ここで特筆すべきは、常日頃は「ジェンダーロール解体」「フェミニズム」を熱心に主張するような「社会正義の人」であっても「男たるもの、現実の女を獲得できてナンボ(それができない奴は疎外者となる)」という、旧態依然としたジェンダーバイアスを内面化しており、それに一定の「ただしさ」を感じている様子が認められることだ。
➀ 萌え絵から想像される性欲をみなぎらせたキモ・オタク姿およびその萌え絵に向けられているであろう視線が不快きわまりない
➁ キモ・オタクの持つ女性に対する歪んだ価値観、劣悪な女性観が、萌え絵を通じて社会に影響を与えることがあってはならない
➂ 女性の許可を得ずに女性を性的表象として抽出しそれを楽しむことは、女性を性的道具としてしか見ていない人権侵害にあたる
つまり「性的まなざし論」とは、想像上のキモ・オタクおよび想像上のキモ・オタクの内面性を批判し、想像上のキモ・オタクの内面性が萌え絵によって社会的に還元されると主張する、いわゆる「藁人形論法」の亜種である。