「うつ病」の発症に関連するとみられる遺伝子を、藤田保健衛生大医学部の岩田仲生教授(精神神経科学)らの研究グループが突き止めた。論文が米国の科学誌電子版に掲載される。
うつは健康の悪化や経済的困窮などによるストレスに加え、遺伝も関わっているとされる。中高年に多く、生涯でかかる割合は3~7%。発症の仕組みは明らかになっていない。
グループは看護師約1000人へのアンケートを解析し、3割近くがうつ状態だと判断。DNAを採取し、うつの人に共通する遺伝子を探した。遺伝子「BMP2」の近くで塩基配列に異変がある人は、ストレスを感じた場合、うつに1.5~2倍なりやすい傾向があった。
今後はBMP2がどのように働き、うつを発症するかの解明が課題になる。
岩田教授は「精神疾患は自殺の一因ともされる。研究が進めば、うつの早期発見や新たな治療法の開発に役立つ」と説明している。