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鉄道会社(現業)へ就職を考えてる人たちへ

鉄道現業で働き続けアラフィフになる僕の感想です。

これから就職を考えている方は参考にしていただければ幸いです。

【入社前】

高卒中心の採用だったのは遠い彼方。

今はどの会社も

大卒5:専卒4:高卒1

位の割合で採用が行われる。

入社動機がはっきりしている専卒・高卒はもとより大卒の入社理由は人それぞれで面白い。

鉄道好きを上手く隠して入社したタイプ。

いわゆる私大文系で自己分析の結果、数字ノルマのある営業や全国転勤は嫌だから「とにかく安定している」という理由以外特にないままこの世界に入るタイプ。

近年はJRや大手私鉄だと、MARCH・駅弁以上だけど現業という珍種もいる。

いずれも楽しい研修生活を終えると地獄を見るがそれも経験。

【新入社員~入社3年目位】

楽しい研修を終えて方々の駅に散る。

そこで待っているのは今まで経験したことのない同じ釜の飯を食い同じ寝床で寝る楽しい楽しい集団生活。

基本的にどの鉄道会社も4週8休で朝~翌朝までの24時間勤務をベースに循環交代しながら働くことになる。

○よく説明される例

(月)朝~(火)朝・・・全泊仕事

(火)朝~終日・・・非番

(水)朝~(木)朝・・・全泊仕事

(木)朝~終日・・・非番

(金)朝~夕・・・日勤仕事

(土)休み

(日)休み

だいたい説明会や研修でもこのような勤務の仕組みの説明を受け「非番は自分の時間!自由に過ごせますよ!」とかキラキラした目のサクラ社員に説明されるが実際は、

●本当の例

(月)朝~(火)朝・・・全泊仕事

(火)朝~夕・・・残業で日勤仕事

(水)朝~(木)朝・・・全泊仕事

(木)朝~夜・・・残業でラッシュ対応とお昼まで教育、そのあと先輩に強制連行されて平日昼から酒(20時~終電間際まで)

(金)朝~(土)朝・・・本来は日勤だったが病欠が出たので半分休日出勤でそのまま通して全泊仕事

(土)朝~夜・・・仕事を終えた朝から昼までは詰所で死んだように仮眠、昼から組合員講座へ動員され夕方からは飲み会

(日)休み・・・死んだように眠る

こんな感じ。

終車後の仮眠時間はどの会社も概ね5時間前後だが全員が着替えやシャワー浴びる時間も含めてその時間。

当然イレギュラーなことがあったりシャワーの台数と働いている人の数が釣り合わないと短くなる。

平均3時間としておくのが現実的な数字。

多くの若者にとっては今まで学校に行って家に帰れば親の用意してくれたあったかいご飯を食べて暖かい布団で寝れた生活からの転調なので当然ショックを受ける。

また、いくら時代が変わったとは言えまだまだ20年30年働いている先輩が幅を利かせてる超縦社会なので体育会系や集団生活の経験のない若者はのっけから洗礼を受ける事多し。

