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進化心理学はなぜ批判されるのか?

この調査によると、動物のみならず人間について進化心理学を適用することについては、社会心理学者たちの意見は分かれているそうだ。ダーウィンの進化理論が真実であることや、人間の様々な身体的特性が進化の産物であることにはほぼ全ての社会心理学者たちが同意しているのだが、身体のみならず心理や精神についても進化論を適用することに関しては、かなり賛否が分かれるのである。

進化心理学についての意見が割れるのは、遺伝的な暴力的傾向、美についての普遍的な基準、心理の性差などのセンシティブなトピックが原因なのだ。

リッポンのような学者は「脳科学や神経科学の知見が性差別的な目的のために用いられる可能性」を恐れているのだが、それを言うなら、遺伝学やその他の様々な学問も、何らかの目的のために悪用される可能性はある。「悪用される可能性があるから」は、学問的に蓄積された知見を無視することを正当化する理由にはならないのだ。また、「この知見を認めることは差別になる」と言う恐れは、事実的な事柄である「同質性」(sameness)と、規範的な事柄である「平等」(equality)を混同してしまっている。

バスとフォンヒッペルは、進化心理学に対する反発それ自体が進化心理学で説明できる、と論じている。それは、「自分の集団の連携を保持して、敵対する集団の連携を破壊しようとする心理的適応」である。

これは、左派の場合にはジェンダーの平等や社会正義の達成など、"集団において望ましいとされている目標に自分がコミットしていること"を他人に広く知らしめるために主に用いられる行動であり、心理学的には「Virtue Signalling(美徳のシグナリング)」と呼ばれるものだ。