1.働かなくなる弊害があるか、挑戦できるようになるメリットがあるかといった神学論争は、水掛け論になるのでさておく。
仮に神学論争で弊害がなく、メリットがあるとしても、以下のような実務的な理由により導入すべきでないし、導入できない。
2.他の社会保障費や行政の人件費が減る効果は、あまり期待できない。
廃止できる社会保障は、基礎年金、生活保護の金銭給付分、失業保険程度。より規模の大きい医療や介護といった現物給付、年金の2階部分は廃止できない。
全国5,000万世帯への給付事務が新たに発生するため、人件費が減るとは考え難いが、仮にその増分を忘れても、減分は2~3万人程度に限られる。
3.1人月8万円なら、年間120兆円という巨額の費用を要する。
現在の国税収入が40兆円であることを考えると、およそ非現実的。
4.ベーシックインカムのあらゆる効果は、制度が長期間(最低でも50年以上)にわたって継続し、かつ、継続すると国民が信じたときに、初めて期待できる。
これほど議論が分かれ、どういう問題が発生するか予測困難な制度が、50年以上にわたって継続すると国民に信じさせることは難しい。
ふむ。