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千田有紀「「女」の境界線を引きなおす:「ターフ」をめぐる対立を超えて」(『現代思想3月臨時増刊...

(査読のない商業誌である『現代思想』に掲載されるのは「論文」ではなく「論考」だろうというご意見をいただきました。こういう文章をどう呼ぶべきかわからず「論文」と書いてしまいましたが、そのために誤った印象を与えてしまったかもしれません。申し訳ありません。)

これは最高に痛烈な皮肉で草が繁茂する

この記事では、『現代思想3月臨時増刊号』に掲載された千田有紀氏の「「女」の境界線を引きなおす:「ターフ」をめぐる対立を超えて」を取り上げ、ひとりのトランス女性としての視点から批判します。

まとめましょう。千田氏の論文のストーリーはこうです。

1. そもそもシス女性には現在、ないし従来の常識に照らしてペニスを恐れる理由があるのであり、それは差別意識によるものではない。

2.トランスはジェンダーの第三段階に当たる、「身体もジェンダー・アイデンティティも自由に構築する」という発想のもとで自身のアイデンティティを自由に構築している。

3.自由に構築できるアイデンティティなのだから、従来からのシス女性の安全を脅かすような仕方で女性トイレ等の使用を求めるのではなく、トランス女性はトランス女性のスペースをつくり、それぞれの安全を求めればいい。

4.それにもかかわらず、トランス活動家はシス女性たちの恐怖を差別意識だと誤認し、それを正そうとしては失敗していらだった挙句に、ときに破壊活動にまで及ぶ。

これが千田氏の論文から私が読み取った内容であり、そして青土社という広く名の知れた出版社が出す著名な思想系雑誌『現代思想』にて「フェミニズムの現在」と題された特集のひとつとして語られた内容です。繰り返しますが、これが、フェミニズムの現在として述べられています。

千田氏の論文の差別性はもはや明らかだと思うのですが、私としては千田氏ご本人にこれを問いただしたいという気持ちは強くありません(悪質でないからではなく、悪質だと思うが千田氏の改心を少しも期待していないからです)。

それよりもこの論文を平然と掲載した青土社『現代思想』編集部に、どういうつもりだったのか、トランス差別に対して、あるいはその他のさまざまな差別について会社としてはいったいどういったスタンスを取っているのか、この論文に関してどのような意見でいるのかといったことをきちんと説明してほしいと思っています。

千田氏はただ一人の差別者であるに過ぎませんが、その言葉をさも学術的に価値ある内容であるが如くに世間に放ったのは『現代思想』なのであり、その点ではっきり言って差別に大いに加担する振る舞いをしているというのが私の認識です。実際、『現代思想』に掲載さえされなければ、千田氏は研究者としての身分があるとはいえ、それ以外はせいぜいただのよくいるTwitter上のトランスフォーブでしかなかったはずです。『現代思想』が差別に加担することをよしとする方針でないならば、できるだけ早くこの事態に関して声明を出し、これから読む読者たちに問題点を示して、トランス差別が広まらないように対策をしていただきたいと思います。

痛烈(二度目)