私が、これはどう見ても馬鹿だなあ、と本当に思う人間は、一種類しかありません。それは、自省・内省することができない者です。これには学歴も知識も職業も地位も、一切関係ありません。私の言う「愚者」とは、この能力に欠けている者に他なりません。
この場合、自省・内省とは次のようなことだと、私は考えています。
一、自分の考えは間違っているかもしれないと、怖れをもつこと。
一、自分の考えとは正反対の考えがこの世にはあり得て、どちらが正しいか無条件に決める根拠はないと自覚すること。
一、自分の考えは、一定の条件下でのみ、正当化されるとわきまえること。
一、考えを正当化しうる条件について、検討を怠らないこと。