/note/social

「劇団員も労働者」 劇団の運営会社に「未払い賃金」の支払い命じる…東京高裁

判決などによると、原告の末廣大知さん(34歳)は2009年8月、社員ではなく、入団契約を結んで、2016年5月に退団するまで劇団員として活動した。この間、公演への出演や稽古のほか、いわゆる裏方業務(大道具・小道具・音響・照明など)に従事しながら、会社が運営するカフェ・バーでも働いた。

しかし、長時間労働にあったにもかかわらず、月6万円しか支払われなかったことから、末廣さんは退団後の2017年4月、未払い賃金の支払いを求めて、東京地裁に労働審判を申し立た。会社側が異議を唱えたことから、訴訟に移行していた。

「(当時)日中は、稽古であったり、小道具の調達であったり、大道具の準備で動いていたり、夜間はセットの建て込みや解体作業や、エアースタジオが運営する飲食店、カフェ・バーの業務が連日つづいていたので、平均すると、1日2、3時間寝ているかどうかがつづいていました。それほどしか寝る時間を確保できませんでした。明け方、飲食店の勤務が終わると、そのまま家に帰る時間がもったいないので、床で寝たりしていました。

それだけ長時間働いていたのにもかかわらず、月6万円と固定されていました。演劇や芸術を志している人たちは、最初は稼げないのが普通だろうと思われているかもしれない。そういうのもあったので、6万円でももらえるなら、それでいいかと納得していました。そういうおかしな働き方にもかかわらず、おかしくないと思わされていました。しかし、(劇団を)やめて、労働基準法のことを知っていくうちに、あの環境はおかしいということに気づきました」

正々堂々やりがい搾取といった趣きを感じる