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話題の会社でインターンしていたときの話(フィクション)

※この話はすべてフィクションです。実在の企業・人物とは関係ありません。

9年前、私がとある会社でインターンしていたときの話です。

9年も前なので私の記憶違いもあるでしょうが、ショッキングなことが多く、その後何度もフラッシュバックしているので大筋は間違っていないと思います。


■インターンについて

当時、その会社では新卒の営業職を募集しており、私を含めた数名が、選考の過程で在学中にインターンで営業の実務に携わっていました。

インターン自体は珍しくないと思いますが、この会社では「職業体験」ではなく、「採用条件」でしたし事実上の「労働」でした。


■■採用の過程

私のときはこういう過程だったと思います。

1. 説明会(エントリーシート持参)

2. 社長面接

3. インターン

リーマンショック直後だったので当時の就活はみんな必死でした。

この会社の説明会にも大勢集まっていた記憶があります。

ただ、ES選考で大半の人がふるい落とされて、面接まで行った人はごく一部だったようです。

面接は会社の事務所で、社長と一対一でした。

社長は大柄で存在感はありましたが、話してみると関西弁の軽快な口調で物腰柔らかく、第一印象は悪くなかったです。

アニメや漫画の雑談が中心で、面接通過の連絡をもらったときは、どこで合格が決まったんだろう?と不思議でした。


私の代はインターン制度の2年目だったと思います。

私は大学3年の冬にインターン入りしたので、ひとつ上の学年にも4年生で在学中の内定者が3,4人いました。

私の同期は最初6,7人くらいいたと思いますが早い段階で抜けた人もいたので正確な人数は覚えていません。


■■仕事内容

インターンの主な仕事は以下でした。

1. 営業電話をかける

2. 会社が主催する業界内交流会への招待・運営

3. 業界内の会社同士のマッチング

4. 求人広告の営業

2も3も最終的な目的は4です。

今はわかりませんが、当時の会社の事業は求人広告がメインだったと記憶しています。(他にもクリエイター支援やゲーム攻略サイトなどもやっていると説明会で聞きましたが、私たちはノータッチでした。)


■■営業電話

会社リストと電話マニュアルを手にひたすら電話。

1日に数十件かけるのは当たり前でした。

電話は個人の携帯を使うので、電話代も本人持ち。

電話代は申請すれば出るみたいな話もあった記憶がありますが、(当時はかけ放題プランが無かったので)電話代の請求額に青くなった覚えもあるので、本当に電話代を貰えていたかどうか曖昧です。

事務所から電話することもありましたが、出先でも自宅でもどこからでも電話をかけてました。

初めての会社宛でも社長と知り合いであるような調子でかけるよう指導された覚えがあります。


■■業界内交流会への招待・運営

上の営業電話の流れで、会社が不定期に開催している業界内交流会への案内をすることが多かったです。

どこかパーティー会場で交流会をやっていたそうですが、私は運営に参加できなかったので詳細を知りません。


■■業界内の会社同士のマッチング

「こういうことができる会社と知り合いたい」と言っている会社に他の会社を紹介する仕事です。

私自身に何も伝手がなくても、上司には名の知れた会社との付き合いがあったので、このマッチングは喜んでいただけることも多く、やりがいがありました。  

■■求人広告の営業

一番大事な仕事ですが、安くはない金額の契約なので一番苦労しました。

ここで成果を上げることが採用の条件でした。

なので、広告を出してもらうことが事実上のノルマだと解釈していました。


■■業務請負契約

インターンは全員、会社と業務請負契約を結んでいました。

全員に契約書を渡されてその場で印鑑を押しましたが、ちゃんと読む人はいなかったですし、詳しい説明もなかったと思います。


条件で覚えているのは、日給+成果報酬制だったことです。

日給はたしか1000~2000円くらいだったと思います。

時給ではなく日給です。

成果報酬は、求人広告が成約したときにもらえるものでした。

この当時は貯金がどんどん目減りしていた記憶があります。


■人間関係について

■■社長

先に書いたように第一印象は悪くなかったです。

私たちに気前よく食事を奢ってくれることも多く、客先に同行してもらうと大抵の交渉も良い方向に進みました。

ただ、気に入らないことがあったときの身内への当たり方はすさまじかったです。

それと、当時から読書量は自慢の種でした。


■■幹部A

社長の大学の同期。

当時は会社のナンバー2だったと思います。

仮に小上さん(仮名)とします。

私のイメージでは社長とまったく同じ思想・行動原理の人で、社長よりむしろこの人のほうが私たちに厳しく当たることが頻度でいえば多かったです。

当時の印象しかないので、この人が社長に反旗を翻すとは思ってもみませんでした。


■■幹部B

社長や小上さん(仮名)よりも数歳年上の男性幹部。

先の業務請負契約などはこの人の担当だったと思います。

この人も社長同様に激昂型でした。

特に男性に厳しかった印象です。

同期の男性がめちゃくちゃに怒鳴られている現場に何度か居合わせたことがあります。

今はこの会社にいないのでしょうか。


■■新卒メンバー

新卒の1つ上の先輩だった人が副社長になっていたので驚きました。

9年前の時点でリーダー的立場だった覚えはありましたが、小上さん(仮名)より上になっているとは思いませんでした。


同期は良い意味で個性的な人が多かったです。

アニメや漫画などの趣味をオープンにできる環境だったので、最初から打ち解けやすかったです。

知り合うタイミングが違えば親友になれていたのかもと思う人も多かったです。


■なんで辞めたのか

まず、営業電話の件数も広告の獲得も事実上のノルマがありました。

フルタイムでもこなすのが困難なくらいなのに、大学に通いながら達成するのは厳しかったです。

電話代や交通費など金銭的な負担も大きかったです。


ただ、それでも同じような趣味をもった同年代の人たちと仕事できるのは楽しかったし、あこがれのアニメを作った会社に自力でアポをとって行けたときの喜びも大きかったです。

