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白饅頭日誌:2月16日「アイツらの世界」

彼らのようなバックボーンを持つフェミ男子は「モテたいからフェミニストになる」というあけすけな下心が動機になっているわけではない。もちろんあわよくばという下心が少しはあるかもしれないが、しかしそれ以上に「自分のようなやさしくただしい人間が非モテになってしまう構造(と、その構造を強化する者)への復讐心」が大きなモチベーションになっている。

男としての「うまみ」をいちども味わったことがない、鬱々とした日々のなかで生きている彼らは、近頃になって「有害な男らしさ」などというワードをしばしば見聞きするようになった。どうやらこれは「男がいかに無自覚に、女性に対して加害的・抑圧的・差別的にふるまってきたか」を非難するものらしい。

このワードを目にした彼らは、腸(はらわた)が煮えくり返った。自分はこの「有害な男らしさ」性を少しも持っていない(それどころかまったく無害だった)はずなのに、同じ「男」であるというだけで、女性を蔑み弄んできた陽キャやウェイたちの連帯責任を負わされている――という、さらなる理不尽を味わわされることになってしまったからだ。

陽キャ・ウェイたちの有害性を告発して世に知らしめ、なおかつこれを叩けば、今度こそきっと「女性を配慮し、傷つけず、やさしい人間」に適切な評価がもたらされる社会へと変わるはずだという淡い期待を抱きながら、彼らは復讐を開始した。「歴史のただしい側」のポジションを確保しながら、自分に何重もの理不尽を味わわせてきた「アイツらの世界」を壊す大義名分ができたことは、彼らを強く鼓舞した。

実際のところ、彼らが現バージョンの「アイツらの世界」を破壊できたとしても、女性たちは彼らを包摂しない。褒めたたえない。好きにならない。より女性に快適な形にアップグレードされた「アイツらの世界2.0」で、また「改良されたアイツら」を愛しはじめる。正義に目覚めた非モテ男たちは、女性が好きなアイツらをアップデートするための社会運動の「尖兵」に使われるだけだ。

それ以上いけない