10年くらい大学教員やってて思うことですが、「当時の人は当時の人なりに一生懸命生きていた」「みんな自分なりの正義があった」「批判は良くない」といったような学生の間での雰囲気が、年を追うごとにどんどん強まっているのを感じます。
理性的な人間が増えているのは幸いである。
むしろ、人類普遍の「正義」が存在すると信仰してる大学教員の方がナイーブ過ぎて問題だと思うが。
例えば、地下鉄でサリンを撒き散らしたオウム真理教にだって彼らなりの「正義」はあっただろう。
その「正義」は我々の「安全」や「正しさ」とは見事にコンフリクトしてしまった為、ああなってしまったのだが。
しかしながら、その事で「彼らには『正義』は無かった」と言い切ってしまうことはできない。
むしろ、彼らなりの理屈や道理を理解し、その理論を明らかにすることで、「何故彼らはその行為に至ったのか?」を探るのが学問というものである。
単に唾棄して投げ捨ててもよいという態度は、無教養な人間の雑談ならともかく学徒としては資質に難ありと言わざるを得ないだろう。