あの会社に入っていった人たちはそういう気持ちが持続したんでしょう。

でも私は途中でその気持ちが途切れました。


内定者の先輩の中にいきなりいなくなった人もいました。

「他の仕事に就くため」と説明された気がしますが、入社間際に急にいなくなるなんておかしいと他の人と噂しました。

同期もどんどん減っていきました。

その様子をみて「あの人たちはこの程度で辞めてしまって情けない、私たちはこんなに頑張れているのに」と思ったこともあります。


私もノルマ達成できずめちゃくちゃに恫喝されました。


私の人生であれだけの恐怖を覚えたのは後にも先にもありません。

まず、社長や幹部が普段と全く違う表情でにらみつけてくる。

その時点でパニックです。

直接的な暴力は振るわれません。

代わりに、わざとらしく大きな音で机や物を叩く。

社長の大柄な姿から威圧感が放たれるので、その拳や脚が自分の身体に直接向かってきたら……と思うと頭が回りません。

何を言われたかもよく理解できず、自分を罵倒する言葉にただ「はい」としか返事できない。

彼らにとっては日常だったのでしょうが、私にとっては生涯忘れられないトラウマです。


これだけ恫喝されても「もっと頑張らなきゃ」と思った人たちもいます。

同期は恫喝された後にもっと重いノルマを達成するための誓約書を書かされたそうです。

私には無理でした。

いろいろな負担がかかっていたところに恫喝でとどめを刺されました。


■なんで今、増田で書いたのか

怪文書の類なら増田かなと。

というのは冗談ですが、前々からこの会社について書こうと思っていました。

いつか書こうと思いつつ自分の中でうまく消化しきれずにいました。


私はあの会社に傷つけられましたが、争ったり告発したりすることはしませんでした。

この9年間、彼らと距離を取り続けていただけです。

一種のPTSDなんでしょうか、ネット上でたまに彼らの会社名やサイト名を目にすると思考が止まってしまうことがありました。

何かの拍子に当時のことを思い出し、怒りや恐怖が心が満たされることが、9年経った今でも時折あります。


ただただ、距離をとっていました。

いくらなんでもあの当時よりはまともな会社になっているだろう、と心の隅で期待していました。

私の頃は新卒採用を始めたばかりで、いろいろな仕組みづくりが追いついていないのだろうと好意的に解釈していまた。


もちろん、今回背中を押されたのはOさんの件がきっかけです。

私はOさんと同期で、もちろん面識もありました。

とてもいい子でした。


今回、9年ぶりに彼女の名前を目にしたときのショックは言葉にできません。

私もOさんのようになっていたかもしれない、という恐怖よりも、私に何かできたんじゃないか?という悔しさが先にありました。


当時、ただ距離をとるのではなく、たとえば労基署とか、駆け込むべきところに駆け込んでいれば少しは彼らのめちゃくちゃな行為に歯止めをかけることができたのかもしれない。Oさんの件も防げたのかもしれない。

たらればの話に過ぎないのはわかっていますが、そう考えると無念でなりません。


今回の件がどう展開するにせよ、最終的な結果が出るまでかなりの時間がかかると思います。

世の中にはいろいろな事件が起きています。

時が経つうちに、今回のニュースも自然と忘れられてゆき、彼らはまた何事もなかったかのように誰かを追い詰めてしまうかもしれない。

この件が簡単に風化してほしくありません。

それでこの文章を書いて公開した次第です。


記事には目を疑うような記述が多く載っていますが、(あくまで私個人の感想では)いずれもありえる話だと思いました。


後になって気づいたことですが、彼(ら)は社内に常にスケープゴート役になる人物を用意して自分たちの怒りのはけ口にしたり、他のメンバーの優越感の材料にしていたんじゃないかと感じました。

Oさんの話を読んでいてそのことを思い出しました。

当時の私もそうなっていたのかもしれません。

私自身、いちばん追い詰められたときには自殺を考えました。


先に書いたように、私は小上さん(仮名)からも厳しい言葉を受けたことがあります。

当時の小上さん(仮名)もいわゆる洗脳状態にあったのだとしても、彼に対する個人的な不信感はぬぐえません。

なので、単純にどちらが正しくてどちらが悪いかの判断はつきません。

両者の言い分に差異があるようですし、それは今後明らかになってゆくことでしょう。


ただ、事実がどうあれ、あの会社の発信しているメッセージに違和感を覚えている人は多いようです。

個人的には、会社側の文章の最後に書かれた、実名にせよ匿名にせよ虚偽の情報を流した人物には訴訟を辞さない、という旨の記述に恐怖を覚えました。

この機に乗じて会社のことを告発するなんて許さないぞ、と私たちに向けて恫喝しているように感じました。

彼らは今も自分たちにとって都合のいいスケープゴートを探しているのかもしれません。


最初に書いたとおり、この文章はフィクションです。実在の企業・人物とは一切関係ありません。

具体的にどの会社のどの件を指して書いたのかも明言しておりません。

何かあればまた追記します。

怪文書だ