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安田純平氏へのバッシング、いちジャーナリストとして思うこと(安田 峰俊)

トルコ・カタール両国は、安田氏を拘束していた武装勢力とコネを持っていたとされる。安田氏の唐突な解放は、国際的支持を求めるトルコ・カタール陣営が日本の歓心を買う目的で働きかけたとも言われており、それは現今の情勢を見る限りおそらく妥当な見立てだろう。

つまり安田氏の一件は、中東諸国のバランスゲームのなかでカタールの国益の観点からなされたもので、日本政府の意向とはあまり関係がなかった可能性がある。カタールは億単位のカネを支払ったという説もあるが、それは彼らが自国の都合でそうしたのであり、国際政治のカードに使われただけの(と見られる)安田氏を非難するのは筋違いかと思われる。

今回の件で、仮に安田氏の側に問題があったとすれば、以前にツイッターで外務省をディスっていたのに、最終的に多少は外務省のお世話になった点が「カッコ悪かった」くらいのことしかない(重ねて確認すれば、自国民であればカッコよい人もカッコ悪い人も保護するのが国家の義務である)。

だが、そうしたことは決して安田氏の過去の仕事の価値やジャーナリストとしての評価を減じるものではないし、日本人による戦場報道の意義を毀損するものでもないだろう。