先輩への気遣いはどこの会社でもあるが、それがおはようからおやすみまでどころか翌朝のおはよう以降も続くのでやはり向き不向きはある。

ダメな奴はすぐにダメと判断し辞めるのが一定数いる(それはどの仕事も同じだけど)。

ただこんな生活でも半年もすれば身体が慣れてしまうので大丈夫。

若いうちは休日出勤も含めた残業代でそれなりに稼げるのでほとんどの若者は4週5~6休くらいにして休日出勤で稼ぐ。

【入社3~10年】

乗務員を目指すか否かで最初の分かれ道が待っている。

会社によっては駅は子会社採用で乗務員にならないと親会社へ転籍できないところもあるので人によっては死活問題でもある。

もし駅が子会社採用で乗務員になる以外親会社へ就職できない鉄道会社への就職を考えるのであれば必ず入社前に運転の適性を確認すること(視力・聴力)。

やはり子供の頃からの夢で乗務員を目指す若手が多いが夢を叶えるのは同期全体で半分もいれば良い方。

どの会社も駅以上に超体育会系ではあるが、駅より拘束時間が短く給料も同じで休暇も取りやすいので人気が高い。

駅でそのまま係員として過ごす場合、ずっとルーチンワークが続くが年々後輩が入ってくるので仕事自体は楽になる。

組合関係の役職員で重宝されることが出世コースとなるかは会社によってケースバイケース。

御用組合の会社では組合役員は出世コース(ただしどの会社も組合関係は酒・ゴルフのお付き合いが付きものなので向き不向きがある)。

だいたいこの生活を30まで続けるともう月~金で毎日会社へ行く生活のほうが無理になる。

【入社10年目以降】

どの会社も30代40代で助役以上を目指すかどうか決めることになる。

給料は会社によって大きく異なるが、総じて助役になるとそれなりの収入になる会社が多い(ただしそれには理由があり・・・)。

助役というのは言わば現場監督でその日の責任者。

駅という建物の管理(消防・建築)、駅員の管理(人事・総務)、売上の管理(経理)等、助役になった瞬間仕事の幅が広がる。

ルーチンワークをこなす事と他人にルーチンワークを正しくやらせる事では使う頭が変わってくる。

一昔前はパソコンも使えない高卒のおじさんが酒と煙草で飲みニケーションを図り、体裁の悪いものは上手く隠し、良くも悪くもどんぶり勘定で現場をまとめるのが良い助役とされた。

しかし、昨今のコンプライアンス重視の風潮や大卒者の増加により明らかに前時代より仕事に求められるクオリティーが上がった。

これは業界特有だが規則や規定を知ってれば知ってるほど偉いという風潮があり、最善の結果を求めた結果ルーチンワークに新たなルーチンワークが加えられるケースが多い。

脅しすかしで上手く若手を使った時代も過去の話となり、最近は係員に仕事を振るのも一苦労といった具合。

これはすべての会社共通だが助役に上がるとそこから残業が激増する。

係員として長年親しんだ明け番でバイバイ!というのもなくなる。

自分が当務者の日に係員がトラブルを起こし、翌日の家族旅行・子供の運動会・授業参観等ドタキャンになったなんて日常茶飯事だ。

そう、助役の収入が高くなるのは残業代が大きいからのである(ほとんどの会社では助役は管理職ではないので残業代が出る)。

年収の3割が残業代というのもおおげさではない。

そうなるとそこまでして助役を目指すべきか?という疑問も当然大きくなる。

助役を目指すのと一生係員でいるのとでは生涯賃金でどのくらい差がつくかは会社による。

本当に恵まれた一部の大手鉄道では一生係員でいても年功序列でそれなりの収入になるので助役を目指さない人も多い。

最終的には同期入社のうち定年まで残った者の割合は、乗務に行くのが3割(駅への出戻りもある)、助役以上になるのが4割、一生係員が3割という感じ。

役職で言うと助役が自分の実力だけで誰でもなれる最後のポストでそれ以上は上からの覚えが重要になる。

それ以上のポストの名前は首席助役・区長・管区長・駅長など会社によって違うが、いわゆる駅長ポジションになると泊まり仕事でなくなり日勤のカレンダー休みになる。

普通の会社でも課長になると残業代がなくなり年収が下がるという減少はあるが、鉄道現業職という性質上それ以上の出世は望めないので年収的には寂しい定年間際となる。

【年齢と収入(仮)】

会社によって違いますがだいたいこんな感じ。

元國鉄は額面はこれより少ないですが、超恵まれた福利厚生が凄いので体感はほぼこれと同じかこれ以上です。

あと私鉄は大半の会社が転勤に転居が伴わないので、大手でも住宅関係の手当がほとんどない会社が多いです。

なので家賃は社宅や独身寮に入らない限り給料から全額払うのが普通だと思ってください。

☆一部の恵まれた会社モデル(すべて残業代込)

○一生係員コース

25・・・500万

35・・・700万

45・・・800万

60・・・900万

退職金1500~2000万

◎助役になったコース

(30代半ばまではほぼ同じ)

45・・・950万

55・・・1000万

60・・・1050万

退職金2000万前後~

※駅長ポジションになった場合

(40代半ばまでは助役と同じ)

50・・・850万(残業代がつかないので減る)

60・・・950万

退職金2000万~(助役+数百万)

よく言われるが恵まれた鉄道会社は給与形態や就労形態的には消防や警察に似てる(手当や退職金は消防・警察のほうが多い)。

警察や消防のようなパワハラ的な厳しさはないので、警察学校崩れや元自衛官で中途で入ってくる若手が多い。

★厳しい会社モデル

係員は子会社採用なので昇給・退職金制度等がほとんどない。

子会社採用モデルで子会社で定年退職まで働いたサンプルはまだまだ少ないと思うので平均的なものはないと思う(あったらごめん)。

乗務員に合格したら親会社に転籍できるが、あくまでも「転籍」なので退職金の係数や休暇の日数も1年目からやり直しになるので注意。

親会社転籍後は、恵まれた会社の1~3割引と考えて貰えば大体合ってる。

退職金は会社によってぜんぜん違うので要確認。