裁量労働で働いた感想より。
10年ぐらい裁量労働で働いた
そこそこ社会的にも有名で組合も強いので裁量労働と言っても運用はしっかりしていた
なのでよくある「それは運用が間違い」という不満は無かったと思う
正しく運用された上での不満を残していきたい
ただ研究職なので少し特殊な職種ではあると思う
■自分の意思で給料をコントロールできない
一番の不満はこれで,残業がある仕事ならある程度給料をコントロールできる
もちろんこれは仕事がそれなりにできる人に限るんだが
「子供が産まれるので年末までに稼ぎたいんですが,残業多めにしてもいいですか?」
「そうか,分かった.じゃぁこの仕事を頼む」
という感じの柔軟性がない
(まぁこんな分かりやすい仕事はそうそうないだろうけど)
年初に決めた業務内容に沿って計画的に仕事を捌くだけの共産主義的な働き方になる
■評価が適正に行われにくい
前述した社会主義的な働き方を避ける枠組みとして,業績に応じてボーナスが通常より多めに上下するようになっている
なので理屈の上では業務を多めに捌いてボーナスを上げて貰う,という形をとれる
ただボーナスの評価は実質的に3段階なので評価されない業務(死票のようなもの)が出てきてしまう
「年末までに稼ぎたいので業績たくさん上げますね」
「うーん,内容によって評価できるかどうかは分からないけど頑張って」
~~年末~~
「ごめん,ちょっと足りなかったわ.来年また頑張って」
「」
という感じで頑張りが無かったことにされてしまう
結局,やる気を削がれて共産主義的な働き方になってしまう
■能力のある人ほど仕事をしなくなる
優秀で能力の高い人ほど上述した死票のような業務に嫌気がさしてくる
なので極力無駄な仕事はしないで副業に専念し始める
休み時間は株・為替・仮想通貨・不動産の話で持ちきり
優秀な人ほど副業で稼げるのでますます本業は置き去りにされていく
その結果,仕事に対するスピード感は全然出ない
早く仕事を終えても何も嬉しいことはないので,ゆっくりと手間暇かけて仕事をこなす
まぁ結果として驚くほど品質の高いパワポとか論文とかができあがるんだが
スピード感が無いので需要にはマッチしないし時代遅れなことにしかならない
「あそこは時間が止まってる」
と揶揄されるようになる
■じゃぁどうすればいいのか
会社にいる時間に対して賃金が支払われるというのは全く現実に即していないので反対だが
裁量労働を導入するからには会社側が業務に対する対価をきっちり数値化しないといけない
裁量労働であっても稼ぎたい人は業務をたくさんこなすことで報酬をきっちり得られる仕組みが無いと
ただのできの悪い共産主義にしかならない
じゃぁ実際にそんなことができるのか?と言われると
今の人類にそれができるとは全く思えないので裁量労働は人類に早すぎると思う