため、情報提供型リスコミがニーズに合った
- そこに教科書的な欠如モデル批判を持ち込むのはずれていた
- 必要な知識の水準:
- 理系の人が教科書で学べば対応できる程度の知識がまず必要とされた
- 科学コミュニケーターが立ち上がれば大いに役立ったはずで、実際に動いた人は良い仕事をした
- 記録の問題:
- CoSTEPはいち早く動いたが、20年の集大成の本では触れられていない
- 初期の行政リスコミもニーズに合っていたが、後出しの批判だけが記録に残るのはおかしい
- フェーズ移行後は形を変える必要があり、改善点もある
- STSのリスコミ総括:
- 実際に携わった一部の人を除き、現地で感じたこととまったく合わない
- ネットだけ眺め、現場も見ずにこねくり回したものに見える
- 自分の視野は狭いが、実際にリスコミに携わった人の記録はまとめておくべき
■ 15. 自然法則と社会的調整
- 自然法則が関わる場合、調整の際にその要素は無視できない:
- 誰であれ自然法則に縛られており、科学者が望むから縛りがあるわけではない
- これを理解してもらうことも科学教育
- リスコミでは社会的調整と自然科学の関係が理解されず、情報が伝わらないことがある
- この議論の基礎を社会で共有するよう伝えていく必要がある
- 自然科学は考えを縛るものではなく、社会的調整に使える便利なツール:
- 自然法則による縛りを明らかにすることで、妥当な落としどころに近づける
- 先の予測も立てやすくなる
■ 16. 自身のリスコミ活動
- 携わった事例:
- 線量計の上手な使い方に関する解説文書の公開
- 線量計貸出活動への参加
- 空間線量と個人線量計の関係、ガラスバッジ、航空機モニタリングの問題点などの解説
- 除去土壌の再生利用に関する自主勉強会(2025年6月):
- 用語の未整理が理解を妨げている点と、「再生利用土」という名称を検討した
- 環境省の2025年3月の復興再生利用ガイドラインを読み解いた
- 溝口勝教授が、粘土はセシウムを強く掴んで離さないことを飯舘村の実証結果とともに解説した
- 再生利用に関する主張・発信のあり方を扱った
- 社会的問題は科学的問題より重要かもしれない
- 大熊町・双葉町の人々の思いは他者が代弁するものではないため、あえて扱わなかった
- 開催の理由:
- 再生利用に反対する講演会は多いが、中立や必要性を認める立場の講演会が見当たらない
- より分かりやすい説明会や勉強会が今後多く開かれることを期待している