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篠田氏と角川のトラブル

ツイッターを見てる人はすでにご存じかと思うが、角川からの依頼でキャラ文庫向けに書き下ろしていた『はこだて櫻珈琲舎』が、出せなくなったという連絡が来た。受信メールボックスを開いて、担当との遣り取りをたどったので、日付を付け加えてもう少し細かく事実関係を書いておく。

メールをたどると最初の打ち合わせが2019年3月20日、東京で。それからメールの遣り取りが4月中に複数回あって、5月9日に当方の仕事場へ来訪。他の仕事をしながらメールで遣り取りし、10月1日に一週間の函館取材、無論自費。その後も、キャラ文なのでページ数の縛りがあるということなどを遣り取りし、今年2月19日に初稿を送稿。その後3月11日に仕事場へ担当が来訪し、書き直しの提案をもらい、全面的な手入れを行って、5月7日に再度送稿。5月28日に改稿の感想と、しばしの猶予を求めるメールが届き、7月1日に「出せません」である。

理由としては、「篠田の本が売れていない」「直接担当をしてくれていた編集者が異動して、キャラ文から離れた」「新しい上司が数字にシビア」とまあ、こういうところだ。

他の業界の人にはいつも驚かれるが、文芸出版というのはほとんどすべて「口約束」と「信頼」で動いている。出版契約書が取り交わされるのは、見本刷りが出来る直前というのがほとんどで、部数もぎりぎりにならないと決まらない。つまり仕事の依頼はあるが、その仕事が作者にいくらの利益をもたらすか、直前にならないとわからない。こんなおかしな話は他では聞かない。

今のところ、自分がどうするかはまだ決めていない。決められない。担当とは長いつきあいで、自分がそうした行動を起こした場合、彼の社内的立場が悪化するのではないか、という憂慮から自由になれないのだ。やれやれ。

ひどい話だ