事件記者にとって一番つらいのは、捜査当局の動きを言葉通りに寝食を忘れて追いかけ、懸命の報道を続け、その結果が「無罪」となることです。日本長期信用銀行の元頭取ら3人が粉飾決算をした罪に問われた事件は、2008年7月18日の最高裁判決で逆転無罪となります。逮捕された幹部以外にも自殺者が2人出ました。捜査が続いていた頃から、罪に問うのは難しいとの見方が根強くありました。そうした声を報道に生かし切れなかったことは悔やまれます。
(2020/12/06)