ことの始まりは、1月末にシカゴで起きた暴行事件。午前2時ごろ、フォックス系列のテレビドラマ「Empire 成功の代償」にレギュラー出演するジャシー・スモレットが、2人組の男に突然襲撃された。スモレットが警察に話した内容によると、2人組は彼に対して黒人差別、ゲイ差別の言葉を吐きつつ、首をロープで縛る、漂白剤を浴びせるなどの暴行を加えた。また、犯人らは「ここはMAGAの国だ」とも言って逃走。彼は自分の足で近くの病院に行き、治療を受けたという。
彼は「犯人は2人組の白人だった」と語っており、「MAGA」がドナルド・トランプの選挙スローガン「Make America Great Again(アメリカをもう一度偉大な国に)」の略であることから、警察は白人至上主義者によるヘイトクライム(差別による犯罪行為)の線で捜査を始めた。
しかし、スモレットには不自然な点もあった。彼の話では、犯人が「ここはMAGAの国だ」と言ったのを、そのときちょうど携帯でつながっていたエージェントが聞いているとのことだった。なのに、スモレットが警察に携帯の通話記録を出し渋り、さらに何日かしてようやく提出されると、通話記録が削除されていたというのだ。
警察は、事件がスモレットの計画によって起こったものとして捜査を方向転換。兄弟は、警察に完全協力することで釈放された。これまでにわかったことによると、兄弟はナイジェリア出身で、スモレットと一緒にワークアウトするような仲。兄弟が警察に提出した携帯記録を見ると、事件が起きた頃、スモレットと彼らの間には頻繁な通話記録があった。また、兄弟は事件前に襲撃のリハーサルをやったこと、スモレットからお金をもらう約束だったことも警察に語っている。
「被害者」であることが特権になるなら、こういう輩は絶対に発生するし、防ぎようもない。